衆院予算委員会は8日、2021年度本予算の基本的質疑をおこないました。立憲民主党の5番手として山井和則議員が質疑に立ちました。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の森喜朗会長の発言、菅総理の長男が総務省幹部を違法接待したとされる疑惑、事業者への持続化給付金等の再給付等について質問しました。

 「森会長の女性蔑視発言は男性としても許せない」と述べた山井議員は、菅総理が大会組織委員会と政府が独立しているという趣旨の答弁をしたことを取り上げ、「当時の安倍総理と森元総理が会談をしたり、また2014年1月12日の報道によりますと森元総理が大会組織委員会の会長の就任を要請されたということに関しても、当時の安倍総理の意向があったと報道されている」と指摘。こうしたことから、「事実上(組織委員会の)人事に影響を持つのは菅総理ではないか」と述べ、菅総理にリーダーシップを発揮すべきだと迫りました。菅総理は、「大会組織委員会の運営は法人の定款に基づいて行われるべき」「独立法人として理事がいるからその中で判断されるべき」とあくまでも政府からは独立していることを強調するのみの答弁をしました。

 菅総理の長男が総務省幹部を違法接待したとされる疑惑について、山井議員は、何回会食をしたのか総務省の情報流通行政局の秋本芳徳局長に質問しました。秋本局長は「会合に至った経緯や背景も含め調査の対象となっているので、この場での回答は控えさせていただく」という内容を繰り返し述べるのみでした。そのため、野党の理事は金田勝年衆院予算委員長に「しっかり答えさせるべき」と迫りました。しかし、金田委員長は「答弁できる限界までやらせている。後刻、理事会で協議する」と質疑時間を止めることなく繰り返し答えるだけで、公正な議事運営を欠くことから、立憲民主党等の予算理事・委員は抗議し一時退席しました。与野党理事の協議ののち、委員会は再開。山井議員はまず「当たり前の委員会運営をやっていただきたい」と金田委員長に猛省を促しました。再び答弁を求める山井議員に対し、秋本局長は「菅正剛氏とは、平均すると1年に1回程度会食の機会を持った」と答弁。同じく菅総理の長男と会食したとされる湯本博信官房審議官も同様の答弁をしました。山井議員は「そういう当たり前の答弁すらしないのでは委員会が成り立たない」と述べました。

 山井議員は、緊急事態宣言の影響を受ける飲食店などへの支援策について、報道機関の調査で66%が「不十分」と答えていることを紹介。「売上3割減でも支給するとか、開業したばかりでも支給するとか規模に応じて協力金を出すとか大幅拡充すべきではないか」と事業者への支援金のさらなる拡充を提案しました。さらに「このままでは、3月末に倒産・廃業、失業も大幅に増える。止めるにはこの額では全く無理。規模に応じた2回目の持続化給付金や家賃支援金を再給付すべきではないか」と強く求めました。しかし菅総理は、「昨年の緊急事態宣言では全国を対象地域とし、幅広い業種に休業要請を行いましたが、今回は状況が異なることから昨年の持続化給付金や家賃支援給付金を再度支給することは考えてない」と答弁しました。山井議員は、昨年の4月と今の状況はどちらが事業者にとって苦しいと思っているか菅総理の認識を質問。菅総理は、「去年の倒産は少なかったわけです。そして現時点においての失業率も先進国で一番低い状況であることもそこはご理解を頂きたい」「ここに来て一挙に陽性者数が減少してきてることも事実」等と現状を肯定する答弁が続きました。山井議員は「菅総理の認識は間違ってると思います。去年4月から1年近く経っても、中小企業、商店の方、飲食店以外も本当に大変な状況です。菅総理には今の地域の苦しさが分かってなさすぎる。このまま行くと3月には倒産、廃業、失業が急増します。その認識を改めていただきたい」と認識を変え早急に対策を打つことを求めました。