衆院予算委員会で15日、新型コロナウイル感染症対策等に関する集中審議がおこなわれ、立憲民主党から5番手で斉木武志議員が質問に立ちました。斉木議員は東京オリンピック・パラリンピックの剰余金(残余財産)の使途の明確化、原発立地地域での原発に代わる産業振興などを取り上げました。
斉木議員は、昨年3月に設置された一般財団法人日本スポーツレガシーコミッションがオリパラ東京大会の剰余金の受け皿になるのではないかとの疑念がもたれていることを取り上げました。この団体がオリパラ大会の剰余金を受け取れる公益財団法人になれるか西村経済再生担当大臣にただすと「一般論として、要件に照らして審査で認められれば認定される」との答弁を得ました。
斉木議員は、当該団体は東京オリパラ組織委員会会長職の辞任を表明した森喜朗氏が最高顧問をつとめ、森氏に近いと言われる遠藤利明元オリパラ担当大臣が理事長、武藤敏郎組織委員会事務総長が評議員となっていること、活動実態が不明瞭で電話もなかなかつながらず、文書で質問しても回答できないとの返事が返ってきたことを説明しました。
その上で、こうした団体への資金の不透明な流れを防ぐためにも、剰余金はむしろ新型コロナウイルス感染症対策に使うべきだと提案しました。ロンドン大会では約46億円の剰余金について「平時でさえ、その3分の2を国に寄付した」と紹介し、変異株や市中感染に対する不安がある中、世界各国から選手を受け入れることに対して国民の理解を求めるうえでも必要だと総理に決断を迫りました。菅総理は剰余金が発生した場合の使途については組織委員会がルールに基づいて決定することで「私の立場で申し上げるべきではない」と答えるにとどまりました。
次に、斉木議員は原発立地地域政策を取り上げ、原発の新設・建て替えについてただすと、菅総理は「原発の新設、リプレースを想定しないという考えに変わりはない」と答えました。斉木議員は、原発の稼働を停止して以来、人口が急激に減少している敦賀市を例に挙げ、「今後原発の新増設、リプレースをしないのであれば、原発に代わる産業振興が必要だ」と述べ、太い送電線がある優位性を活かして、水素や再生エネルギーを振興すべきだと主張しました。原発立地地域振興特措法の改正にあたっては、立地地域への進出優遇業種にこれらを加え、税制を優遇すべきだと提案しました。
梶山経済産業大臣は、「原発立地地域で単線だった産業を複線化することが必要」との認識を示したものの、水素や再生可能エネルギーの推進支援は原発立地地域に限らず、全国どこでも受けられるようになっていると説明しました。