衆院予算委員会で17日、新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種等の内外の諸課題に関する集中審議がおこなわれ、立憲民主党の長妻昭議員が登壇。(1)ワクチン接種の意義(2)「助かる命が助からない」実態と対策(3)年金情報漏洩問題――などについてただしました。

 同日午前、接種が始まった新型コロナウイルスワクチンにかける意気込み、責任の所在について菅総理の認識をただしました。総理は、ワクチン接種の全責任が「自分にある」と表明した上で、「感染拡大防止の決め手になるもの」と強調し、国民に対し接種を呼びかけました。

 新型コロナウイルス感染症の拡大で入院できずに命を失う事例に関して、政府が実態をどう把握し、対策を講じているのかを追及しました。前回の委員会質疑で警察庁が変死遺体のうち、新型コロナウイルス陽性者数が200人を超えるとの答弁したことを受けて、その死因を警察庁に質問しました。

 これに対して警察庁刑事局長は、昨年3月から本年2月10日まで検死した261人の新型コロナウイルス陽性遺体のうち、疑いがあるとされたものを含めて新型コロナウイルス感染症114件、肺炎51件、その他のもの47件、また不祥とされたもの9件、不慮の事故など32件と答弁しました。

 新型コロナウイルス感染症で亡くなった方が114人もいたという報告を受けて長妻議員は、「助かる命が助からなくなる。これは国家として絶対に起こしてはならない。税金も払い保険料も払っている方が入院していれば助かったのに入院できないと。そういうことは絶対起こしてはならない」と厳しく指摘。警察庁が調べた結果について、全省庁を挙げて原因解明し、それに基づいた対策を打つよう強く求めました。

 年金受給者の氏名やフリガナなどにとどまらず、マイナンバー、住所、年収などの個人情報がインターネット上に流出していた問題について取り上げました。日本年金機構の法令等違反通報窓口に届いた個人情報の漏洩を知らせる匿名者からのメールの真偽を確認するとともに、事実ならばどのように流出したのかを追及しました。これに対して日本年金機構の水島理事長は、当該メールの内容について「正しい情報である」と認めながらも、流出については「確認されていない」と答弁しました。

 長妻議員は、本件が3年前に厚生労働省から500万件の個人情報入力を委託された日本企業が、契約に反して中国の企業に再委託していたことに端を発しているものであり、漏洩が事実であるならば500万件の個人情報にかかわるものであることから徹底調査するよう要求しました。