衆院予算委員会は17日、集中審議をおこない立憲民主党の2番手として、中島克仁議員が質疑をしました。中島議員は、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染予防ワクチン接種にあたってのリスクコミュニケーションの重要性、イベルメクチンをCOVID-19治療薬として承認すること、かかりつけ医の制度化について菅総理や田村厚労大臣と議論しました。

 今日、COVID-19の予防ワクチンが日本で初めて接種されたことを受けて、中島議員は「大事なことは、安全性・有効性に関して国民の皆さん、また社会とどのように情報を共有するかだ。プロセスができていれば早く打つのも構わないが、できていないならば禍根を残す可能性があるので重要な局面だ」とワクチンの有効性・安全性を共有することが重要だと強調しました。そのうえで、「このリスクコミュニケーションはボタンをかけ間違えると、ワクチンによって新たな混乱が起き社会の分断を招きかねない。総理自らが先頭に立ってこのリスクコミュニケーションのあり方を示してほしい」と求めました。

 続いて中島議員は、COVID-19の治療薬として効果が期待されるイベルメクチンについて、「わが国では、疥癬(かいせん)という病気で保険適用になっておりますが、これを適用拡大に向けて治験をしている最中」と紹介。通常のプロセスでは承認までに1年か2年はかかってしまう状況であると説明し、「東京都も治験に協力をする姿勢を示しているのだから、国としても早期に承認できるように治験に最大限のバックアップをすべきだ」と提案しました。田村厚労大臣は、「適用外使用では今も使える。医療機関で飲んで自宅待機の使い方もある」と答弁。菅総理は「日本にとって極めて重要な治療薬と思っていますので、最大限努力させていただきます」と前向きに答えました。

 また、日本が欧米各国に比べてCOVID-19感染者数が少ないにも関わらず、医療がひっ迫していることに「なぜ危機にさらされないといけないのか。次の感染拡大を招きかねない」と危機感を示しました。菅総理は「感染症に対応するうえで課題が浮き彫りになっていることは認識している。感染症対策を踏まえるとともに今後の人口構造の変化を見据えて、地域の医療提供体制についてそれぞれの医療ニーズに合わせて効率的で質の高い体制を作ることが大事だ」と答弁しました。これに対し中島議員は、「今回は平時の体制が浮き彫りになっている」と述べ、自宅療養者の健康観察や入院先の確保を保健所でおこなわれていることを説明し「異常な状況だ」と指摘しました。他に浮き彫りになった事として「かかりつけ医の体制が抜け落ちている」とかかりつけ医がいないためにCOVID-19に感染しても誰にも相談できない状況になっていると指摘。「わが国で何人のかかりつけ医がいたのか、それすら把握できていない中、少子高齢化、人口減少、人生100年時代における医療制度改革ではコロナの次の医療のあり方として(かかりつけ医の制度を)位置付けるべきだ」と提言しました。田村大臣も「日本も医師会中心にかかりつけ医をしっかり体制を整える考えは同じ。一方で病院に関しては外来機能の明確化をして、かかりつけ医に行って紹介状を書いてもらい、大きな病院に行くルートを作ろうと法改正で対応したい」と答弁しました。中島議員は、「私が言っているのはGP(General Practitioner:英国における総合医)に近い。もし、GP制度が日本にあったら今回のコロナの状況で受診の目安や自宅療養者が放置されることはなかった。ワクチンについても、イギリスはGPを中心に接種体制を整えているから迅速に進んでいる」と述べて質疑を終えました。