「一番説明を聞きたいのは総理から。なぜここにおられないのか」(原口一博国対委員長代理)。5日午後、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を再延長する政府判断を国会に事前説明のため、衆院議院運営委員会が開かれました。前日の理事会で、野党側は菅総理の出席を求めていましたが、自民党側がこれを拒否。この日は西村康稔経済再生担当大臣のみが報告をする運びとなりました。

 立憲民主党から質問に立った原口国対委員長代理は「女性を中心に100万人もの方々が職を奪われ、1995年から2019年まで日本はIMF加盟国の中で最悪のマイナス7%の経済成長という中での再々延長。菅総理は、決断をご自身がなさったと仰っている。一番説明を聞きたいのは総理であります。なぜここにおられないのか」と、菅総理の委員会欠席を批判しました。

 その後、原口国対委員長代理は、関西における変異株の検出が関東を上回っていること、病床のひっ迫率や人口あたりの死者数で見ると大阪府が依然大変厳しい状況にあると指摘。その上で「今回、関西を解除しましたね。でも首都圏を解除しない理由は何ですか」と政府が首都圏に先んじて、5府県(大阪府、京都府、兵庫県、愛知県、岐阜県)の宣言解除を認めた根拠をただしました。さらに政府が判断根拠として掲げている6つの指標についても「感染の加速度や医療機関の皆さんのマンパワー等も考慮した指標とすべきではないか」と疑義を呈しました。

 次第に国内でも広がりを見せつつある新型コロナウイルスの変異株について、原口国対委員長代理は「世界のさまざまな人々と議論していると『アナザー・パンデミック』、別のパンデミックがもう起きてると言っている。それを考えてみると、私たちは変異株をどれぐらい捕捉できているのか」と、日本政府の変異株の捕捉状況についてただしました。

 ワクチンの接種に関しては「ロット(単位)も時期も分からん。こんなことじゃダメですよ。しかも16歳以上でしょ。変異株は小さい人たちにも感染をすると言われている」と政府の後手後手の対応を批判。その上で「米国の学校がやっているような、学校での換気対策をしっかりやってほしい。今後、16歳未満の世代に対するワクチンの接種はどうするのか」とワクチン接種の方針についてもただしました。

 また、新型コロナウイルスについて「このウイルスは一つの大きな特徴を持っている。それはそのステルス性だ。発症前からうつる。それから体内に長時間潜伏して、深刻な後遺症を残しうる。無症状の方からも感染する。それから私たちの同僚がそうだったように、自分が酸欠になっていることが分からない。いくつものステルス性がある。このステルス性に対してどう立ち向かうのか」と尋ねました。

 これらの質問に対し答弁した西村経済再生担当大臣は、関西の解除を認めた根拠については、埼玉県や千葉県の病床使用率が依然高い水準にあることや、人口密度や匿名性が高い首都圏の特殊性を挙げました。また解除や延長にあたっては、各知事と連絡を取り、方針を確認した上で決めたとも説明しました。変異株の検査状況については、全陽性患者数の5から10%分の検体を対象に変異株PCR検査を実施していること、各地域で変異株の陽性者が確認できれば、その割合を引き上げる方針であると説明しました。16歳未満へのワクチン接種については、検討結果をできるだけ速やかに共有したいと述べるに留めました。学校での換気の徹底については、文科省と一緒に対応していきたいと前向きに答弁しました。ステルス性への対処については、高齢者施設などの検査やモリタリング、陽性者の早期隔離などを徹底したいと話しました。

 こうした答弁を受け、原口国対委員長代理は「アメリカでは、すでに7500万人の方がワクチンを打っている。日本では160人で、第3相の段階だ。頼めばいいではないですか。そういうところにリーダーシップを発揮して、国民の皆さんの命を守る。そしてしっかりと補償をしていく。雇用調整助成金も、持続化給付金も、定額給付金もしっかりやっていく。災害だと認める。災害の時には溺れてる人たちを助ける。これこそが政府の役割だ」と訴え質問を結びました。