参院議院運営委員会が5日開催され、1都3県を対象とした緊急事態宣言を2週間延長する方針について西村経済再生担当大臣から報告を受けました。立憲民主党から木戸口英司議員が質問に立ちました。

 木戸口議員は冒頭、「菅総理は1月7日の緊急事態宣言発出時に1カ月後には必ず事態を改善させる、そして2月7日の宣言延長を決めた会見で1カ月ですべての都府県で解除できるよう対策を徹底したいと述べている。しかし、2カ月が経過して再々延長となった、この要因を分析しているのか。政府の対策を検証すべきではないか」とただしました。
 西村大臣は、「国民の皆さま、特に1都3県の方には引き続きご不便をおかけするということで大変申し訳なく思っている」と述べ、菅総理が同日の参院予算委員会で同じ趣旨のことを発言していると言及しました。また、「私どもとして何とかステージ3以下になるように感染を抑え、病床の確保に全力を上げたいと考えている」と答弁しました。飲食店の時短要請、不要不急の外出の自粛、テレワーク促進の要請等への国民や事業者の協力により人の流れが減り、新規感染者数の抑制に効果が出ており、最も影響が大きいということ等について認識を説明しました。

 木戸口議員は「人出が増えているという総括だとお伺いした。私は政府の対策がどうなのか、その検証なくして延長でいいのか。そのことを私は問うている。この後、菅総理が記者会見するということなので、そのことを国民にしっかり伝えていただきたい」と求めました。その上で、専門家が宣言発出時に1カ月程度での解除は難しい、至難の業だと発言していたことを振り返り「結局その通りになった。飲食店の時短営業に絞った対策で確かに感染者数は減って来たけれども、宣言解除にまで至らなかったことも事実だ。とくに2月からの1カ月、どういう対策をさらに打ったのか、強化したのか」と改めて問いました。これに対し、西村大臣は、20時までの時短を軸に対策を講じ、呼び掛けを強化し事業者、国民の協力を得て来たことの説明を繰り返すにとどまりました。

 木戸口議員は「協力要請と時短営業に尽きるような答弁だった。結局、今必要なのは積極的疫学検査の強化、医療提供体制の拡充、経済的打撃を受ける事業者等への支援を強化することの3つしかない。これを政府として緊急事態宣言を延長するために強化していくという発信がわれわれには見えないし、国民にも伝わっていない」と述べました。東京都の病床数がひっ迫していることを取り上げ、それが改善されるのに2週間で十分なのかと問い、何の対策を強化するのか具体的な説明を求めました。
 西村大臣は感染を抑えるために、高齢者施設クラスターへの対策として3月中にすべての高齢者施設の従事者に検査を実施すること、保健所による積極的疫学検査をしっかり実施すること、飲食店への20時までの時短への協力の呼び掛けの強化、補助金を活用した病床の確保などを挙げました。

 木戸口議員は「今までの対策の継続としか聞こえてこない。国民は感染拡大への恐怖から2週間後、感染がしっかり収まらないうちに、宣言が解除されて、この春、そしてゴールデンウィークに向けて感染が拡大していくのではないかという不安も覚えている。そこにしっかりと国民の協力を得て、政府はこういうことをやって行くことを伝えていかないと国民はついてきてくれない。そのことを強く申し上げたい」と訴えました。

 1都3県で医療提供体制がひっ迫し、解消されていないことについて、「もし第4波が到来するようなことがあれば医療崩壊が現実となる」との危機感を示し、「政府が先頭に立ち、病床確保と医療の役割分担が進むよう取り組むべきで、司令塔をつくり、制度に課題があれば改善し、早期に医療提供体制の拡充に取り組むべきだ」と強く求めました。