「原発ゼロ・自然エネルギー100世界会議――福島原発事故から10年」と題したオンラインイベントが11日、多くの市民団体主催で開催され、「エネルギーの未来は私たちが決める!」と題したセッションでは、各政党からの発言者が市民活動を行っている若者と意見交換しました。

 冒頭、司会の永井玲衣さん(立教大学兼任講師)より、原発の稼働状況と、現時点での電源別発電量の割合およびエネルギー基本計画に基づいた2030年目標の説明がありました。

 「 No Youth No Japan 」の能條桃子さんは、「3.11の原発事故前、原発のリスクを知らないわけではなかったが、他のことを優先していた。その責任は、政策決定者だけではなく、市民一人ひとりにもある。(パリ協定における気温上昇の努力目標)1.5度目標に到達するために、2030年までに石炭火力をゼロにしなくてはならないと言われているが、原発に頼らずに実現するためにどのような議論が進んでいるのか」と質問。

 立憲民主党環境エネルギー調査会事務局長の山崎誠衆院議員は、「2030年の目標に関しては、再生可能エネルギーが半分、LNG火力が半分、さらに省エネでエネルギー消費を30%から40%削減することで排出量を1990年比で50%削減することが可能であるとの試算をし、そのシナリオを詰めている」と発言しました。

 特別ゲストとして参加した台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏は、「パンデミック、気候変動などの課題の多くは、参加型民主主義を推進しないと乗り越えられない。台湾では、各省庁の担当者立会いの下、社会問題の解決アイデアを市民がプレゼンする大会を開催した。パンデミック下でのマスクの管理マップや100のアプリの誕生は、政府の情報公開と社会・経済セクターの協働で得られた」と力説しました。

 環境エネルギー政策研究所の飯田哲也さんは、世界における電源別のコストを解説しました。

 さらに「デンマークでは、原発をめぐる議論の際に、推進する人と否定する人とで一緒にテキストをつくった。見解が一致する項目は左右の頁でぶち抜きにし、見解が異なる項目は、左右の頁にそれぞれ違う形で書いた。敵か味方かではなく、どこが一致してどこが違うのかを全部見える化しながら、対話のツールにしていった。日本でもさまざまな立場の人で一緒に社会を作っていけたら」と力をこめました。