参院予算委員会は15日集中審議をおこない、立憲民主党から福山哲郎幹事長が質疑しました。福山幹事長は、総務省幹部への違法接待問題をめぐり、参考人として招致した東北新社の中島信也社長とNTTの澤田純社長へ真相について質問。また、首都圏1都3県への緊急事態宣言を解除するのか延長するのかについて菅総理に対してただしました
安倍前総理が「桜を見る会」に関する虚偽答弁を繰り返したことをめぐって、菅総理が「(安倍前総理の答弁が)事実と違っていたとしたら当然私にも答弁をした責任があるから、そこは対応するようにする」と昨年11月の予算委員会で答弁していたことに福山幹事長は触れました。安倍前総理の秘書に対して罰金100万円の略式命令が決まり、安倍晋三後援会が「桜を見る会」前夜祭の支出を補填をしていたこと等が公訴事実としてあることについて、どのように責任ある対応をするか菅総理に答弁を求めました。菅総理は、「事実と異なる答弁になってしまったことについては、国民の皆さまに対し大変申し訳なく思っています。そして施政方針演説において全国民の代表である国会議員の皆さまにお詫びした」と答弁。福山幹事長は、「お詫びしたら118回も嘘ついたのが許されるのか」と強く指摘し、「例えば調査チームを国会内で作って『桜を見る会』についてもう1回全部資料出させるようなことを言ってください」と求めました。
NTTの澤田社長に対しては、武田総務大臣と会食をしたことがあるかを質問しました。澤田社長は、「上場企業の社長として個別の会食の有無を答えることは控える」と答えました。続いて、武田大臣に澤田社長との会食の有無を問うと、武田大臣は「個別の事案一つひとつにお答えするのは控えさせていただきたいと思いますが、国民の皆さんから疑念を招くような会食や会合に応じたことはございません」と繰り返し答弁。福山幹事長が「疑念を招かない会食は否定できませんね」と表現を変えて質問しても同様の答弁を繰り返すのみでした。福山幹事長は、「こういう回答をするから国民の疑念が払しょくされない」と指摘しました。
東北新社の中島社長に対しては、東北新社が外資比率20%未満とする放送法が規定する要件を満たしていなかった時の状況について質問。中島社長は、「(4K衛星放送認定の)申請の際、担当者が計算の基礎にした資料が1%以上の議決権を持った株主のみの名簿をもとにした。持ち株比率の認識が大変甘かった」と説明。その後、2017年に違反しているかもしれないことに気づき、東北新社側が総務省へ相談に行った時の詳細を尋ねると、中島社長は「違反している状態で認可を頂戴してしまっている。これはまずいということで『8月9日頃に4K認定について総務省の担当部署に面談して報告した』との報告を受けております。『当社シニアマネジメントでございました木田由紀夫が、総務省の鈴木課長に相談に行った』という報告を私が受けております」と説明。しかし、総務省側は「当時の総務省の担当者に確認いたしました。外資規制に抵触する可能性がある旨の報告を受けた覚えはない。そのような重大な話ならば覚えているはずであるということでございました」と食い違う答弁をしました。福山幹事長は、事実関係を確認するために、木田氏、鈴木氏の参考人招致と面会の際の面談記録や面談の際のメモを委員会に提出するよう予算委員長に求めました。
また、総務省の一連の問題を審議するために、菅総理が自民党に声をかけて特別委員会を設置するように福山幹事長は要求しました。しかし、菅総理は「それは国会で決めること」と正面から向き合うことはしませんでした。
1都3県に対する緊急事態宣言の期限が21日に迫る中、解除するのか延長をするのか菅総理の意向をただしました。菅総理は「ここにきて(新規感染者数が)下落と言うか横這いと言うかそういう状況になっています。そうしたさまざまな数字を判断する中で、専門家の意見も聞きながら最終的には判断をしたいと思います。今、完全に延長するとかどうか言えるような状況ではない」と答弁。福山幹事長は、「何かあれば、政府が専門家の責任にするのはやめたほうがいい。前回の延長の時だって総理は分科会が開催されているその時間にぶら下がりの会見をして、専門家の意見を聞く前に延長だって発表してるじゃないですか。そして『私の判断で』とおっしゃってるじゃないですか。そういう使い分けをするから分からないんです」と強く指摘しました。また、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長に現在の状況をどのように判断をしているかを質問。尾身会長は、宣言を解除するかどうかの判断に「緊急事態宣言の効果で(新規感染者が)下がってきたが、下げ止まり・微増がどういう原因で起きたか十分な分析をしないで判断するのは避けた方がいい。そのうえで3つの点が重要」と述べ、「高齢者の昼のカラオケが増えている。若者の会食が減っていたが、ここで増えてきた事実がある」「クラスターが多様化している」「変異株が既存株にとって代わるのが時間の問題」の3点をあげ、そのうえで検査の数を「もう少し増やすべきだ」と考えを示しました。
福山幹事長は、「長い宣言で分断と格差が広がっている」と主張し、もともと23時くらいまで営業している飲食店が時短要請に協力することで協力金を得て普段以上の収入になっている店もあるのに、もともとが20時閉店の飲食店は客が激減しているのにも関わらず1円ももらえず、「非常に不公平」な状況となっていることを指摘。その他にも「大規模飲食店、ホテル、旅館、小売り、百貨店、映画館、ミニシアター、劇場、フリーランス、公共交通機関。みんなこの8時の時間に合わせてお付き合いをしてくれていますが、協力金がありません。なんでこんな格差なのか、本当に何でほったらかされているのか、長くなればなるほどそういう声があります」と各業種の苦しい状況を紹介しました。そのうえで、「二階幹事長と私は事業規模に応じた支援のあり方について、『事業者の状況、必要性等を踏まえて検討し、支援が効果的なものとなるよう取り組む』これを与野党の幹事長会談で約束したんです。事業規模に応じた支援のあり方は全然そんな状況になってない。こんなに緊急事態が長く続いてるのに本当に持たないですよ」と菅総理に強く迫りました。菅総理は、「政府あげて対策をとるようにしたいと思います。そうした手が届かなかったところに対応することができるように今検討しています」と答えました。福山幹事長は、「(宣言が)延長されたら本当に国民の生活は厳しくなります。いったん十分な補償とこの営業自粛や休業要請の制度を見直すべきじゃないですか。こんなつぎはぎだらけの使い勝手の悪い、国民が何を使っていいかわからない制度ではなくて、どうせお金を使うならば国民の使い勝手の良いような制度にもう1回見直すべきだと思います。それに対しては与野党関係ないから、われわれはいくらでも協議に応じます」と制度の見直しを求めました。