参院予算委員会で19日、「新型コロナウイルス感染症への今後の対応・医療体制の強化、情報通信行政、原子力安全等」を含む現下の諸課題についての集中審議が行われました。立憲民主党から石橋通宏議員が質問に立ち、(1)首都圏1都3県における緊急事態宣言の解除決定の妥当性について(3)ファイザー社製コロナワクチンの集団接種計画と冷蔵輸送の可否(3)コロナ禍による生活困窮者に対する緊急支援策(4)東京電力柏崎刈羽原子力発電所における度重なる不祥事(5)ミャンマー国軍による人権蹂躙行為に対する日本政府の対応──などについて政府をただしました。

■緊急事態宣言の解除決定の妥当性について

 「手詰まり感」「収束への道筋見えず」「再拡大の芽摘めず」「新味に乏しい」「対策決めて欠く」「再燃不安、苦渋の解除」――今回の解除決定について報じた新聞各紙の見出しについて石橋議員は、「総理、こんなはずではなかったとお思いになりませんか」と総理の所感をただすとともに、こういう状況で解除せざるを得なかったことついて、どう責任を感じるのかただしました。

 さらに緊急事態宣言の再延長から新規感染者数がまったく減らず、むしろ「この3週間のトレンドが完全にリバウンドの兆候を示している」ことを問題視。「やはりこのリバウンドの中で解除するというのは、拙速ではなかったのか」と問いただしました。

 また今年に入ってから、国立感染研究所、検疫所、地方衛生研究所や保健所、民間検査会社、大学、医療機関等で実施されたPCR検査の実施件数の推移を示した上で「総理、検査数がまったく増えておりません、全然。最大(検査)能力は今17万以上にまで増えてきておりますが、なぜか実施件数は、ほとんど増えてないどころか、むしろ減っている」と指摘。その上で「政府は、何をしていたのか。1月以降、2月の宣言延長、そして3月の再延長、これだけの事をした。総理がいみじくも指摘したように、国民の皆さまにこれだけ(重大な)お願いをさせて頂いた。であれば、この間にPCR検査・抗原検査をもっと拡充をして、徹底的な抑止抑制をしていれば、感染再拡大は防げたのではないか」と検査拡充に関する政府の無策ぶりを批判しました。

■ファイザー社製コロナワクチンの集団接種計画と冷蔵輸送の可否

 新型コロナウイルス・ワクチンについて、石橋議員は「供給体制も含めて今、国民の皆さんの最大の関心事でもあり、懸念事でもあり、自治体の皆さんもその準備も含めて大変なご尽力を現場でいただいている」と述べた上で、集団接種体制の準備状況についてただしました。

 特にワクチンの供給スケジュールについて、河野太郎ワクチン担当大臣が、ワクチン供給は各自治体の「接種スピードによる」という答弁を繰り返していることを問題視。民間機関の試算によれば、高齢者に対する接種の完了が今年の秋ごろまでかかり、その他一般の国民に対する接種はもっと遅れる可能性を指摘していることにも言及した上で「国としての責任を放棄しているのではないか」と批判しました。その上で「国として交渉して、そして計画立てて、自治体の皆様の支援を全面的にやっていただきたい」と強く要請しました。

 またファイザー社製ワクチンの移送について、厚生労働省が冷蔵での移送も認め、そのための保冷バッグを自治体に配布していることについても触れ、「ファイザー社は、冷蔵輸送は『推奨しない』と明確に言っておられるはず」と指摘。「6億円以上の予算を使い、このファイザーが容認しないと言っている冷蔵輸送のための保冷バッグを全国の自治体に配送してしまっている。自治体の担当者に問いただされると、『容認されております』と厚労省がちゃんと答えたらしい。おかしいじゃないですか。万が一冷蔵で安定的な輸送ができず、(ワクチンの)成分が破壊されたりして、有効性が失われた時には、誰が責任取るのですか」と、政府の責任をただしました。

■コロナ禍による生活困窮者に対する緊急支援策

 石橋議員は「(長期化するコロナ禍において)多くの非正規雇用の皆さん、とりわけ女性労働者の皆さんが解雇され、雇い止めにあい、短時間労働のために労働時間が大きく減り、収入が大きく減少した」と述べ、女性の非正規雇用労働者に対する緊急の支援を訴えました。その上で「今回の政府のパッケージでは、多くの皆さんに届きません。支援金、給付金。そして昨年の中小企業の申請が、もう3月末で切れます。これを何とか伸ばしていただきたいということも、われわれは要請しています。多くの皆さんが休業支援金の制度すら知らない。知っていてもまだ申請できていない。でも政府は3月末で申請期限を切ろうとしてるのです。『支える』と言うのならば、休業支援金の3月末の期限を延ばしてください」と休業支援金の申請期限の延長を強く訴えました。

【配布資料】石橋通宏議員.pdf