困難を抱える女性支援法検討ワーキングチーム(WT)(座長・西村智奈美衆院議員、事務局長・池田真紀衆院議員)は22日国会内で会議を開き、若年女性への支援について 一般社団法人Colabo(コラボ)代表理事の仁藤夢乃さんらから話を聞きました。

 中高生世代を中心とする10代女性を支える活動を行っている「Colabo」(2011年5月設立)。困難を抱える少女が搾取や暴力に行き着かなくてよい社会を目指し、夜の街でのアウトリーチ事業や、食事・物品の提供、緊急時のシェルターでの保護や宿泊支援、自立に向けたシェアハウスでの中長期の住まい提供や就労支援を行っています。2018年度からは厚生労働省が始めた「若年被害女性等支援モデル事業」の東京都の委託先になっています。

 冒頭のあいさつで座長の西村議員は、婦人保護事業の根拠法である売春防止法の改正に向け、厚生労働省が2019年7月、婦人保護事業の運用を見直す方針を公表したにもかかわらず、それ以後政府として具体的な動きがないまま、すでに1年半が過ぎていると指摘。議員立法として国会に提出することで、動きをもっと加速化すべきだとして、「特にコロナ禍で置かれている状況はさらに厳しくなっているのは容易に想像ができる。当面第4章(保護更生)に着目をし、検討していきたい。ぜひ現場の声を聞かせていただき、いい改正ができるよう取り組んでいきたい」と述べました。

 会議ではまず、仁藤さんが同団体の活動紹介と、コロナ禍での活動状況について説明。2019年度の相談事業の利用者数は591名だったが、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、学校休校要請の出た3月以降相談が急増、4月から今年3月半ばまでで相談者1420人以上に5000回以上の対応を行い、最年少相談者は11歳が3名、一番多かったのは17歳で177名だと話しました。

 コロナ禍で虐待のリスクが増すなか、児童相談所など行政機関ではハイティーンの対応は後回しになり、一方で買春者や性搾取にあっせんする業者は、孤立した少女たちへの声かけを強化、結果として少女の誘拐や、性暴力被害、JKビジネス店等での性搾取被害が深刻化していると指摘。緊急事態宣言下ではアウトリーチ活動の強化や、10代女子への食事・物品の提供、ホテルと連携してシェルターを確保、中長期シェルターを増設などさまざまな支援を行ってきたと話しました。また、コロナ禍で支援対象が変化し、自分たちから助けを求めることができる人たちの対応で手いっぱいになり、助けを求めることもできない女子たちに手が行き届きにくくなっている課題にも言及しました。

 その上で、児童相談所と一時保護の問題としては(1)開所時間が子どもたちのニーズに合っていない(2)児童福祉司の専門性の不足(3)一時保護所での子どもへの人権侵害がある(4)出会った子どもたちの受け皿、アフターフォローの必要性――等を指摘。「児童相談所は夜間・休日を問わず、いつ駆け込んでも助けてくれる機関であるべき」「専門性のある児童福祉司を採用し、専門性や知識を重ねながら長く勤務し続けられる仕組みが必要。乳幼児と中高生では対応の仕方や必要なスキルも違うため、10代の子どもたちに対応する専門チームを作るなどの体制を整えてほしい」「一時保護所の体制の見直しが必要」「支援につながった子どもたちの受け皿を増やすための『自立援助ホーム』の増設、その枠組みで難しい子どもや女性たちについては婦人保護施設の活用や新たな施設の検討が必要」などと求めました。

 また、民間団体と婦人保護施設や公的機関との連携に関しては、より支援につながりやすくなるよう婦人保護施設を利用できる対象や要件の緩和、民間支援団体への資金援助などを要望。2018年度から若年被害女性等支援モデル事業を通して見えた課題と改善に関する要望としては特に、仁藤さんたちが出会っている若年女性は、女性相談に行くハードルが高く、心理的負担が大きいために公的支援につながれていない現状があるとして、公的支援のあり方を見直す必要があると指摘しました。

 仁藤さんは、自らの活動について「伴奏型支援とも言うが、支援には終わりがないと考える」と強調。「自立とは、困ったときに安全なところがあること。信頼できる関係性をいくつも持つことが大事」だと話し、多層的な支援があることが大事だと訴えました。