2021年4月6日

いわゆる「こども庁」の創設について(談話)

立憲民主党  政務務調査会長     泉 健太
子ども・子育てPT座長 大西 健介

 菅総理が、「こども庁」の創設に向けて、自民党内で総裁直属の機関を設けて検討するよう指示したとの報道がありました。
 私たちは、旧民主党政権の時代から、子ども子育て政策を一元的に立案・遂行する独立の省庁の創設を訴えてきており、旧立憲民主党、旧国民民主党ともに、前回の参議院選挙政策の中に、「子ども家庭省の設置」を掲げています。

 最近では、政府・与党において、私たち野党がかねてより提案している「小学校の35人学級」や「幼児教育・保育の無償化」などの政策をようやくとりいれるようになりました。
 また私たちは、この他にも①保育士・幼稚園教諭等の給与の5万円の処遇改善(「保育士等処遇改善法案」)、②コロナ禍における子育て支援施設(保育所、学童保育、幼稚園など)の職員に対する5万円の慰労金の支給(「コロナ対応医療従事者等慰労金法案」)、③子どもの貧困改善に向けた数値目標の記載などを提案しています。「こども庁」創設というのであれば、それ以前に、野党が提案したこれらの施策を、早急に実行すべきです。
 子ども・子育て政策を一元的に立案・遂行する独立の行政組織の創設についても、真に子どもにとって最善の利益となるようなものにするために、与野党協議を求めていきたいと思います。

 「こども庁」の詳細は不明ですが、その所掌範囲や関係する政策分野は幅が広いため、どの政策を包含する省庁とするかは議論のあるところです。
 ちなみに、民主党政権当時に検討されていた案では、関係する法律だけで63本もありました。
 少なくとも、厚生労働省や文部科学省の権限のかなりの部分を切り分けて、一元化し、直接の権限まで持たせるものとしなければ意味がありません。仮に、一部報道にあるように、教育を所管する文部科学省の抵抗を避けて、未就学児だけを対象とするものとなるのであれば、看板倒れとなる恐れもあります。また、幼児教育・保育に関する文部科学省や厚生労働省の権限の一部を切り出し、細かく分けることで、かえって複雑な組織にならないか懸念があります。

 単に新たな行政組織という「箱」をつくるだけでなく、他の先進国と比べても少ない子ども・子育て予算や教育予算を大幅に増やしていく必要があります。
 その点では、児童手当を削減しようとしている菅政権の姿勢には疑問を持たざるを得ません。

 立憲民主党は、選挙目当ての政争の具とするのではなく、チルドレンファーストで、本当に子どもにとって最善の利益を考えて、これまでの議論の積み重ねや過去に検討されていた「子ども家庭省設置法案」も参考にしつつ、法案の検討を進めます。

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