「(東京五輪開催について)そろそろ精神論ではなく、どのような形で本当に開催できるのか、国会でしっかり議論すべき時期に来ている」(渡辺周幹事長代行)。14日、渡辺周幹事長代行が国会内で定例会見を開催しました。会見で渡辺幹事長代行は、(1)熊本地震から5年(2)政府のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策、特に菅総理の「大きなうねり」発言(3)東京オリンピック・パラリンピックまであと100日――といったテーマについて取り上げました。

■熊本震災から5年

 熊本地震から5年経ったことについて、渡辺幹事長代行は「われわれにとって、心に刻まなければいけない日だ。改めて、犠牲となられた方々に哀悼の意を表すとともに、被害に遭われた全ての皆さま方にお見舞いを申し上げたい」と述べました。また「鹿児島・トカラ列島沖の地震など、最近大きな地震が続いている。警戒を怠らないようにしたい」と述べるとともに、次期選挙に向けた公約では、防災対策を充実させる考えを示しました。

■COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対策と菅総理の「大きなうねりとなっていない」発言

 東京都で緊急事態宣言解除後、新規感染者数が最多となり、大阪府でも新規感染者数が1千人を超える一方で、新型コロナウイルス感染症の感染状況について菅総理が「全国的な大きなうねりとまではなっていない」と、参院本会議で発言した点に言及しました。渡辺幹事長代行は「尾身茂政府分科会会長は『第4波ではないか』とまで仰っている。医師としての良心から、あのような発言をされたのだと思う。その一方で菅総理は政治的な思惑から根拠の分からない発言を繰り返している。政府として共通認識ができていないのではないか。共通認識がないと間違った発信となる」と政府としての情報発信のあり方に疑問を呈しました。

 今後については「まん延防止等重点措置ではなく、緊急事態宣言を視野に入れつつ、今後の推移を見守らなければいけない」と述べるとともに「駅の北と南でまん延防止等重点措置の適用が異なるなど、実効性が疑われるような事例が出てきている」などと指摘。政府のコロナ対策について、国会での集中審議を求めていることを明らかにしました。菅総理の発言については「当然、国会で取り上げていく」と述べました。

■東京オリンピック・パラリンピックまであと100日

 東京オリンピック・パラリンピックまであと100日となったことについて、渡辺幹事長代行は「国際水泳連盟の飛び込み(競技など)予選3大会が中止、もしくは先送りになり、水球のテスト大会も先送りとなっている。また政府は、予選大会に競技参加する選手向けの入国ビザをまだ1回も発給していないようだ」と指摘。「丸川珠代オリンピック・パラリンピック担当大臣も、橋本聖子大会組織委会長も『ワクチン接種をしない大会』だと言いながら、200カ国を超える国から選手団、その関係者を入れると1万人と言われる人々の入国を受け入れようとしている。本当に可能なのか」と、五輪の実現可能性について疑問を投げかけた上で、「総理官邸においてオリパラ開催と、いわゆるコロナ対策の調整会議というものがあったが、昨年の12月2日を最後に、もう4カ月間も開かれていない。はなはだ政府の本気度が疑われる」「そろそろ、もう精神論ではなくて、どのような形で本当に開催できるのか、国会でしっかり議論すべき時期に来ている。われわれも池江璃花子さんのあの涙に応えるためにも、どのような形でなら実現可能なのか、何とか現実的な方法を模索をしたい」と述べました。

 また、選手に対するコロナワクチンの優先接種の検討については「世の中でまだワクチンが行き届いていない中で『選手を優先するのか』ということについて、ご批判もたくさんある。それを乗り越えてでも政府、あるいはJOCが五輪を『やる』という強い決意があるならば、やはりワクチン接種をどう実施するかについて、現実的な議論を始めなければならない」と述べました。また「逆算をすれば、5月中には1回目の接種はしなければいけないというワクチン専門家の指摘もある」とも指摘しました。