泉健太政務調査会長は28日、国会内で定例記者会見を開き、(1)3選挙勝利の要因(2)政府の新型コロナウイルス感染症対応(3)ワクチン接種(4)東京オリンピック・パラリンピック――などについて発言しました。

■3つの補選・再選挙を終えて
 泉政調会長は、25日投開票の3つの補欠選挙・再選挙で3勝した要因について「長期政権において数々の腐敗が起こっている。政治と金の問題がこれだけ頻発しているが、緊張感があればあり得ない、起こり得ない。また、政府によるコロナ対策の失敗が特に菅政権で顕著になっている。現在亡くなられた方が1万人を超えたが、実に85%が菅政権発足(昨年9月16日)以降に亡くなられている。これは本当に異常だ」と述べ、菅政権は新型コロナウイルス感染症に対して無策であり、策があったとしても誤っていると厳しく批判しました。

■新型コロナウイルス感染症対策
 同日朝のニュースで報じられた、東京大学の仲田泰祐准教授らが発表した推計で東京の新規感染者500人で解除した場合、ワクチン接種を始めてもリバウンドが生じ、緊急事態宣言を繰り返し発令しなければいけなくなることを取り上げ、「私もこのデータを、2月5日の予算委員会でパネルを示して菅総理に問いただしたが、本当にグラフの通りになっている」と述べ、緊急事態宣言を出しては反転する、患者が減った状況やステージが変ったらすぐに解除してしまうという政府の対応は間違っていると指摘しました。「夏のオリンピックまでに東京で感染拡大が起こらないシナリオというのは(新規感染者数が)100人の時点で解除するということしかない。政府は重く受け止めるべきだ」と語りました。
 緊急事態宣言を解除するタイミングについて、「菅総理は患者が減ると喜んで効果があったと思ってしまう。どこまで減らし、その後どういう状態を持続させるのかには関心がない。ステージ4から3に下がる時点で経済を回そうという側に進んでしまうが、同シミュレーションによると、500人で解除、あるいは200人で解除した場合の経済損失は3兆4,000億円程度、100人で解除した場合は2兆6,000億円。厳しい基準で解除した方が、その後大きなリバウンドが起きないので経済損失が少ない」と説明し、菅総理は早く解除した方が経済損失が少ないと勘違いしており、総理をはじめ関係大臣は認識を改めるべきだと語りました。
 また、緊急事態宣言下の感染防止対策について政府や一部の知事の国民への呼びかけが雑になっていると指摘し、人の流れの抑制や百貨店などの閉店要請が的確な要請かには疑問があり、同居家族以外とはマスクなしでの会話を避けること等、丁寧で説得力のあるメッセージの発信が必要だと述べました。

■ワクチン接種
 菅総理が高齢者へのワクチン接種を7月末を念頭に終えると発言したことが自治体に混乱をもたらしていると指摘しました。政府が大規模な接種センターを設置することについて「東京限りにおいては1つの策かもしれないが、全国においては非常に困惑している自治体が多い」と述べ、党としても接種促進策を検討し、提案していきたいと述べました。

■東京オリンピック・パラリンピック
 政府の新型コロナウイルス対策が不十分で、先行きが見えないとし、「菅総理が本気で東京オリパラを開催する決意ならば、ワクチン確保にも全力を尽くしたはずだが、日本のワクチン確保は世界120位あたり。オリンピック開催国の責任として由々しき事態だ。当然、昨年から確保しておかなければいけなかった」「国内でオリパラ終了までの間の感染者数シナリオをどのようにするのか、全く考えが見えない。開催直前になっても、緊急事態宣言を発出せざるを得ない状況にしてしまっており、総理は無策、無責任だ」と批判しました。
 また、同日夕方に行われるオリパラに関する5者会議では、大会の開催の是非について真正面から議論すべきであり、開催するのであれば、国内の医療提供体制をどのように確保するのかを責任をもって決めるべきだと語りました。医療従事者のマンパワーには限度があるとし、オリンピックよりも国内の医療提供体制、ワクチン接種を優先して考えるべきだと主張しました。さらに、大会の開催が不透明な中で、たとえばホテルがオリパラ関係の客室を確保するために期間中の一般の予約を中止するなど、関連する事業者が多いことから、政府に早期の決断を重ねて求めました。