枝野幸男代表は28日、国会内で定例の記者会見をおこないました。枝野代表は、(1)3つの国政選挙勝利(2)「枝野ビジョン 支え合う日本」の出版(3)COVID-19ワクチンの高齢者への接種を7月末までに終わらせること(4)東京五輪期間中の看護師派遣要請(5)ワクチンの大規模接種センター設置――について話しました。

 25日投開票の3つの国政選挙で全勝したことについて、「国民の皆さんの今の政治の現状に対する不信、不安、不満、怒り、いら立ちを『われわれが受け止めることができる』と示していけるように、責任が重くなった意識をしっかり持って、特に感染症対策、さらにはわが国の将来像を明確に示していきたい」と力を込めました。また、5月20日付で「枝野ビジョン 支え合う日本」と題した総選挙に向けて提示する社会像のあり方を記した著作を出版することに触れ、出版日が近づいたら会見することを報告しました。

 政府が、COVID-19ワクチンの高齢者への接種を7月末までに終わらせるとしていることについて、「政府が無理やり、各自治体の事情を考えずに指示をおろしているようだが、このことで自治体が大変な混乱を招く状況になっているのではないか」と強く危惧しました。そのうえで、「これまでの接種に向けての準備状況や各自治体等の計画を考えると、前倒ししても7月末までに打ち終わるのは到底困難。どうしても7月末までできるなら、かなり具体的な根拠を示さないといけない」と見解を述べました。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が東京オリパラ開催期間中に500人の看護師派遣を要請したことや、感染した選手等を受け入れる30の指定病院を確保する準備をしていることについては、「すでに感染症対策で非常に困難な状況の東京都にそれを求めて、仮に東京が応じるならば都民の命と健康が害されることがあってはいけない」と強調しました。

 都内にワクチンの大規模接種センターを設置することを菅総理が防衛大臣に指示したことについては、「自衛隊に最大限の協力をいただいたこと自体は前向きな話として受け止めるが、詳細がよくわからない」と述べました。また、「必要なワクチンを確実に、間違いなく、この日にどれくらい届くと各自治体にできるだけ早く示すことこそが国のやるべきこと。国が直接乗り出すならばむしろ検査の拡大に乗り出すべき」と国が民間企業で実施している大規模なPCR検査の活用をすること等を求めました。

 日本銀行が異次元の金融緩和を8年続けても目標としている物価上昇率2%に達しないのはなぜか記者団から問われると、枝野代表は「金融緩和の意味は、潜在的需要が存在しているのが前提。潜在的に需要があるところでお金が調達しやすくなれば、潜在的にある需要が掘り起こされて、消費につながっていく。それが経済を活性化させる。結果的に物価の上昇につながっていく。そもそも潜在的需要が存在していない」と説明。潜在的需要が存在していない理由として「少子高齢社会、人口減少社会になる一方で、昭和の時代にいったん経済大国としてモノの豊かさが行き渡っている中で、求められている必要なものが供給されていない。安心できる老後の医療や介護サービスや安心できる子育てサービスという需要のあることが提供されていないのが一つ、もう一つは、需要側にそもそも潜在的購買力が存在していない」と述べ、低所得、格差拡大、不安定な雇用で潜在的な需要が顕在化されないことを理由としてあげました。

 コロナ禍でどの程度の予算規模で補償をすべきか問われると、「必要なのは、財政規律に一時的に目をつぶってでも必要な財政出動はするべきである。現状、当初予算は決定的に足りない」と述べました。