「この夏、東京でやるのかやらないのか、あるいはやった結果、大変なことになってしまうのかも含めて、やはりここは政府、東京都、組織委員会、あるいはJOCが、そろそろ本気で集まって考えて頂かなくてはならない」(蓮舫代表代行)。

 蓮舫代表代行は12日午後、国会内で定例の記者会見を開きました。

■「国際看護師の日」について

 蓮舫代表代行は冒頭、19世紀の看護教育者フローレンス・ナイチンゲールの誕生日にちなみ、5月12日が「国際看護師の日」とされていることに言及しました。「今、日本のみならず世界中で看護師の方たちが、感染症の方の命を救うため、守るために本当にご尽力を頂いていることに、改めて感謝をさせて頂く日だと思った。この場でも改めて心からの敬意と感謝を申し上げたい」と表明しました。

■緊急事態宣言の延長について

 この日から緊急事態宣言が延長されたことについて蓮舫代表代行は「対象となる地域を人口で見ると7,800万人。実に国民の62%に影響が及ぶ。本来なら、菅総理からは『緊急事態は5月一杯で必ず終わる』『自粛と補償はセットだから安心してほしい』というような力強く安心できるメッセージを頂きたいところだが、先日の衆参の予算委員会での枝野代表や私に対する答弁を聞くと、むしろ不安、心配になるようなことがあまりに多い」と述べました。また政府の対応の一貫性のなさに触れて、「例えば映画館はダメで、なぜ演劇場はいいのか。国立の文化組織とそれ以外の扱い。百貨店など大型店舗についても、(自粛要請の対象外である)生活必需品の判断が店舗によってマチマチだったり、あるいは一旦減便された電車が車両の混雑で減便を取りやめたり。対応のちぐはぐさというものも目立つ」と指摘。「政府が措置する感染防止策が後手後手な上にバラバラで、国民や緊急事態宣言等を受けた地域の人たちの混乱にむしろ拍車をかけているのが非常に心配だ」と政府の対応を批判しました。

 政府が突如提案した、首都圏における大規模ワクチン接種センターについては「当初、自衛隊に任せるとしていたものが、2施設30億円の随意契約で民間に丸投げ。本当にこれで適切なのか。今日ようやく予約方法や予約の開始日を公表すると言うが、再来週の24日から接種をスタートするという割には、詳細が詰まっていないのではないかと疑ってしまう」と政府の準備不足に対する懸念を述べました。また「24日からワクチン接種を始めた場合、東京は緊急事態宣言下だ。1都4県の、リスクの高いご高齢者に、公共交通機関を使い県境を越えた移動をさせ、一カ所に集め『密』の状態を作ることを本当に良いと考えているのか」と、政府の計画に対し懐疑的な見方を示しました。

 また記者団との質疑で、ワクチンの有効性についての考えを問われると「確かに切り札だとは思っているが、一過性のものではないとも思っている。一回で終わるものではなくて、開発研究を進めてバージョンアップをして頂かなければいけない。来年インド由来の変異株が流行らないとも限らないし、他の地域由来の変異株が登場するかもしれない。そこはウイルスとの戦いであり、追い続けなければいけない切り札だと思っている」と答えました。

 党が求める対コロナ対策について問われると(1)国民がワクチンを接種し終えるまで、「zeroコロナ」戦略に基づく徹底した検査を行うこと(2)今、流行ってる株が変異株なのかを明らかにするための大規模なゲノム解析(3)徹底的な変異株クラスター潰し――といった点を挙げ、こうした分野に予算や人を徹底的に投入することが必要だと述べました。
 また「感染者が少なくなっている時にこそ、医療体制をしっかり構築しなければいけない。有限な資源医療に対する積極的な財政支援、それと国民の命の安心と安全を優先し、ワクチンを打ち終えるまでは検査を徹底し、クラスターを潰すことに尽きるのではないか」とも述べ、医療機関に対する積極的な財政支援を後押しする考えも示しました。

■出入国管理法改正案について

 出入国管理法(入管法)改正案の審議について、「与党は採決を強行するという姿勢を貫いていた。しかし私たちの方から粘り強く採決は時期尚早であり、名古屋入管でスリランカ人女性が亡くなった理由、あるいは防犯カメラの映像、入管からの報告――これらの開示がなければ実態の伴う法改正にならないと。そういう強い声を上げ続けた結果、今日の採決は見送りとなった」と、報告がありました。

 与党に対して、今後についても自重を促し、「国民の声の中にもSNSを通じて改正に反対や抗議の声も広がっている。ぜひ与党の皆さま方には冷静になって頂き、野党の声だけではないのだ、野党の後ろにはたくさんの国民の声があるということをご理解頂き、拙速な採決は見送って頂きたい」「法案は一旦廃案とし、与野党が納得できる法案として出し直してほしい」と要請しました。

■東京オリンピック・パラリンピックの開催について

 東京オリンピック・パラリンピック開催の是非について問われると「私たちも感動を皆さまと共有させて頂きたいし、選手の皆さまのこれまでの努力がしっかりとした形となって、多くの方々から応援をいただける大会を期待していた。ただ実際に7月に開けるのかどうなのか。昨日、菅総理に予算委員会で直接たださせて頂いたが、来日される五輪関係者、メディア関係者の総数も分からない。来日する方々が街中をうろうろすることは『絶対にない』と言うが、その根拠もわからない。1日でワクチンを打つ方の人数、提携病院の病床数も分からない。救急車で選手や日本の方が運ばれた時、どちらをとりあえず優先しなければいけないかの判断を医師に押し付けてしまうような環境があるとすれば、それはやはり平和の祭典ではないのではないかという思いで聞かさせて頂いた。あの日の質疑を通じ、今、本当に五輪が開けるかどうか、国民の皆さま方がご判断頂ける材料を提供することができたと思っている」と述べました。

 また「この夏、東京でやるのかやらないのか、あるいはやった結果、大変なことになってしまうのかも含めて、やはりここは政府、東京都、組織委員会、あるいはJOCが、そろそろ本気で集まって考えて頂かなくてはならない」と開催について早期の本格的な検討を関係者に求めました。