「自分の力ではどうにもできない困難にぶつかった時、最後に助けてくれるものが政治だと信じている」。枝野幸男代表らは10日午後、大学の入学金の納入時期延長を求めて活動をしている大学生から「受験における機会均等のための要望・提言」と37,153筆の署名簿を受け取り、その後意見交換しました。

 日本大学の五十嵐悠真さんは、大学受験における機会の不平等の実情を説明しました。五十嵐さんら「入学金納入時期延長を求める有志の会」の調査によると、都内の私立大学で2月中に入学金の納入期限が来る入試方式を採用する大学が42%あると報告。それによって、3月に合格発表がある国公立大学を第一志望にした場合、入学しない大学に入学金を支払うのが難しい受験生は、42%の大学を選択肢から外す必要があると説明しました。入学しない大学にも入学金を払う今の仕組みが、受験生の選択肢を狭めたり、進学のチャンスさえ奪ったりしている窮状を訴えました。この現状を是正するため、五十嵐さんは大学受験における機会均等のため入学金に関して4つの対策、さらに受験における機会均等のための4つの提言を要望しました。

大学受験における機会均等のための入学金に関して4つの対策

(1)大学に対し、入学金の納付締切日の延長を要請する通知を発出してください
(2)もし私立大学が「入学しない学生から取る入学金」なしに経営できないのであれば、国が高等教育への支出を増やしてください
(3)学生個人への経済的支援を増やしてください
(4)入学金に関する全国的な実態調査を実施してください

受験における機会均等のための4つの提言

(1)高校、専門学校、大学院受験においても入学金の納入期限を延長する
(2)受験期の資金調達について、公的な支援を増やす
(3)大学の詳細な会計の公開を義務付ける
(4)生活保護世帯の高卒者への就労指導を弾力的に運用する

 最後に五十嵐さんは、「今回の提言は大学受験をする人からの要望だが、中学や高校に行く段階で大学に行くという選択肢が考えられない人もいる。どんな家に生まれても、大学に進学することをあきらめなくてよい環境を作りたい」と述べました。出席議員に対して「自分の力ではどうにもできない困難にぶつかった時、最後に助けてくれるものが政治だと信じている」と締めくくりました。

 慶應大学の長嶋優斗さんは、「奨学金は入学後の話なので、それ以前の段階から支えないと、高校生や受験生は大学を受験することに向かえない。大学生活は楽しく貴重な経験。それを親がお金がない、親がお金を出してくれないという理由だけで、不可逆的に奪われるのは本当に悲しい」と訴えました。

 提言を聞いて枝野代表は、政治に届いていない多くの若者の声を届けてもらったことに謝意を述べました。受験期の資金調達が深刻な問題であるとの共通認識を示し、「全部を一度に解決することは簡単なわけではないが、できるだけ早く結果を出していきたい」と表明しました。具体的に動くため、党の文部科学部会、つながる本部、青年局の責任者に同席してもらっていると伝え、つながる本部の逢坂誠二事務総長、大西健介事務総長代行(子ども・子育てPT座長)、文部科学部会の斎藤嘉隆会長、石川大我事務局長、横沢高徳事務局次長、青年局の近藤和也局長を紹介しました。

受験における機会均等のための要望提言.pdf