25日に東京都議会議員選挙が告示され、秋までには衆院議員選挙も行なわれます。こうした選挙に向けてどのように臨むのか、枝野幸男代表に話を聞きました。

――東京都議会議員選挙が告示されました。この選挙の位置づけは

 都議選は衆院選の前哨戦と言う人がいますが、住民の皆さんにとっては国政と地方政治はどちらも同じように大事です。ただ、日本全国の人が東京との関係は少なからずあるので、都民の皆さん以外にも大きな影響があります。
 その結果として衆院選に影響を及ぼすのも間違いありません。党の東京都総支部連合会(都連)が中心となり、党本部としても総合選対本部の下に対策本部を作り党全体で最大限のバックアップをして戦います。

――候補者の擁立について

 4年前の選挙のあり方や結果などから、一から候補者を見つけていかなければならない地域が多かったことで都連も相当苦労しながら、それでも戦える選挙区では、それぞれ良い候補者が名乗りをあげてくれましたので、今の議席構造を大きく変えたいと思うし、変えることができると思っています。

――都議会議員選挙の争点は

 最大の関心はやはり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策で国としての方針や政策も重要ですが、感染拡大防止対策や、苦境に立たされている皆さんへの支援など、自治体ごとにかなり差があるのも間違いありません。『zeroコロナ』に向けた感染防止の徹底と、事業者や生活困窮者への支援、背景になっている医療や介護のぜい弱さの克服など、国政の課題と共通すると思います。

――半年以内に行なわれる衆院選、どのように臨むか

 8年以上続いた自公政権が限界だということは、多くの国民の皆さんがこの国会を通じて気づかれたと思います。
 COVID-19対策が一番大切ですが、その背景になっている医療体制などをどんどん切り捨ててきた大きな流れもおかしいし、公文書の隠ぺい、改ざん、そして時代が逆戻りしたのではないかという悪質なスキャンダルの連続。
 自公政権を変えたいという思いは、多くの皆さんが持っている。問題は、立憲民主党に変えて大丈夫かということ。どうしたら安心をしてもらえるのか、そのことが最大の争点になるのではないかと思います。

 COVID-19の感染が広がり始めて以降、われわれの方が明確に先手先手で政策を提起し、政府・与党が後追いをしています。政府・与党が後追いをしなかったものは結果的に、その部分は大きな穴になってしまっています。この1年半位、きちんと実績を上げてきている自負はあります。
 COVID-19対策だけではなく、例えば入管法の改悪を阻止したり、1年前は検察庁法の改悪を阻止したりと、きちんと結果を出していることを伝えていくことが必要です。
 それから、メディアの皆さんや与党はいろいろ揶揄(やゆ)されますが、合流以降、人数が増えて大きな規模になり多様な意見があるなか、党全体で議論して決めたことを、みんなできちんと進めていくことができています。最近のLGBT法案の自民党内の混乱などを見ると、どちらがバラバラでまとまっていないのかを、こちらから指摘できるだけの実績は積み重ねてきたと思います。

――政策面で訴えたいことは

 選挙の時期とCOVID-19の感染状況によってウエイトのかけ方が変わってくるかもしれません。しかし、これは裏表だと思っていますが、COVID-19対策と、ベーシックサービスとわれわれが呼ぶ、中長期的な医療など命や暮らしを守るための最低限のきちんとしたサービス、これが非常に弱くされてしまったことについて訴えていきたいと思います。
 医療を切り、保健所を減らしてきた流れを180度転換させます。これは医療分野だけではなく、介護の分野や、子育て支援などもそうです。
 それから、例えば一次産業で儲かるところは支援するけれども、地域社会を支え水と緑を守っている一次産業をどんどん切ってきた。こういったところを180度転換をして、きちんと暮らしと命の安心を高めていく、そういう政策へ転換させます。
 8年間の自民党政権とまったく逆方向に変えていくという明確な対立軸は作ることができています。

――コロナ禍での選挙になると思いますが、どう戦うのか

 一つは、ネットを最大限に活用していく予定です。ただネットでは、街頭演説のように不特定多数に呼びかけることには効果を上げにくく、また、熱伝導と選挙の時に言いますが、われわれの熱い思いを伝えていく集会のようなものはネットを通じてやりにくいので、それをどう補っていくか、手探りしながらやっていくしかないと思います。
 それぞれの候補予定者も、党本部も戸惑いながら、迷いながらやっているというのが正直なところです。
 ただ条件は一緒なので、あまりぼやいていたり、悩んでいても仕方がない。やれることを最大限やっていくことだと思います。

 選挙の基本ですが、日頃の人間関係に基づいた、いわゆる『口コミ』は都議会議員選挙でも年内にある総選挙でも、今まで以上に大きいと思います。
 皆さんには、口コミこそが選挙運動の中心だという思いで、ぜひそれぞれのできる範囲の中で、ご協力をいただければありがたいです。
 仮に新型コロナが落ち着いたとしても、いまのままでは国民生活を立て直すことはそう簡単なものではありません。政治を変えないと命と暮らしを守れない。われわれも頑張りますので、ぜひお力添えをよろしくお願いいたします。