参院議院運営委員会で8日、政府から新型コロナウイル感染症への対応についての事前報告と質疑がおこなわれ、立憲民主党の吉川沙織議院運営委員会筆頭理事が質問に立ちました。

 西村康稔経済再生担当大臣は、(1)東京都に4回目の新型コロナウイルス緊急事態宣言を12日から8月22日まで発出する(2)沖縄県への緊急事態宣言の期限を8月22日まで延長する(3)埼玉、神奈川、千葉、大阪の4府県のまん延防止等重点措置を8月22日まで延長する――方針について説明しました。

 吉川議員は2回目の緊急事態宣言を解除した3月22日からから3回目の宣言発出の4月25日まで約1カ月、そして3回目の宣言を解除しまん延防止等重点措置に移行した6月21日から今回の宣言発出までは約3週間しか経っていないと指摘しました。その上で、人流が増加傾向になっていたのに宣言を解除し、「まん延等重点措置に移行して実施したが、有効でなかったために緊急事態宣言に戻らざるを得ないのではないか。何が要因だったかと分析しているか」とただしました。西村大臣は、3回目の宣言時は5月の連休期間中で百貨店の休業や酒類提供の停止など極めて強い措置をとって感染抑止に効果があったが、それを解除したことで人々の気持ちも和らぎ、陽気がよくなっていることで人流が増えたことに加え、長引く自粛要請の中で協力いただけない店も出てきたと説明しました。

 吉川議員は、6月17日の基本的対処分科会で、専門家が東京で人流の増加が始まり、7月に感染者、重症者が増加する可能性があると懸念を示していたにもかかわらず、政府として宣言解除を決定したことについて「解除から3週間後に4回目の宣言発出に至ることはまったく想定できなかったとは言いきれず、3回目の宣言解除の判断は適切だったかどうかは疑義が残る」と述べました。その上で、緊急事態宣言の発出・解除を最終的に決定するのは新型コロナウイルス感染症対策本部で、その本部長は菅総理だと指摘し、「仮にこのままオリンピックを開催するのであれば、感染症による国民の生命、生活、経済への影響を拡大させない、改善に導いていく、そのために具体的にこのような措置を講じていくということを今回こそ、政府対策本部長たる総理が出席し、国民の代表が集う国会報告の場で説明すべきだったし、納得を得る努力をすべきではなかったか」「今年1月から新型コロナウイルス感染症について委員会で政府から事前報告があったのは17回だが、総理の出席はたったの2回」と国会で説明責任を果たさない菅総理の姿勢を批判しました。

 吉川議員は、野党が新型コロナウイルス感染症に迅速に対応するため、通常国会の会期延長を求めても政府与党が応じなかったことに言及し、「大臣は先手先手の対応とおっしゃるが、早急に立法措置が必要な場合、国会が開かれていなければ立法措置は取れない。どのように対応するつもりか」とただしました。西村大臣は閉会中審査で状況などについて丁寧な説明をおこなっていきたいと述べた上で、「当然、法律の審議となれば国会を開かなければならないので、それは状況を見ながら判断されていくものと考えている」と答弁しました。

 吉川議員は政府が感染症対策について予備費を活用しようとしていることについて、「事案の性質上、予備費による対応を否定はしないが、予算の事前議決の原則から、必要であれば補正予算において国会において議論するのが筋。また、今般の熱海市の土石流の問題をはじめ、さまざまな課題が山積している。国会が開かれていなければ、十分な議論をおこない、法律を成立させることができない。社会全体が共通の危機感を共有し、対処することが求められる中、国会として何をすべきか。唯一の立法機関として立法機能を放棄するようなことがあってはならない」と臨時国会の召集を強く求めて質疑を終えました。