党副代表で厚生労働部会長を務める長妻昭衆院議員は12日、一般社団法人反貧困ネットワークが開いた討論集会「コロナと貧困に殺される。政治は、いますぐ公的責任を果たせ!」に参加し、立憲民主党の考えについて説明しました。

 長妻議員は4日投開票の都議会議員選挙について「格差に対してきちんと反論する政治勢力が都議会の中で増え、4分の1を上回ったことは良かった」と述べました。また、ホームレス状態や生活困窮状態にある方たちのために毎週土曜日におこなわれている「新宿ごはんプラス」(無料の食事提供、相談・支援)など、生活困窮者の支援に尽力されている方々に敬意を表しました。

 コロナ禍で日本のぜい弱な社会システムが露わになったことに触れ、「IMFやOECDが格差が拡大すると、経済が成長できず、社会も発展しないというレポートをかなり前から発表しているにもかかわらず、いまだに日本の政権中枢は、格差対策は一部の方だけの対策に矮小化し、予算も、政策も小粒に陥っている」と批判しました。その上で、「これを何とか打開することがわれわれの大きな使命だと思っている」と立憲民主党と現政権との違いを強調しました。

 根本的に変えていかなくてはいけないことの1点目として生活保護制度を挙げ、「今の制度は、入りにくく、出にくい。注意深くやらなければいけないが、状況に応じて、単品で(各種扶助の)単給という形をうまく組み合わせて構築できないか」を検討する考えを示しました。

 また、社会の発展を測る物差しを変えるべきだとし、GDPではなく、GPI(Genuine Progress Indicator:真の進歩指標)という指標を用いるべきだと主張しました。その指標では、GDPが伸びても格差が大きくなったり、環境が汚染されたりするとGDPから差し引かれる一方、GDPに含まれない家事労働、地域活動等が換算されてGDPに加算されると説明しました。「そのような望ましい社会の姿を描く物差しがないから貧困格差問題もなかなか、大きく解決に進まない。大きなパラダイム変換、基準となるところを変えることが必要」と述べました。

 さらに、国として相対的貧困率を改善する目標を持つ必要があると提起しました。G7の中で日本がアメリカに次いで2番目に相対的貧困率が高いことを取り上げ、「(今の政権は)このことについても非常に抽象論に終始している」と指摘した上で、「このくらいのポイントを改善しなければいけない、そのためにはどうしたらいいのか、ということをきちんと持つべきだ。それによって社会も発展するし、結果として経済の基盤も固まる。経済成長と格差対策は相反することではなく、格差対策はむしろ、経済の基盤を固めることにつながる」「こうしたところで、日本がブレークスルーしていかないと、本当に一部の恵まれたところに育った人が(高等)教育を受けて、世界の中で活躍するのでは日本の国はもたない。どんな環境に生まれても適切な教育を受け、本人が望めば社会の中で役割を果たしていかれるような社会こそ発展するし、結果として経済の基盤も固めることにつながる」と述べ、このような発想を粘り強く訴えていきたいく考えを示しました。