枝野幸男代表は18日、訪問先の福岡県で記者団の取材に応じました。福岡県入りの目的、空白区への対応、総選挙の想定日程、国会召集要求、五輪・パラリンピックへの対応などの質問に答えました(写真上は、同日おこなわれた博多駅前での街頭演説の様子)。
福岡県入りした目的について
衆院福岡1区、3区、5区を訪れた目的について問われた枝野代表は、「衆院総選挙がカウントダウンになってきた。福岡県には今日入れなかった選挙区を含めて良い候補者が何人もいるし、歴史的に見ると非自民が一定の力を持っている地域であるにもかかわらず、まだその力が発揮できていない。そうした意味では全国の中で重点的にテコ入れをしていかなければならない地域だ。都議選後、できるだけ早い段階で訪れたいと考えていた」と述べました。
福岡5区の保守分裂について
保守分裂になっている福岡5区での戦い方については、「どういう状況であってもこちらのやるべきことは一緒。今の政権に対して、不信や不安、不満を持っている方にしっかりと、私たちにはもう一つの具体的な選択肢があることをどうしっかり伝えていけるかだ。戦い方で変わりはない」と答えました。
野党共闘の進め方について
野党共闘の進め方については、「それぞれの政党の事情、立場がある。そうした中で、できるだけ候補者を一本化できるところはしたほうがいいことは、かなりの皆さんが共有している。本部としてできること、あるいは地域の状況の中でできること、それぞれが最大限におこなっていくことに尽きる。個別の事については相手もあるので、あまり私から言わない方がいい」と述べました。
空白区への対応について
福岡県内の空白区への対応については、「最大野党として他党との連携が重要である一方、できるだけ全国全ての小選挙区に基本的に(候補者を)立てたいし、立てる責任がある。その前提の中で他党との連携だと思っている。選挙は近いが、空白区に可能であれば独自の候補を立てたいと思っている」との認識を示しました。
次期総選挙投開票を10月3日と想定していることについて
次期総選挙の投開票日程を10月3日と想定している理由、そこに向けてどう準備を進めていくかについて問われました。「(総選挙日程を)決めるのは相手なので、1週間とか2週間などのズレが出る可能性はあるが、ここまで来ると、印刷物の日程なども見込んで準備、組み立てをしないと間に合わなくなる。そうすると一番早いケースで可能性の高いのは10月3日であろう」と考え、党都道府県連に対して、その想定で準備をするよう促していくと語りました。
内閣支持率の急落要因について
各社の世論調査で菅内閣支持率が急落している要因とそれに対する西村大臣の酒類取引停止発言の影響について所見を求められました。枝野代表は、従来から個別の世論調査の結果について評価を示していないとの立場を表明した上で、「(西村大臣の)個別の言動というよりもその背景にある過去8年間、9年間で安倍、菅政権の『説明をしない』『隠ぺい改ざんをする』『強権的である』という体質に対する批判であるので、西村大臣よりも菅総理に向かっているのではないか」と分析しました。
野党からの国会召集要求への与党の対応について
立憲民主党など野党からの国会召集要求に対して自民・公明の与党側が否定的な対応を示していることへの受け止めを問われました。「堂々と『憲法を守らない』と発言しているに等しい反応であり、許しがたい。憲法上、(国会召集の)要求があった場合には召集することができるではない。召集しなければならない義務が課されている。時期はいつにしてほしいなどの話はあり得たとしても、召集そのものを拒むというのは明確な憲法違反だ。政府自ら、政府与党の幹部自らが憲法違反を公言しているとんでもない状況だと言わざるを得ない」と政府与党の対応を厳しく批判しました。
公明党代表の有観客発言について
公明党の山口代表がパラリンピックに有観客を求める発言をしたことへの見解を求められました。「オリンピック、パラリンピックの観客問題は、個々の会場における競技場内の感染リスクの問題というよりも、多くの人が日本中から東京、その周辺に集まってくるという人流の問題と、そういう状況の中で特に首都圏で感染が広がっている中で、自粛の要請には応じてもらえるのかという問題である。今、東京は感染爆発と言っていい状況で、それがいつ止まるか分からない状況で、自粛要請に水を差すような発言をすることは信じがたい」と述べました。
バッハ会長歓迎会、五輪・パラリンピック開会について
18日夕に開かれるバッハIOC会長の歓迎会への所見、五輪・パラリンピックへの対応について問われました。「私は、バッハ会長はリモートで開会式に参加すればいいのではないかと発言してきた。そもそもなぜ日本に来ているのか。飲食は出さないと報じられているが、特に東京、周辺で自粛を求めている状況で、国民の皆さんがどう受け止めるのかという視点が全く欠けている」と厳しく指摘しました。
五輪・パラリンピックの開会については、「もちろん開会が近づけば近づくほど、実際に止めるのは困難だという状況を全く認めないわけではない。過去にも、開会式前日に東京に直下型地震が起きたら、中止せざるを得ないだろうとか、万が一にも大国同士の戦争が始まれば、開けないだろうと言ってきた。従って今の東京とその周辺の感染爆発状況とそれから政府やIOCが安全安心と言っていた対策が全くザルであるということが明確になっている状況の中では、厳しいけれども今からでも中止、延期をするという選択肢はあると思っている」との考えを示しました。