参院厚生労働委員会で5日、新型コロナウイルス感染症対策に関して閉会中審査が開かれ、立憲民主党の1番手として石橋通宏議員が質問しました。
 石橋議員は冒頭、これまでに経験したことのない感染拡大という緊急事態を受け、立憲民主党をはじめ野党が憲法53条に基づき臨時国会の開会要求をしているにもかかわらず、政府与党がそれに応じず、同日2時間だけの閉会中審査で済まそうという姿勢に対して「何を考えているのかと言わざるを得ない」と猛省を促し、臨時国会を開会し、毎週審議するよう強く求めました。

 政府が新型コロナウイルス感染者の入院対象を重症者等に限定すると表明した問題に関して石橋議員は、「これまでの『原則入院』という方針を180度転換をして今後は例外的に入院で『原則自宅療養』に転換したということか」と田村厚生労働大臣に見解を求めました。田村大臣は、「入院以外の方は原則は自宅療養」「入院を否定しているわけではない」と説明しました。

 これに対して石橋議員は、今回の方針転換が国民に混乱をもたらしていると問題視し、「結局、誰が入院対象になるのか」を確認しました。特に中等症では呼吸困難、肺炎所見があり、それが急変すれば重症化のリスクがあることから「中等症でも原則自宅療養なのか」とただました。田村大臣は、「中等症は原則入院だ」「重症化リスクが低い(中等症の)方は自宅で対応してもらう」などと答弁しました。

 この大臣答弁が厚生労働省が3日に発出した事務連絡とギャップがあると指摘した石橋議員は、「中等症が原則入院となれば、現場の皆さんは訳が分からなくなる。一旦事務連絡を撤回し、今日大臣が答弁したように国の基準、考え方を示し直さないと大混乱に陥る」と懸念の示し、事務連絡の撤回を求めました。田村大臣は「この方向で」などと述べ、撤回要請には応じませんでした。

 また、政府が「原則自宅療養」と打ち出したからには、専門家が提案しているように医師が朝昼晩、自宅療養者の容態観察をし急変に備え「自宅療養でも絶対に命を守る。そのためのシステムとマンパワーが確保されている。自宅療養でも大丈夫だ」というメッセージを出すことが大臣の責任ではないかと説きました。

 最後に石橋議員は、コロナ対応で傷んでいる雇用保険財政問題を取り上げました。現下の情勢によって雇用保険二事業の財源が枯渇していると指摘し、「一刻も早く一般会計からの更なる繰り入れによって、安定的な財源を確保してもらい、必要なら追加の施策を打つことも含めてきちんと働く者の雇用の安定、収入の確保を何としてもやるんだという意思を、まずは財源を確保してもらい、やるべきだ」と田村大臣に迫りました。田村大臣から「現下の財政状況を把握しながら適切に雇用保険財政が枯渇しないように努力したい」との答弁を引き出しました。