枝野幸男代表は5日、広島市でおこなわれた討論会「核兵器禁止条約締約国会議とNPT再検討会議に向けて」(主催:核兵器廃絶日本NGO連絡会)に参加しました。

 枝野代表はあいさつで、「本年1月に『核兵器禁止条約』が発効したことで、核廃絶への歩みは、新たな段階へと進んだのは間違いない」と述べ、これまでの被団協メンバー、原爆犠牲者の遺族、ICANなどNGOの「長年にわたるたゆまぬ努力の結果だ」と敬意を表しました。一方でINF(中距離核戦力全廃条約)が失効し、米国、中国、ロシアの間で新たな核兵器開発競争がスタートした側面もあり「こうした状況を、元に戻していかなければなりません」と主張しました。また、現状が国際社会の分断が表層化して、COVID-19の影響もありNPT再検討会議の開催が再延期され、核軍縮・核兵器廃絶に向けた歩みが停滞している側面があるのも否定できないと述べました。枝野代表は、「言うまでもなく、日本は唯一の戦争被爆国として、先頭にたって核廃絶の努力をしていかねばなりません」と力を込め、立憲民主党が基本政策で「非核三原則を堅持し、核廃絶を求める世界の人々と連携して、NPT体制の維持・強化など実効的な核軍縮・核廃絶をめざします」と宣言していることを紹介し、「まずは日本政府が来年1月に予定している核兵器禁止条約のオブザーバー参加に向けて具体的かつ目に見える形での努力を示す」と政府に強く求めていく考えを示しました。

 その後、非公開での討論会を経て、各党代表がまとめの発言をしました。枝野代表は、「今、締結国と非締結国あるいは核保有国と非保有国の間を分けているのは、『抑止力』をどう評価するかの違いであり、日本政府自身もその両者の橋渡しをしているわけですから、当然『抑止力』を前提としている国、アメリカを含めた国々と、そしてその『抑止力』を否定する締結国との両方がしっかりコミュニケーションするのが当然のことだ」と述べ、政府に対して来年1月に向けて米国との交渉を急ぐように働きかけたいと意気込みを示しました。

 冒頭に発言をした中満泉・国連軍縮担当上級代表は、(1)核兵器禁止条約の締約国はすべてNPT締約国でもあり、この2つの条約が対立関係にないことを理解してほしい(2)国際安全保障の環境が激変するなか、核兵器禁止条約に日本がどうやって関わっていくか国会でも議論してほしい――と求めました。

 アレクサンダー・クメント・核兵器禁止条約第1回締約国会議議長候補は、NPTもまた核兵器禁止条約においてももっと信憑性のあるディスカッションをして、核兵器に依存する体制からリスクや非人道的な影響が中心になるようなディスカッションも是非させてほしいと述べました。

 児玉三智子・日本原水爆被害者団体協議会事務局次長は、「高齢化しましたので、私たちが目が開いている間にやはり核兵器廃絶への道筋をどうしても見たい」「オブザーバー参加をして次には批准をして参加するということを是非考えてほしい」と述べました。