衆院内閣委員会で18日、新型コロナウイルス感染症対策など内閣の重要政策に関して閉会中審査がおこなわれ、立憲民主党の3番手として、医師である吉田統彦議員が質問に立ちました。

 吉田議員は冒頭、「昨年以降の新型コロナウイルスの感染拡大防止策の検討にあたって、スーパーコンピュータ(スパコン)を使用したか」と確認しました。西村康稔経済再生担当大臣は、マスクやフェイスガードの装着、飲食店のエアコンやダクトの位置、アクリル板の高さ、客席位置などで「感染症対策として、飛沫がどのように飛び、どのように感染が広がるのかについて、スパコン・富岳を何度も使った」と報告。そこから得られた知見もその都度公表するとともに、「それぞれの業界のガイドライン(作成)にも活用している」と説明しました。

 スパコンの実績を高く評価した吉田議員は、新型コロナの重症者数が現在、過去最多になるなど患者が急増し、病床ひっ迫を招き「病床数イコール救える命」と言われるほど深刻な病床不足に陥っていると指摘。病床の増床やコロナ感染者の増加に関して「スパコンを使ってシミレーションをしたのか」とただしました。西村大臣は「病床使用率や重症者数について富岳を使っていない。富岳ほどではないが、さまざまなコンピュータを使ってシミュレーションをしている」と答弁しました。これに対して吉田議員は、「読みが甘い」と断じ、現行のシミュレーションのあり方を見直すよう求めました。

 続いて、南米ペルーで発生したとされるラムダ株に関して、来日した東京五輪関係の30代女性が感染していたことが最近になって公表された問題について質問しました。ラムダ株について吉田議員は「感染力はデルタ株に及ばないという報道もあるが、ワクチンが効かない、ペルーで死亡率が非常に高いことから従来の株より死亡率が高い可能性がある」と指摘。そのため従前から「ラムダ株の流入を何とか阻止しなくてはならない」「五輪関係者の2週間の隔離を厳格に徹底すべきと訴えてきた」と明かしました。

 一方で、政府は五輪関係者のラムダ株感染の事実を速やかに公表しなかったことから、その理由をただしました。西村大臣は「国立感染研がラムダ株をVOC(懸念される変異株)ともVOI(注目すべき変異株)とも位置付けていなかったため公表しなかった」などと説明しました。この答弁を受けて吉田議員は、ラムダ株が国民の健康や命を脅かさないと言っているのと同義だと問題視し、その認識に疑問を呈しました。

 最後に新型コロナの治療薬の1つであり、重症者を対象にしている国産のアクテムラに関して質問しました。吉田議員は、アクテムラがインターロイキン-6の阻害薬であり、サイトカインストームを抑える効果があると予測できるとして、昨年6月に西村大臣にアクテムラの使用を進言したと振り返りました。今年に入り、6月25日にFDA(米食品医薬品局)で特例承認されたこと、7月6日にWHO(世界保健機関)がステロイドとの併用を推奨したことなどを指摘し、「アクテムラを使用すべきではないか」と改めて提案しました。西村大臣は「国産の治療薬をしっかりと開発し、活用できるようになることは非常に重要だ」「有効性、安全性が承認されれば速やかに承認の手続きが進められる」と前向きに答弁しました。