参院内閣委員会で19日、閉会中審査がおこなわれ、「立憲民主・社民」会派から杉尾秀哉議員が質問に立ちました。

■新型コロナウイルス感染爆発の現状と原因、今後の見通しについて

 杉尾議員は政府分科会の尾身会長に「全国的に災害レベルとなっている。政府の対策は代わり映えしない。尾身会長が提言されている人流5割削減も実現していない。もう打つ手なしと見えるがいかがでしょうか」と政府のコロナ対策の効果に疑問を呈しました。尾身会長は「難しい状況となっているが、医療の体制を、宿泊施設あるいは臨時医療施設の増設をやっていただきたい」と答弁しました。

 杉尾議員は東京で親子3人自宅療養していた40代の母親が12日に亡くなっていたという報道に触れ、東京都の現状は医療崩壊ではないかとただしました。尾身会長は「これは医療は危機的状況になっている。災害医療という観点で、国と自治体が今まで以上にリーダーシップをとる時期。特措法をフルに活用して必要な対策をすべてとっていただきたい」と答弁しました。

 杉尾議員は東京オリンピックの開催が感染爆発の一因だったという意見があるとし、「パラリンピックの開催と無観客、学校連携観戦についての政府分科会としての意見を聞かれたか」を尾身会長に聞きました。尾身会長は「パラリンピックの意見を聞かれたことはなかった。関係者に理解していただきたいのは、オリンピックの開始時期とパラリンピックの開始時期を比較すると今の状況はかなり悪くなっていることを踏まえていただきたい」と答弁し、学校連携観戦について否定的な考えを示しました。

 第5波のピークアウトの時期について、杉尾議員は「9月12日の解除は無理なのではないか」と質問しました。尾身会長は「東京都の実効再生数は低くなってきているが、検査の数が追いついていないので、実際の感染は厳しい。解除の時期を予想することはできない。今は接触機会を最低5割下げて、医療の供給体制に集中すべき」と答弁しました。

 ラムダ株やさらなる変異株の感染拡大について、杉尾議員は「菅総理はワクチン一本足打法と言われているが、危ういのではないか」と疑問を呈しました。尾身会長は「ワクチンは重要な政策の柱だが、柱は2本、3本必要だと思う」と答弁しました。

■感染の現状と対策について

 杉尾議員は新規感染者が過去最高を更新し続ける状況は「想定内」かと西村経済再生担当大臣にただしました。肯定した西村大臣に杉尾議員は「菅総理も5月からデルタ株に警戒しないといけないと言っていたが、にもかかわらず医療崩壊に近い状況になっている。一体何をやっていたのか。無策じゃないか」と政府の対応を批判しました。

 杉尾議員は「病床は増えてない。法律に限界があるのであれば変えようじゃないか。なぜ国会を開かないのか。われわれは憲法にのっとって召集を求めている。やりましょうよ、法改正議論を」と強く訴えましたが、西村大臣は法改正議論に時間がかかるため、諸外国の例を見ながら研究していく考えを示しました。

 杉尾議員は「6月16日に閉会してから2カ月たっている。この間いろいろなことができたのにやっていない。救える命が救えなくなっている。入院以外は原則自宅療養を撤回して、早急な宿泊施設の拡充をやってほしい。いわゆる野戦病院をつくろうではないか」と強く呼びかけました。

 ラムダ株の公表について、杉尾議員は「この秋に感染の主流になると言われているが、7月20日に入国したオリンピック関係者が確認されてから、スクリーニング検査をやっているのか」ただしました。山本厚生労働副大臣はラムダ株のスクリーニング検査は現時点で疫学的証拠が不十分なため、各国専門家と連携しながら、国立感染症研究所でのゲノム解析を進めていく考えを示しました。

 杉尾議員は「デルタ株の感染は4月16日の入国事例から広がったと言われている。同じことが起きる。にもかかわらず公表もしていない」とデルタ株に続き、ラムダ株の感染を見過ごす、厚労省のずさんな対応を強く非難しました。

■東京オリンピック・パラリンピックについて

 杉尾議員は丸川五輪担当大臣に「五輪は感染拡大の原因ではない」との発言の根拠をただしました。丸川大臣はオリンピックの開会式と閉会式の視聴率が高かったのは国民の多くが自宅で観戦した表れだとし、「海外から43,000名が来日し、感染して入院した人数は3名のみだった」と強調しました。

 平田前オリンピック・パラリンピック事務局長のライザップ社「無料レッスン問題」について、「調査をしているのか」ただしたところ、丸川大臣は明確な回答は避け、平田氏と企業の双方に事実関係を確認していく考えを示しました。杉尾議員は丸川大臣の不誠実な答弁に抗議の意を表し、質疑を終えました。