衆院厚生労働委員会は25日、閉会中審査をおこないました。立憲民主党の1番手として長妻昭議員が質疑に立ち、新型コロナウイルス感染者数の増加を防ぐために特に19時以降の滞留人口を減らす踏み込んだ対応が必要ではないか等、政府に迫りました。

 長妻議員は、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長に現在の医療ひっ迫の事態は想定していたことかを質問しました。尾身会長は、「デルタ株感染拡大のスピードが想定を上回ったのは事実」と述べ、医療ひっ迫や重傷者の数はしばらく大変な状況が続くという認識を示しました。

 また、19時以降の滞留人口を減らすべきという長妻議員の提案に尾身会長は、「(滞留人口の減少割合が)5割さえもまだできていないので、徹底してもらうために(国民に協力を)頼むだけではなく、学校も小中高大学と違うので5つくらいの項目に分けて合理的で徹底した対策をおこなうのが重要」と述べました。その上で、小学生がする必要はないが、大学生は社会人に近いのでオンライン授業をすること、もう1つは、教職員や大学生は健康アプリなどを使用して少しでも具合の悪い人がいれば抗原検査やPCR検査の徹底をすることが必要だと説明しました。尾身会長はさらに国会へ2つお願いがあると述べ、「与野党かかわらず一般の人々や事業者とタウンミーティングを開いて、個人の感染予防の実行と医療関係者のコロナ診療の協力を担保することを構築するための議論を始めてほしいというのが1つ。それから国会審議もできる範囲でどこまでできるかわからないが、テレワーク、オンライン(での審議)を国会で示して、そのことがテレワーク(普及)のメッセージになる」と求めました。
 長妻議員は、「ほぼ同意する。国会で議論が必要なので、与党の皆さんはなんで国会を開かないのか。開きましょうよ。生きるか死ぬかの時に、国会休んでいる場合ではないです。与党も本当に考えてほしい」と強調しました。

 さらに長妻議員は、「助かる命が助からないことが東京中心に広がっているが、こういう医療崩壊の事態を招いてしまったことで、これまでの対策で政府の反省点をどう考えているか」と尾身会長に質問しました。尾身会長は、感染対策と経済対策が矛盾したメッセージになったことがあること、専門家の分析よりも時々やや楽観的な分析をしたのではないか――と指摘しました。矛盾したメッセージが具体的にどんなことかを長妻議員が問うと、東京オリンピックにおいて「競技場での感染は、国民の意識に与える影響はあったので、なぜ(オリンピックを)やるかは改善する余地があった」と説明しました。

 また長妻議員は、臨時医療施設の設置について、目標ベッド数が設定されていないのか田村厚生労働大臣にただしました。田村大臣は「医療人材は限りがあるので、効率的に健康・命をしっかり守る体制を組む」などと述べるにとどめました。臨時施設や宿泊施設の設置について、「初動が遅かったのではないか」と長妻議員が指摘すると、田村大臣は「専門家の先生が予想されるより早いペースでデルタ株が広がっている。ベッドも1月から用意しているが間に合わない、臨時医療施設で対応しないといけないのでなるべく早く体制を組んでいきたい」と危機感を示しました。長妻議員は、「専門家がいろいろなシミュレーション出してますよね。分科会の方も、重症者はこのぐらいがピークだとか、これからこういう状況であればピークアウトする、こういう状況であればまだまだ伸びるとか。そのあたりを政府として、これから治るか伸びるか分からない、広がるかわからないというのは相当不安です。ぜひ、きちんと手当てをして大きな緊急事態ですので、全体の目標数や将来見込みをこの数カ月立てていただきたい」と強く求めました。