立憲民主党は25日、オンラインライブ配信「りっけんチャンネル」をスタート。第1回目は、「自治体首長と考える 第5波の危機をどう乗り越えるか」をテーマにして、保坂展人世田谷区長、松下玲子武蔵野市長をゲストに迎え、感染拡大で自治体がどうなっているか、感染爆発からどう抜け出すかなどについて議論しました。党側から新型コロナウイルス対策本部長の逢坂誠二衆院議員、尾辻かなこ衆院議員が参加しました。

 司会を務めた尾辻議員が「りっけんチャンネル」を始めた背景について説明しました。「コロナ禍のなかで、街頭で皆さんにお話する機会が少なくなる中で、継続して情報発信を行うために『りっけんチャンネル』はスタートしました。本日の配信を皮切りに、毎週水曜・金曜・土曜日の週3回の配信をしていきます」「視聴者の皆さんからも、感想・質問を受け付けています。【#りっけんチャンネル】をつけてツイートしていただくか、twitterライブ、YouTube Liveのチャット欄からお寄せください」と呼びかけました。

各自治体の状況

 まず、保坂区長、次に松下市長が新型コロナウイルスの感染拡大によって、それぞれの自治体がどのような状況にあるのかを説明しました。保坂区長は、「1年半にわたりコロナの感染と直面してきましたが、(感染者数で)最悪の状況が8月になっても続いている」と報告。8月の感染者数が500人弱となり、自宅療養者が3000人にもなると指摘しました。子どもへの感染も広がっていることから、9月1日から始業する学校に関しては、1日と2日を短縮し、3日から隔日登校にすることを今日(25日)発表したと説明しました。

 国や東京都のあり方に関して保坂区長は、小池都知事が強調した「1人暮らしの方は自宅を病床のように使っていただきたい」という発言や菅総理が五輪最中に新型コロナの重症者以外は「原則自宅(療養)」と示した方針によって、100室あったホテル療養枠が30に減るなど現場が追随していることを問題視しました。政府は本来、「診断と治療は必ず一人も例外なくやるべき」と言わなければいけないのに、そうなっていない現場の実態に深い懸念を示しました。

 松下市長は、特別区の世田谷区とは異なり、武蔵野市単独で保健所を持てず、6市、104万人を管轄する保健所が1つあるだけだと報告。当初、さまざまな感染状況に関する情報が保健所から武蔵野市に届かなかったため、要望し続けた結果、現在では感染者数や入院患者や退院した自宅療養者のデータを受け取れるようになったと明かしました。今年の1月から自宅療養者が増えたことを受け、市独自の「食料支援」を始めたと報告しました。さらに8月に入り、自宅療養者が急増したことから「日用品支援」「安否確認」「酸素濃縮器の導入」などを検討していると説明しました。

 また、コロナ禍で強く感じたこととして、保健所や公立病院などの「公の役割が非常に重要」ということだと強調しました。これまで公の役割が軽視され、縮小されてきた経過が、コロナへの対応でマイナスの影響を生んでいると指摘しました。「世界的に見ると感染者数はヨーロッパやアメリカより10分の1くらいだと思いますが、それでも自宅で亡くなられる方がいるという厳しい現実に目を向けて、公、公共としての役割というのを今一度見つめ直していかなければならない」と語りました。

感染爆発からの抜け出し方

 次に感染爆発からどう抜け出すのかについて議論しました。保坂区長から8月12日に東京都首長有志で与野党宛に提出された下記の緊急提言について説明がありました。

 続いて保坂区長は、「(療養者が)自宅で酸素もなく、どんどん病状が悪化していくような状況をあらゆる手段を駆使して救命しなければいけない」と指摘。そのためには、感染症法に基づいて保健所が対応するという現在の仕組みでは、「量的な限界に突き当たっている。抜本的に変えてほしい」と提案しました。また、抗体カクテルには治療効果が望めるものの、その使用には入院が前提とされてきたことから「入院できない問題で私たちは苦しんでいる。こういうことは1日で変えられるはず」と国政に転換を求めました。こうした取り組みで「全資源を自宅死をなくすこと、治療や診断もないまま放置されることがないように集中する」ことを強調しました。また、感染には波があり、日本では感染が減ると楽観論に傾き、大きな損失を出していると指摘し、「下り坂になる時こそ、次の感染拡大に絶対にさせないと政策を打ち込んでいくことが大事だ」と訴えました。

 松下市長も「医療資源にお金も人も集中すべき」と強調し、特に保健所への人員増を訴えました。さらに「インフルエンザ特別措置法に基づいて臨時の医療施設をつくることが重要ではないか」と提案しました。新たな病院建設をスピード感をもっておこなうことは簡単ではないが、さまざまな公共施設を活用して臨時の医療施設を作ることは可能だと説きました。「自宅療養者の中でも比較的症状の重い方や中等症の方の健康管理をそちらの施設で担い、そのバックアップ体制を公立病院等がおこない、いざという時には搬送ができるような体制にすることが本当に命を守るためには重要ではないか」と説明しました。

 逢坂議員は、「この状況で国民の命を守るためには、在宅とか宿泊療養施設にいる方の症状が急変した時に即医療サービスが受けられる仕組みを作ることだ」と指摘しました。具体的には、松下市長が提起した「野戦病院的なものも選択肢として早急にやらなければいけない」と言及しました。感染症対策の司令塔に関して「総理は総理なりに発言をする。厚労大臣は厚労大臣なりに、西村大臣も最近は厚生労働省の部門にまで踏み込んでいろいろな話をしているわけですから、一体どこが司令塔で判断をしているのが分からない」と疑問を呈し、政府が司令塔機能をシンプルにすることを提案しました。

 こちら( https://cdp-japan.jp/news/20210824_1958 )からも動画を視聴になれます。