立憲民主党は27日夜、りっけんチャンネル第2回「衆院閉会中審査振り返り&本当の病床のひっ迫とは?」を配信しました。番組前半では、福山哲郎幹事長が党新型コロナウイルス感染症ワクチン接種に関する課題検討プロジェクトチーム座長の中島克仁衆院議員(山梨1区)とともに25日におこなわれた衆院厚生労働委員会の閉会中審議を振り返りました。後半は福山幹事長が、神戸市を基盤に活動している訪問看護師で医療法人社団慈恵会須磨訪問看護・リハビリセンター所長の藤田愛さんに自宅療養・入院待機者の状況がいかに切迫していたか、経験に基づく話を伺いました。

■閉会中審議を振り返る

 医師として地元のワクチン接種に加わり、新型コロナ患者のオンライン診療もおこなっている中島議員は「全国的に感染拡大の方向に歯止めがかからず、医療ひっ迫が日に日に厳しさを増している」と述べ、東京都の新規感染者が減り始め、頭打ちになるのではないかと見る向きもあるが、検査が必要な方で検査を受けていない方もいるので、発表されている数が実態より少ない可能性があり、引き続き予断を許さない状況だとの認識を示しました。

 次に、25日の衆院厚生労委員会で質疑に立った4議員のダイジェスト動画を見ながら内容を振り返りました。

 長妻議員は人流の抑制、特に19時以降の滞留人口を減らす必要がると主張し、「与党の皆さん、これ何で国会開かないんですか。こういう緊急の、国民が生きるか死ぬかの状況の時に国会休んでいる場合じゃないですよ。いろんな議論が必要、法的措置だって必要」と訴えました。

 稲富議員は、教職員のワクチン接種や検査体制が十分でないまま新学期を始める判断は適切なのかを問い、政府分科会の尾身茂会長から、文部科学省が新学期に休校を求めないと判断する際に分科会が意見を求められていなかったとの答弁を引き出しました。

 中島克仁議員は、重症化を抑える効果がある抗体カクテル療法について、薬剤を十分に確保し、在宅でも投与できるように検討してほしいと厚労大臣に求めました。

 尾辻かな子議員は、感染が急激に増えている中、政府がオリパラ関係者を特別扱いするので国民は外出を控えようとする気持ちにならないと指摘し、尾身会長から「国民にテレワークをお願いしていながら、なぜバッハ会長はパラリンピックのためにもう一度来日するのか。オンラインでいいのではないか」等の答弁を引き出しました。

 中島議員は質疑に関連し、自宅療養者は東京だけで3万6千人近くいるとし、その方たちの重症化を防ぎ、さらなる医療ひっ迫を防ぐためにも、抗体カクテルの活用が必要だと話しました。抗体カクテル療法は、「すでにアメリカやイギリスで実施さてれており、ウイルスの増殖を防ぐ薬なので、時間がたってからでなく、早期にタイムリーに投与することで重症化を防ぐのに1番だ。しかし、今東京なら入院調整に数日かかってしまう状況。せっかく良い、唯一軽症・中等症に使える薬がタイムリーに提供できない」と指摘しました。特例承認された薬なので、慎重に取り扱うべきなのは当然だが、「今は有事で、ほかの専門家の先生から、静脈注射ではなく、皮下注射で対応することも検討するべきではないか等、現場の医師からいろいろ意見をいただいている。政府は、投与の対象患者を重点化するのは分かるが、全国各地で使えるようにするには、政府が言っている20万回分では足りない」と話しました。そして、在宅で投与しているアメリカの実例を参考にしながら、日本でも対応を急ぐべきだと強調しました。

 視聴者から番組に寄せられた、入院できずに自宅療養を余儀なくされるのは「自宅放置」ではないか等の声を紹介した後、立憲民主党が25日におこなった医療提供体制の大幅強化等に関する緊急要請について、厚労大臣への申し入れに参加した中島議員が報告しました。

 中島議員は、「とにかく国会を開いて、与党野党を問わず、コロナ収束に向けて国民の信頼を回復するためにも、徹底して国会で議論――尾身会長はオンラインでやったらいいではないかとおっしゃっていたが――国会が自ら工夫して取り組んでいる姿を国民に見ていただけるようにしたい」と話しました。

■自宅療養・入院待機者への訪問会議の経験から

 拠点の神戸市だけでなく、沖縄にも支援に赴いたのをはじめ、各地を訪れて訪問看護の経験を伝えているという藤田さんは現在の状況について「どこも厳しい。関東が大変目立ってはいるが、関西も堤防がもう決壊をしているのか、するのかという状況。4月の状況を受けてずいぶん補強はしているが、またあの時が近づいているのかという感触がある。沖縄は2手先まで準備ができる強さがあったのに、その沖縄でも苦戦している」との認識を示しました。

 感染の第4波では兵庫をはじめ関西圏で病床がひっ迫し、今の東京都のように入院できずに自宅で待機する患者が増えた厳しい状況の中で、藤田さんが訪問看護し、闘病の末亡くなった35歳男性の経過を説明し、いかに医療現場がひっ迫していたかを振り返りました。

 藤田さんは新型コロナ患者への訪問看護について、保健所か医師からの依頼で患者宅を訪問し、感染リスクを抑えるために訪問時間が15分程度となり、限られた時間の中で健康状態や医療・ケアの必要性を正確に判断し、患者や家族の不安に対してコミュニケーションも図れるように取り組んでいると説明しました。

 自治体によって訪問看護をどれだけ活用しているかに違いがあるとし、神戸市の運用例を説明しました。

 在宅医療と家庭看護で回復された方の経過を例に挙げ、関わった患者さんが元気になられたことには希望が持てると語りました。

 自宅療養、入院待機者の訪問看護について(1)病状悪化の早期発見、対応、適切な治療につなぐ(2)生命に直結する身体介護、生活ニーズの支援(3)孤独にさせない、孤立にさせない──を目標に続けていきたいと話しました。

 藤田さんは最後に「4月の厳しい状況の教訓が活かしきれていないとすれば残念」と語り、「酸素が足らないという状況だけは、いくら現場が頑張ってもどうにもならない。国をあげて酸素の機器が足らないというのを何としても避けてほしい。必要な医療が受けられず、家で死ぬなんてことがある国であってほしくない。国が助けてくれると信じて現場で頑張る」と訴えました。

 福山幹事長は「現場で頑張っている皆さんの声を受けて、政治が少しでも早く、先回りしてやらなければいけないのが後手後手になっていることに内心忸怩(じくじ)たる思いがある。今日、藤田さんから伺ったようなことも地域に広めていきたいし、先回りしてどんどん提言も出していきたい」と話し、番組を終えました。

番組はこちら(https://cdp-japan.jp/news/20210826_1978)からもご覧になれます。