「本当に必要な公のサービスがいざという時に足りない、弱い。そのことをみんな痛感したと思うのです。いざという時に頼りになる医療や介護や保育や公の教育。こういうものをしっかりと政治が下支えをする。まさに自己責任ではできない世界。競争だけではできない世界。この転換をしっかりと図っていきたい」(枝野幸男代表)。

 枝野幸男代表は29日夜、長友よしひろ衆院神奈川14区総支部長のライブ動画配信集会「まるっと長友オンライン大作戦第3弾」(YouTube:https://youtu.be/bfhWfu4U89k にて配信)に参加しました。この日の集会は(1)zeroコロナ戦略(2)どうなる?!立憲民主党政権――の2つをテーマをメインに取り上げました。枝野代表が立憲民主党の政策を解説し、その後、チャットを通じて視聴者から寄せられたさまざまな質問に対し、枝野代表や長友総支部長が回答するという形式で進められました。

 まず立憲民主党の「zeroコロナ政策」の具体的な内容について説明を求められた枝野代表は重要なポイントとして(1)水際対策(2)広範な検査(3)徹底した隔離(4)財政支援――の4つを挙げました。その上で枝野代表は「われわれがさまざまな案を提案しているのに対して、残念ながら政府与党は結局何の案もなく、ただずるずるとその場しのぎを繰り返している」と政府の無策ぶりを批判しました。

 現在、自宅療養者が急増している点について、枝野代表は「とにかく体育館等を使ってでも、症状の出ている感染者は少なくと1カ所に集めるべきだ」との見方を示した上で、「例えば体育館にベッドを並べてそこに酸素吸入などの手配をする。そこで多分酸素吸入だけであれば、他の専門のお医者さんや看護師さんにもご協力いただき、肺炎などの専門の先生の数が少なくても、ある程度対応できると思う。だから数を確保しようとか、強制的に何とかやれというのは政治的なポーズでしかない。現実的に機能することやろうとするとやはり野戦病院的な、臨時病院で、そこに医療従事者と医療設備を集中すべきだ。そこで病院に入れていない人たちをちゃんと受け入れる。これが今一番大事」との考え方を述べました。その一方で「第5波となってからすでに1カ月経つ。いまだに具体的な動きが見えていないというのが信じられない。こういったことを変えていかなければいけない」と政権の対応が遅いことにも非難の矛先を向けました。

 続いて2つ目のテーマである、立憲民主党が政権政党となった場合、どのような政権となるかについて、枝野代表は「次の政権は、まずコロナを封じ込めなければいけないので、誰がやったとしても自分のやりたいことはできないのではないか。おそらく来年の参院選挙までそれ以外のことをやる余裕がないと思います」と断った後、次のように述べました。
 「コロナを封じ込めるというのは、感染を抑えるとか、医療崩壊を止めるだけではない。例えばこの間、もう潰れかけてしまっている事業者を支えるとか、生活がボロボロになった皆さんの生活を再生するということを含めて、とにかくコロナ対策にまず徹底して力を注ぐという意味です。誰がやってもやらなければならないし、これは敢えて申し上げますが、菅さんや岸田さん石破さんより、私の方が間違いなくうまくやる自信があります。なぜなら私には経験と教訓があるからです。こんなに隠ぺい体質で、そして支離滅裂で何をしたいのかわからなくて、いくら外からいろいろな提案があっても聞く耳を持たない、唯我独尊で楽観的なやり方で間違い続ける、こういったことは2011年の東日本大震災と原発事故では全くやらなかったという自信があります。もちろん至らない点はたくさんありました。福島の皆さんをはじめとして、ご苦労を大変おかけしたということに対する忸怩(じくじ)たる思いも、反省もあります。ただその教訓を踏まえて実は、2011年9月に官房長官を降りて官邸を離れる時に『とにかくもう1回政権を取り戻したら、こういう大災害みたいなものに対応できる危機管理体制を取り戻そう。そのための準備をしよう』と決意して、そこから10年間準備をしています。まさにその危機管理が必要な側面で、私が野党第1党の党首として政権を競うということになったのは、何かの巡り合わせだと思っています」と、国家規模の危機管理体制の再構築にかける決意と自負を語りました。
 その上で、「やはり『支え合う社会』を作って行かなければならない。今回のことで分かったように、医療とか介護、それから教育――教育というのは保育それから放課後児童クラブなども含めてですが――本当に必要な公のサービスがいざという時に足りない、弱い。そのことをみんな痛感したと思うのです。いざという時に頼りになる医療や介護や保育や公の教育。こういうものをしっかりと政治が下支えをする。まさに自己責任ではできない世界。競争だけではできない世界。この転換をしっかりとやっていきたい」と「支え合う社会」の実現への抱負についても述べました。

 また会話が枝野代表が提唱する「未来を支え合う投資」に及ぶと、枝野代表は「保育所は地域によって足りないところもあるし、質も上げなければいけない。それから放課後児童クラブは、かなりの地域でやはり決定的に足りないと思う。やはり子育ての部分のところをきちんとやると。それから義務教育は既に無償ですが、できるだけ経済的な負担下げるために、学校給食は国費で自治体支援をして無償で義務化したい。これはやらないといけないと思っています」と具体案について述べました。また大学についても「1つは国公立大学の授業料は半額にします。少なくとも選択肢を作ります。私は今57歳ですが、私の所は大学受験の頃は、家も決して豊かではなかったので、とにかく国公立しか考えませんでした。学費が全然違ったんですよ。その国公立はあの当時と比べたら5倍ぐらい上がってるんですよね。お金がなくても大学進学できるという選択肢がなくなってしまったのです。それから本当の奨学金。ローンではなくて、返済義務のない奨学金を大幅に増やす。また地方向けに大学生などの下宿費用の一部支援をしようと。これはやはり地方に住んでる人たちにとって、東京周辺の大学に子どもが進学するとなると、学費生活費に加えて家賃の負担がものすごく大きいからです。さらに家賃支援というのは、学生だけではなく、持ち家政策一辺倒を変えて、一般的に低所得者の皆さんに対する家賃補助というものも入れようと思っているんです」と語りました。

 これに対し長友総支部長も「(コロナ禍で)大学生の2年間というのはすごく重たいと思うんですね。それを学生たちは抑制させられている。大学にせっかく受かっても学校に行けない、オンラインだけでやっている。あるいは高校生が修学旅行に行けない、体育祭ができない、文化祭もできない、調理実習もできない、仲間と遊ぶこともできないということが続いている状況です。あくまでコロナ禍が収束した後ですが、やはり子どもたちやこういう学生に光が当たる政策というものを、私は是非やらなければいけないと思っています。社会に出てからではできないようなことを支援する政策。例えば、外国に行きたいのだったら国費で行くぐらいの、若い今しかできないことを1回経験してくださいということを、今だからこそやるべきではないかと思っています」と訴えました。
 すると枝野代表も同意して「よくわかります。先ほどGoToトラベルを批判しましたが、お金持ちほどたくさん優遇された訳ですね。違うだろうと。それこそ卒業旅行とか修学旅行とかできなかった若い人たち向けに、そこは国が8割負担しますよ、などですね。こういうやり方で観光産業の人たちも支援すると同時に、取り返しのつかない2年間にいろいろあったという人たちを支援することはセットでできると思うので、こういうことをどんどん具体的にやっていきたい」と語りました。

 集会の終わりに、枝野代表は「選挙は、候補者本人が燃えること熱くなることと、その熱をいかに広く有権者に伝えていくかにかかっている。ですが本人が直接熱を伝えられる機会といっても、やはりコロナの影響で、相当制約される選挙になるのは間違いありません。今日ご覧を頂いた皆さん、そして特に長友さんの地域の有権者の皆さん、長友さんに代わって熱伝導する、そういう役割を担って頂くよう、是非お願い申し上げたい」と述べ、この日の出演を締めくくりました。