立憲民主党鳥取県連は4日、「政談演説会in鳥取2区」を人数を制限して米子市で開催し、その模様をライブ配信しました。演説会では枝野幸男代表がオンラインで講演し、鳥取県連代表で衆院鳥取2区総支部長の湯原俊二元衆院議員が決意表明をおこないました。県連副代表の浜田妙子県議会議員が司会進行を務めました。

 枝野代表は、湯原総支部長を支援されている方々に謝意を表し、「厳しい環境のなか、ご苦労をいただいてきたが、着実に結果につながっている。この間の選挙で、惜敗率が1回ごとに高くなってきている」と話し、ぜひ最後の最後まで力強く押し上げてほしいと要請しました。

 菅総理が3日に自民党総裁選への不出馬を表明し、退陣する流れになったことについて「衆院の任期が満了する10月21日までに選挙をおこなって、任期が切れたら翌日から新しいメンバーで新しい議会をスタートするのが本来の姿で、私たちは最後までそれを求めたいが、どうやら間に合わない状況で選挙がおこなわれる模様。そうすると、9月、10月まるまると11月半月かかり、そこから総選挙後の特別国会で改めて総理大臣の指名となり、実際に動き出すには3カ月かかかるという、ものすごい政治空白が生まれてしまう」と解説し、平常時であっても長期の政治空白は許されることではなく、「ましてや、新型コロナウイルス感染症により多くの皆さんが 命と暮らしの危機にある」と強調し、「総理が、こんな時に、その後の段取りについて整理せずに突然辞めた。今の予定だと1カ月は自民党内部の権力闘争──日本の総理大臣を選ぶという意味ではいわば準決勝──に1カ月延々とかける。総理大臣を選ぶという政権選択選挙、決勝戦が約1カ月おこなわれるという状況の前に、これが許されるか問われなければいけない」「このコロナの緊急事態のもとで、本当に予定通りの日程で自民党の権力闘争をするのかどうか、政権政党たる資格があるのかどうか自民党は問われている」と批判しました。

 枝野代表は、総理が変わって、表紙が変わってコロナ対応は変わるのだろうかと問いかけ、昨年の2月、3月の中国での感染発生時から安倍政権、自民党の対応が一貫して間違っていたと指摘しました。それを批判するのではなく、常に対案を提案し続けてきたが、水際対策の強化は聞き入れられず、変異株が入って来て急激な感染拡大が発生したこと、事業者への補償も野党から提案した持続化給付金が1回支給されたものの、より対象者を広げた給付が必要なことなどを挙げました。「私たちは政府自民党よりも具体的な提案を積み重ねてきた。全く聞く耳をもたず、これだけの感染の拡大を、多くの命が失われる状況を、そして何度も繰り返されリバウンドを放置してきたのは菅総理、安倍総理だけでなく、内閣全体、自民党全体だ。今さら、本当にこれを変えられるのか。本当に命と暮らしを守るコロナ危機対応をこの1年半してきたのか」「明確な声を自民党内から上げることもなく、唯々諾々とこんな状況を許してきた皆さんのチームに引き続きコロナ対策をやらせても。ワクチンの確保とスムーズに接種することもできてきていない」と疑問を呈しました。

 その上で、「私には準備があり、経験がある」と断言しました。10年前に官房長官長官として東日本大震災と原発事故の危機管理の陣頭指揮にあたり、とくに福島の皆さんにはご迷惑をおかけして申し訳なかった、もっとできることがあったのではないかという思いがあるとした上で、「こんなに無責任で、国民、野党の声に耳を傾けることなく、唯我独尊で、根拠なき楽観論で過ちを修正することもなく、突っ走るなどという無責任な対応はしなかったと私は胸を張って、すべての国民の皆さんに訴えることができる」と述べました。

 そして、10年前に官房長官を退任した際、「この国の危機管理はこのままではだめだ。たとえば東京直下地震や東南海地震など大災害も予測されている中で、この経験を活かして、自然災害であれ、どんな緊急事態でもしっかりと命と暮らしを守ることができる、そういう危機管理体制をつくる。もう一度この首相官邸に戻ってきて、その指揮を執るのだと、私はその時決意をした。そこから10年、その準備を進めてきた。残念なら、官邸に戻ってそうした体制をつくる前に新型コロナ感染症という危機に直面してしまった」と語りました。そして「私には10年前からの覚悟と準備がある。ぜひ私にこの1年半にわたって自民党がボロボロにし、そのことによって多くの命が失われ、多くの事業が廃業に追い込まれ、多くの皆さんが生活苦で自死を選ぶ状況まで生んでいる、ボロボロの危機管理を立て直す。それは私にしかできないと自信を持っている。ぜひそのために政権を代えなければならない。準決勝なんてどうでもいい。自民党からどなたが決勝戦に出てこようと、必ず打ち勝って、責任ある危機管理の体制を作り上げたい」と力強く訴えました。

 続けて、コロナ危機で露呈している行き詰まりは、9年前の安倍政権、そして民主党政権をはさんだ20年位前から、自民党が進めてきた大企業、富裕層を優遇し、強い者をより強くし、そのために競争を加速し、国民に自助と自己責任を強い、中小企業、地方、一次産業を切り捨てる政策によって生じたと言及しました。所得の再分配の意義について、「生活の苦しい人の生活を下支えすることは、その人を救うことだけではない。そこに投じた、地方に投じたお金は、間違いなく地域での消費に回って経済の活力につながていく」「この20年、30年、富裕層、一部の大企業、強い者をより強くすること、競争を加速することでこの国を何とかよくしようとしてきた路線は時代遅れ。自民党の顔がどんなに変わっても、これまでの積み重ねで持っている自民党政権ではこの転換をすることはできない」と訴えました。

 これに対し、立憲民主党の経済政策は所得の再分配と将来の安心の提供だと主張し、行き過ぎた効率化によって疲弊している公共サービス──医療、介護、福祉、教育、保育、災害対応を含めた役所──を立て直すため、正規雇用を増やし、そうした分野で働く方たちの賃金を引き上げ、医療・介護、公共交通などのサービスを確保し、どこに住んでいても安心して生活できることに主眼をおいた政策を説明しました。

 衆院総選挙──決勝戦──では、各選挙区でできるだけ1対1で戦う構造を作り上げる努力をしていると話し、もう一つの選択肢であることを有権者に知っていただくために、地域でいっそう活動量を増やす必要があると述べました。最後に「新しい立憲民主党のポスターのスローガンは『変えよう。』だ。『変えます』とか『変えたい』ではない。私が変える決意であるのは大前提で、変えるためにはあなたの力が必要。皆さんと一緒に変えようという思いを込めて、このコピーを選択した。ぜひ湯原さんと一緒に戦って、鳥取2区から日本を変えていきましょう。国民の命と暮らしを守りましょう」と力強く訴えて講演を終えました。

 湯原総支部長は、政治を志してから数十年間、一貫して目指してきたことについて訴えました。1つ目は、政治は憲法、法律に則り、国民に対して説明責任が果たされる、透明性が確保されること。しかし、自民党政権は、憲法や法律を蔑ろにし、コロナ禍で野党が憲法に基づく国会召集要求をしても無視し、森友・加計問題、「桜を見る会」問題、河井案里氏の選挙への1億5000万円の投入などについても、そしてコロナ対応についても、まともな説明をしてこなかったと指摘しました。

 2つ目は、人権を尊重し、さまざまな思い、立場のある方たちの多様性を認めて共に生きていく共生社会をつくること。自民党議員がたびたび人権を蔑ろにする発言をしてきたこと、学術会議の任命拒否に見られたように意見の違う人を排除し、敵視する政治が続いてきたと指摘しました。

 3つ目は、持続可能性。今さえ良ければいいという政治でなく、影響を受ける次の世代の子どもたちに、より良い社会を手渡せる、持続可能な社会をつくるべきだが、今は国と地方合わせて借金が1200兆円もあり、環境、社会保障制度にしても、今の負担が増えたとしても、次の次の世代のことを考えて政治が判断すべきだと語りました。

 4点目は、政治が光を当てるべき場所。安倍政権、菅政権の9年近く、一億総活躍、地方創生などのキャッチフレーズが躍ったが、結局は市場原理、競争原理に基づく政策だったと指摘し、コロナ禍でも大企業の内部留保が膨らみ、富裕層で株等の金融資産が増え、格差が広がっていると説明しました。その上で、本来政治は経済活動で生じた格差で劣勢にある人や地域に光を当てるべきだと訴えました。こうした政治に変え、劣勢にある地域、県民の多くが働く中小零細企業、農林水産業に光を当て、格差拡大でなく是正、老後不安の解消、子育て、教育、年金・医療・介護など社会保障の下支えをおこなっていきたいと主張しました。

 コロナ対応について安倍・菅政権では、自分たちの政権の保身、見栄、支持率維持がもとにあったとし、真に命と暮らしを守るため、専門家の意見、科学的知見に基づき、困窮している事業者、医療関係者等に光を当て、応援していく対応に変えていくと訴えました。

 人口減少・少子化については、子どもをもつことを希望する人たちが産み育てしやすくなるように、(1)希望する人が正規雇用で働けるようなる環境整備(2)子育て・教育にかける国の予算をほかの先進国並みに引き上げ、親の教育費の負担を減らすこと(3)結婚、出産した後も働き続けやすい環境の整備──に取り組みたいと話しました。

 最後に「表紙を替えただけでは予算の配分の転換を図ることはできない。改めて政権交代を果たして、政治のあり方を変えていくことが必要。国民に正直で、透明性の高い政治。国民に徹底して説明を尽くす政治。そして人権を尊重し、多様性を認める、共生する社会。次世代のことも考えた持続可能な社会。劣勢にある地方や中小零細企業や農林水産業を応援し、国民の暮らしのもとである、子育て、教育、雇用、年金・医療・介護、社会保障を充実させる政治、そういう政治を作り上げたい」と訴え、「一緒になって変えましょう」と呼びかけました。