「新型コロナウイルスという100年に1度の感染症で、お客さんが全然来ないお店を『自己責任だ』と言って切り捨てる。自分の力ではどうにもならない、そんな状況にある人に、きちんと手を差し伸べることができる、支えることができる、そんな社会をつくることが、今政治がやらなければならないことだ」(松尾あきひろ衆院議員)。
 「総裁選挙よりもコロナ対策。これが政権担当能力のある責任政党のやるべきことではないでしょうか。しっかりと足元のコロナ対策をやれということを、国民世論の力で、自民党に、そして総裁選に出ている3人に、しっかりと声をあげていこうではありませんか」(枝野幸男代表)。

 枝野幸男代表は11日午後、文京区礫川公園前で行われた、東京2区・松尾あきひろ衆院議員のオープンライブトークに参加しました。人々が密集することを避けるため、党からの事前告知はされませんでした。この日のライブトークには、渡部恵子、梶谷優香両中央区議、兵藤ゆうこ、山野井つよし両港区議、河井一晃、青柳雅之、中嶋恵各台東区議、浅田保雄、松下純子、澤田圭司各文京区議ら、計11名が参加しました。司会は、品田ひでこ文京区議が務めました。

 先に演説台に立った松尾衆院議員は、連日のように報道されている自民党の総裁選に触れ、次のように述べました。
 「思い起こせば、コロナが始まって1年半。すでに2人の総理が道半ばで政権を放り出している。そういった無責任な行動から今の総裁選挙が始まっている。世界中見回しても2人続けて政権を放り出したという例は見当たらない。自民党は『本当にすみません』という感じで次の総裁を選ぶべきだと個人的には思う。ところが、実際はお祭り騒ぎ。コロナウイルスなど2の次、3の次。いわば私たちの暮らしや命、経済などは、全部放っておいて、自分たちの身内の権力争い、コップの中の争いに一喜一憂している。こんな状況は本当におかしい。誰が総裁になろうとも、自分たちのことしか考えていない。『今だけ、金だけ、自分だけ』といった政治を、これからもずっと続けさせる訳にはいかない」。

 また飲食店などの苦境について触れて、次のように訴えました。
 「ここ東京2区は、多くのオフィス街があって、飲食店で働いている方がたくさんいらっしゃいます。私のことを応援してくれている方もたくさんいます。去年、コロナウイルスが流行る前に新しい店をオープンした。そこのお店に私が『おめでとうございます』と言いに行ったときに、お店の店長が言っていました。『すごいお金がかかっちゃってさ。敷金も礼金もかかるし、内装とかさまざまな準備にお金がかかるから、これから頑張らなくちゃね』。本当に希望に燃えて、自分の城でこれから頑張るんだ。そんな想いでお店をスタートさせた。ところがコロナウイルスの流行が始まり、緊急事態宣言となり、お客さんが全然来ない。夕方の6時とか6時半くらいに行っても、お客さんが誰もいないんですよ。私しかいなくて、その店長に『最近どうですか』と聞くことすらも憚(はばか)られる。でも本当に借金もたくさんある。従業員の暮らしも守れなければいけない。何としても頑張らなければいけない。本当に歯を食いしばって、頑張っている。そのお店の人たちは、本当に自己責任なのでしょうか」「自分たちの力ではどうすることもできない。新型コロナウイルスという100年に1度の感染症で、お客さんが全然来ないお店を『自己責任だ』と言って切り捨てる。そんな政治が今、日本ではおこなわれてしまっているんです。これは絶対におかしい。自分の力ではどうにもならない、そんな状況にある人に、きちんと手を差し伸べることができる、支えることができる。そんな社会をつくることが、今政治がやらなければならないことであって、『自己責任だ』『自助だ』といって、これを切り捨てる。こんな政治は本当に無責任である。私は本当に強い怒りを感じています。今、こんな政治は変えなければいけない、終わらせなければいけない」。

 続けて演説に立った枝野代表も飲食店等への補償について触れ、次のように述べました。
 「この1年半、政府と自民党はお願いをするだけなんです。お願いをするだけなら、学者だって、有識者だって、テレビのコメンテーターだって皆できますよ。政治の仕事はお願いをすることではない。政治の仕事は皆さんからお預かりをしている権限を使って、お願いを聞いていただけるようにすることです。松尾あきひろさんからお話のあった通り、飲食店、いやそれだけじゃない。本当に幅広い業種で、営業を短縮しろ、営業はするな。開けてもいいけれど、お客さんは事実上来ない。もうすでに倒産、廃業を余儀なくされた方がたくさんいる。ギリギリの状態で頑張っている方がたくさんいる。感染者が減ってきたから、じゃあ緩めていいかな。そう思う方が自然ですよ。こうした皆さんに我慢して下さいと言うのだったら、ずっと私たちが1年半前から言ってきた通り、今こそ補償をちゃんと決めましょうよ。業種を問わず、地域を問わず、原則、一昨年と売り上げを比較して、大きく減っていたらその分、穴埋めをする」。

 そして自民党の総裁選とそこから生じる政治空白についても触れ、次のように訴えました。
 「総裁選挙、他党のことですからやるのは結構。ですが、新総裁が決まるのは今月29日。衆院議員のわれわれの任期は10月21日まで。新総裁が決まってから(すぐに)新しい予算を組む時間はありません。選挙をやって、それからです。選挙を通じて選ばれた新しい内閣がそこから予算を組んで、それが決まるのは12月。3カ月空白があるんです。今のようにちょっと緩んできたからといって、国民の皆さんに何となく安心感を与えて、その結果、また年末年始、観光や飲食の書き入れ時に、故郷に帰って親御さんや孫の顔が見たい時に、またピークが来る。今、放っておいたらそれが必至じゃないでしょうか。総裁選挙よりもコロナ対策。これが政権担当能力のある責任政党のやるべきことではないでしょうか。しっかりと足元のコロナ対策をやれということを、国民世論の力で、自民党に、そして総裁選に出ている3人に、しっかりと声を上げていこうではありませんか」。

 また松尾衆院議員について、次のように述べました。
 「私のように、松尾さんは弁護士だ。弁護士にもいろいろな人がいるが、本当に地に足をつけた人。官僚の皆さんと法律を作るのが国会での政治家の仕事です。弁護士としての十分な見識と能力を生かし、この1年間、私を支えてきてくれた、即戦力です。もちろん政治の世界は、さまざまな駆け引きがあることもありますが、本筋は政策です。政策は法律を作ること。まさにその仕事を、新しい政権で、即戦力で力を発揮できるのが、松尾あきひろです。今度は小選挙区から国会に送っていただかないと、政権はひっくり返らない。松尾さんのような現職が小選挙区で勝って、この4年間、苦労してきた仲間が比例で勝ちあがる。それでも足りないくらいです」。

 枝野代表は、「文京区をはじめ、東京2区の皆さん。松尾あきひろを応援するのではありません。あなたとあなたの大事な人を、このコロナ禍で命と暮らしを守る。これからの日本の社会を建て直して、命と暮らしを守る。そのために皆さん、力を貸して下さい。あなたの力が必要です。あなたの力が必要です」と呼びかけて、演説を締めくくりました。