衆院厚生労働委員会で15日、閉会中審査がおこなわれ、立憲民主党会から3番手で早稲田夕季議員が質問に立ちました。早稲田議員は質問で(1)抗体カクテル療法の自宅での使用解禁の必要性(2)ワクチン接種等による11月以降の行動緩和(3)診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬におけるコロナ対応の各種加算や基本報酬への上乗せ特例的措置の継続――等を取り上げました。

 早稲田議員は「現在も10万人以上の新型コロナウイルス陽性者が自宅での療養を余儀なくされており、助かるはずの命が助からない事態になっている」と述べ、抗体カクテル療法の自宅での使用解禁の必要性を訴えました。現時点でおこなわれている抗体カクテル療法はほとんどが入院患者に対するものですが、すでに2万5千人に投与されていることや、東京都では5871人に投与し15人に副反応が出ているものの、重症化あるいは死亡に至ったケースはゼロであること、また、東京都の発表では95%に効果があったことを紹介しました。

 専門家としての意見を求められた政府分科会会長でもある独立行政法人地域医療機能推進機構の尾身茂理事長は、「環境が整ってそういう方向に向かったらいいと思う。ただ同時に、効率というものもある。いま医療従事者は非常に余裕のない状況だ。宿泊療養、医療施設なども建てれば、そこに集中的にリソースを割いて、効率的にやるということも考えられる」「理想的にはそういうことができる態勢を整えていくことは重要だと思う」と述べ、方向性について肯定的な見解を示しました。

 田村厚生労働大臣は、抗体カクテル療法は現在、年齢が50歳以上であること、重症化リスクの高い基礎疾患を持つこと、早期かつ比較的症状が軽い場合に限定されているとしながらも、短期入院での使用、外来での対応、療養施設で使用が進んでいることに言及しました。その上で「臨時の医療機関ではない療養施設というのは、一応制度上、在宅対応と同じ扱いになっている」「(副反応等に対応するための必要な)体制が整えられるかどうかというところが非常に重要。ただ言われる通り、自宅で使いたいという要望もたくさんあるので、早急に検討し、方向性を示して参りたい」と述べました。

 早稲田議員は「やれる地域から手を挙げられるような調査をして頂いて、それを進めていただきたい」「(感染の)波が小さくなっている時に体制を整えておかないともうできなくなる」と述べ、第6波の発生を念頭に早急な対応を求めました。

 田村大臣も実現の具体的な時期について、「体制が整えられていることが前提になる」「委員が仰っていることももっともなことが多い。早急に検討したい」と述べ、抗体カクテル療法での自宅での使用解禁について前向きな答弁をおこないました。

■ワクチン接種等による11月以降の行動緩和について

 次に早稲田議員は、9月9日におこなわれた政府の基本的対処方針分科会後に、尾身会長が「ワクチン接種等による11月以降の行動制限緩和について、しっかりと国民的な議論をしていかなければならない。そうでないと間違ったメッセージになる」と発言したことをふまえ、ワクチン接種を公的に証明する「ワクチンパスポート」に対する懸念の声を取り上げました。早稲田議員は「10月から誰が政権を担うかも分からない中で、今のこの菅政権で議論をして方針を出すのは、私は本当に不適切だと思う」と述べ、拙速な議論をけん制しました。

 尾身会長も「11月になって急にやろうと思ってもできない」「差別とかそういう社会的利益で不当なものがないように十分注意するのは当然で、しっかりと議論をしていったらいい」と述べました。

 早稲田議員は、閉会中審査だけではできることが限られ、国会としての責務が果たされてないので、国会を開いて議論をおこなうべきだと政府与党に呼びかけました。

■診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬におけるコロナ対応の各種加算や基本報酬への上乗せ特例的措置の継続について

 現在、9月末までとなっている診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬におけるコロナ対応の各種加算や基本報酬への上乗せ特例的措置について、早稲田議員は10月以降も継続すべきと訴えました。福祉の現場は社会に不可欠なエッセンシャルワークであり、業務上『密』を避けられないケースも多々あり、コロナによる利用者が激減による経済的な影響もあるため、10月以降も上乗せの特例措置など継続すべきであると述べ、田村大臣の見解を求めました。

 田村大臣は「感染を防ぐためのいろんな対応や、当然それに合わせてかかる経費がある」「10月以降に関しては感染の状況や、地域の医療の実態、地域の介護・障害福祉サービスの実態を踏まえて、しっかり財務省と対応を協議してまいりたい」と述べました。