立憲民主党は16日、コロナ禍の前線で診療にあたっている医療機関の実情を正確に把握するため、オンラインヒアリングを始めました。第1回目は、静岡県掛川市にある中東遠総合医療センターの宮地正彦院長をはじめ関係者から地域医療を支える病院の実態と要望についてお聞きし、意見交換しました。党側から枝野幸男代表、小山展弘(こやま・のぶひろ)党静岡3区総支部長・前衆院議員が参加しました。

 中東遠総合医療センターは2013年、掛川市立総合病院と袋井市立袋井市民病院の2つの市立病院が施設の老朽化、医師不足などの問題を克服するため、全国で初めて市立病院同士が統合して開院しました。現在、診療33科、病床数500床、職員数1161人を抱える中東遠地域の基幹病院です。昨年、新型コロナウイルス感染症がクルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号で集団発生した際、同センターからDMATを派遣するとともに、クルーズ船患者を受け入れました。それ以来、地域の基幹病院として感染症対策に取り組んできました。

 宮地院長は、地域の基幹病院として通常医療を維持しつつ、コロナ禍に対応し、そこから得られた教訓について説明しました。コロナ病床を増やすためには、県内の重点病院病院長会議を定期的に開催し、コロナ対応病院の情報を共有することで、対応が少ない病院が明らかになり、増床のタイミングなどが見えて有効だと報告しました。病院が感染者療養ホテルを管理することが病院と行政の双方にメリットがあるとして推奨しました。病院のひっ迫を防ぐには、病院の現状を病院長が最もよく知っているので、病院長の意見を参考にすることが重要だと指摘しました。看護師さん、放射線技師さん、事務職員さんからも、どのようにコロナ禍に対応し、医療状況を改善させてきたかの報告がありました。

 枝野代表は、公立病院でコロナ対策の中核を担っている中東遠総合医療センター医療従事者からのオンラインヒアリングを終えて、記者団の取材に応じました。「公立病院としての機能と役割と、周囲の民間病院等を含めた、その役割に対する共通認識、財源的な支えを含めて、そうしたものがきちんと存在することが、このコロナ対応を適切に進めていく上で大前提であることを改めて認識をした」と述べました。

 ただ、こうした中核になる公立病院が存在しない地域が広がっている状況に触れて、「地域によっては、医療対応が大きな遅れを生んでしまっている。現状のシステムを前提に何とか乗り切らなければいけないが、それぞれの地域の中心に公立・公的病院をもう一度しっかりと配置をする。それが国立だけではなく、自治体立が可能となるよう国として支援していくことが危機に対応できる医療という上でも重要だ」と述べました。さらに、医療機関に対する「財政的な手当をしていくことを政治が常に責任をもって発信をしていかなければならない」と強調しました。

枝野幸男代表
小山展弘(こやま・のぶひろ)党静岡3区総支部長・前衆院議員