立憲民主党は22日夜、りっけんチャンネルで「枝野幸男の #政権取ってこれをやる 」を配信し、枝野幸男代表が19日に発表した「Vol.3 地域を守り、地域を活かす」、22日に発表した「Vol.4 住まいの安心と住宅政策の転換」を解説しました。

 枝野代表は、「地域を守り、地域を活かす」政策について次のように語りました。

1. 規制緩和と競争力強化に偏重してきた農政から脱却

 農政ばかりでなく、1次産業を含めた地方政策全体にかかるわれわれの目標。規制を緩めて競争を進めていけば、もともと不利な地域はどんどん厳しくなっていく。日本の1次産業は、なかなか競争ということだけでは太刀打ちできないが、農林水産業自体にさまざまな価値がある。そうした現実を踏まえて、これまでの自民党政権の方針を大きく転換していく。

2.多様な農業者が共存する多様な農業を支援

 自民党政権のもと、大規模化、集約化、国際競争の観点で農業政策が進めれらてきた。しかし、たとえば中山間地では棚田がしっかりと管理されていることで土砂災害を防ぐ機能を果たしているように、農業には自然災害を防ぐ価値がある。大規模で専業農家の周辺には小規模で兼業、家族経営の農家もあり、そうした多様な形態の農家が共生して地域が成り立っている。さまざまな形態の農家がそれぞれ農業を続けることができるようにする大事な柱として、農業者戸別所得補償制度を復活させる。

3.米の政策調整を政府主導に戻し需給を安定化

 自民党政権では、いわゆる減反政策をやめ、農家の皆さんのお互いの努力の中で生産調整をおこなう政策に転換されたが、なかなか目標通りに進まなかったり、あるいは転作転業がうまくいかなかったりした。そのため、もとの減反政策にまるまる戻すわけではないかが、政府が一定の責任をもって主導するようにする。その大きな枠の中でそれぞれの創意工夫や判断を大事にし、生産調整が円滑に公平に進められるようにする。
 コロナ禍の影響もあり、足元で米の値段が大きく値下がりしていることに対し、暫定的措置として、政府備蓄米の枠の拡大をすることで過剰在庫を市場から隔離する。

4. 漁業収入安定対策の充実と資源管理の実効性強化

 漁業は魚の獲れ高、天候、温暖化等の影響で所得の乱高下がある。そうした中でも漁業を続けていかれるように、自然災害等があった時にもしっかり支えることができる収入安定策を充実させる。
 自民党政権で資源管理が歪められ、大規模な漁業者ほど有利になっていると不安の声が上がっている。そのため、資源管理の実効性を高め、公平な制度を取り戻す。

5.木材の安定供給と国産材の利活用促進

 林業についは、環境保護と林業振興を一体的に推進する。森林の保水、災害防止の機能をしっかりと維持し、二酸化炭素を吸収する森林の意義をしっかりと位置付ける。国産材の利活用を増やし、ビジネスとしての林業を支えることと環境保護の観点からの下支えすることが両立するする構造を作り上げる。

6. 地産地消を軸とした「自然エネルギー立国」の推進

 自然エネルギーは特に人口減少地域など、地方において適した地域がたくさんある。太陽光、風力、あるいは地熱、小水力発電が地域の1次産業と連携しながら、地域でつくったエネルギーを地域で消費する。そして地域に雇用を生む。これが自然エネルギー立国をつくっていく上で大きな柱。※エネルギー政策全般については別途まとめて発表の予定

7. 現実的で実効的な人口減少抑制策の推進

 日本全体の人口が減っており、再び増えていくということは現実的ではない。自民党政権は地方創生という名のもとに、夢のような話を振りまいて何とか人口を食い止めようとしてきたが実現していない。

 具体的な施策として5点挙げる。

(1)ベーシックサービスの充実による雇用の確保──たとえば介護や医療。高齢者の比率は地方ほど多いので、介護、医療の需要は地方ほど多くなる。より身近なところで安心して介護や医療を受けられる体制がこの間、壊されてきた。地方ではお金があっても、都会のように多様な教育の機会が限られていて選べないため、公の教育の必要性はより高い。こうした基礎となるサービスをしっかりとそれぞれの身近なところで受けられるように、安定的で質の高いサービスを提供する。そのためには、そのサービスを担う方を正規雇用で勤務していただき、それなりの給料をお支払いする。それにより、その方々が地域に住み続けることができる。そうした仕事の場をまずはつくっていく。

(2)5G通信環境の整備──地方でもより快適で便利な生活をすることが求められている。地方にも通信環境が整ってきているが、高齢者を含めて使いこなせるようにするためにサポートすることなど、環境の整備をおこなう。

(3)地方公共交通機関の支援──地方で鉄道やバスがなくってきており、コロナ禍の影響でタクシー会社までなくなっているところがある。また、高齢化が進む中で、事故防止の自動車免許の返納を求めることが世の中の流れになっているが、病院や買い物に行く足がなければ地域に住み続けられなくなってしまう。民間交通会社を含め、公の役割を担っている地方公共交通機関が事業を継続できるように支援を充実させる。

(4)地方国公立大学の機能強化──全国に地方国公立大学があるが、学生が都会の大学を志向してなかなか地方の大学が選ばれない現実がある。一部の専門分野は例外として、地元の国公立大学で大方の分野の学問を学べるようにする。地域の農林水産業、事業者等と連携して、地域の課題に答えを出せる大学にすることで地域の活性化につなげていく。

(5)郵便局ネットワーク活用──今や地方銀行や農業・漁協でさえ集落からなくなっているところもあり、唯一残っているのが郵便局という地域がたくさんある。明治以来150年間積み重ねてきたネットワークの力は日本の財産。さまざまなサービスを全国津々浦々で受けられるように、郵便局ネットワークの公的な役割をしっかりと支え、活用していく。

8.自治体の裁量で使途が決められる一括交付金の新設

 ベースになるサービスは国の責任で保障する。それに加えて、それぞれの地域の特性に応じて自治体が使い道を決められるお金もしっかりあることで地域が守られ、地域が活かされる。

 次に、枝野代表は #政権取ってこれをやる Vol.4 住まいの安心と住宅政策の転換について解説しました。

 まず、基本的な考え方について「日本は持ち家政策と言われるものにあまりにも偏りすぎていた。もちろん希望する方が家を持てる、あるいはマンションを買える、自分の持ち物として住まいを確保できることを決して否定するものではない。いわゆる中間層と言われる皆さんが、持ち家やマンションの購入などができる支援はこれからも続けていきたい。でも、持ち家政策というと収入が非常に高い富裕層の方にも恩恵が及んでしまう。億万長者の方が大豪邸を作るのに本当に支援が必要でしょうか。一方で、住む家がない、家が借りられない、こうした方がたくさんいる。安心して住まいが確保できないという方が、コロナの影響があって増えている。こうした中で、持ち家だけでなく、家を借りて住んでいただく。そうした皆さんもしっかりと支援をしていくことが、これからどんどん重要性を増していくと思っている。そうした意味で、持ち家偏重から、貸家・家を借りるというライフスタイルを同じように重視していくことへ転換していく」と話しました。

■空き家を借り上げる「みなし公営住宅」の整備

 公営住宅を増やさないといけない。保証人、住民票の登録が必要な問題など住まいを借りる上での困難、あってはならないことだが外国籍やLGBTQの方が入居を断られることがあるのも現実だ。ただ、昔のように国や自治体が公的な住宅を建てる必要はなく、都会でも地方でも増えている空き家を活用する。空き家のうち、比較的状況のよいものを自治体等が公営住宅のために借り上げ「みなし公営住宅」とし、入居所の経済状況に応じて安い賃料で貸す。自治体が最低限の住宅を確保するという役割を担い、国が自治体に対して補助を出す。

 「みなし公営住宅」は災害時の「みなし仮設住宅」(プレハブを建てるのではなく、空いている民間のアパートなどを自治体が借り上げて、仮設住宅がわりに使う)の考え方を拡大して、住居の最低限の保障を国と自治体が一体となっておこなう。都会でも地方でも安全や災害等の観点で問題となっている空き家問題の対策にもつながる。

■低所得世帯を対象に家賃を補助する公的な住宅手当を創設

 「みなし公営住宅」でも不十分な方、あるいはもう少し選択肢を持ちたいが、所得が低いので家賃の負担が大きいという方を対象として家賃を補助する公的な住宅手当を創設する。

■ひとり暮らしの学生への家賃補助制度を創設

 地元の大学で希望する学問が学べる状況を作っていくが、それでも都会に私立を含めて大学が集中しているのが実情。同一都道府県内の大学でも自宅から離れている場合も下宿することになる。われわれは高等教育の無償化を目標としており、家賃が大変な重荷になっている学生を下支えするため、ひとり暮らしの学生への家賃補助制度を創設する。

■住まいのエネルギー活用効率を最大化

(1)新築住宅の断熱化の義務付け──新しくできる住宅は必ず、最高度に近い断熱性能を持つように作る。

(2)建築物の断熱化のための大胆な補助制度を創設──既存の住宅の断熱化を補助する。とくに古くて断熱効率の低い民家にそのままお住まいの高齢の方が、過疎地域にはたくさんおられる。健康の維持管理を考えてもバリアーフリー化とセットで断熱化を進めていくことが必要。将来は「みなし公営住宅」に活用するということもできる。

(3)公営住宅の早急かつ計画的な断熱化の実現──「みなし公営住宅」を含めて、行政が直接かかわる公営住宅からまず、計画的に断熱化を進めていく。

 国として断熱化を推進する意義について、「それぞれの所帯の暖房代、冷房代の支出が抑えらえる。少し中期的なスパンで見れば、それぞれにお金を払っていただいても、こうした電気代、燃料代の節約で元が取れるという余地が大きいと言われている。でも、なかなか初期投資ができないという皆さんが残されているという現実がある。そして、高齢で家の中でも熱射病で亡くなる方がいらっしゃる。寒さで健康を害される方もいらっしゃる。ヒートショックというのもある。こうした状況を防げば医療費の節約にもつながるし、何と言ってもエネルギー、日本はどんどん支出が増えていくということで計画が立てられている。でも住宅の断熱化を進めていけば、今よりもこの部分でのエネルギーの消費を大幅に減らすことができる。こうした意味で、国全体を豊かにすることにもつながっていく」と話しました。

 番組の後半は、皆さんから寄せられた質問に枝野代表が答えました。