枝野幸男代表ぶら下がり会見(#政権取ってこれをやるVol.6)

2021年9月27日(月)13時00分~13時41分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/GjjUTpwUNXE


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「#政権取ってこれをやる」第6弾 みんなを幸せにする経済政策

【代表】
 「#政権取ってこれをやる」を順次発表させていただいていますが、きょうはバージョン6であります。「分配なくして成長なし!みんなを幸せにする経済政策」として5項目を発表させていただきます。
 全体として経済にかかわる話をまとめて発表させていただきますが、1番と、2番から5番までは、若干というかかなり性格が違います。現下のコロナ禍という50年に一度、100年に一度という特殊状況のもとでの時限的な措置、これが1番であります。そして、(新型)コロナを乗り越えた後でつくり上げていく社会、その中での経済という意味で2番から5番ということになります。
 その1点目、このコロナ禍における経済運営として、もちろん事業継続が困難な皆さんに対する、いわゆる「補償はセット」というこの場で申し上げてきている政策に加えて、大きな経済と暮らしの傷みに対する対策として「1.時限的な減税と給付金」を実現したいと思っています。
 一つに、年収1000万円程度までの方に対して所得税を実質免除するとともに、所得税を納めておられない方、あるいは所得税の税額そのものが少ないために免除を受けてもそれがわずかにとどまる方、こうした方については給付金の支給をするということで、全体として中間層まで含めて生活の傷みというものにしっかりと手当てをし、そのことによって消費を喚起し経済を回していきたいと思っております。全て給付金でという考え方もあるかもしれませんが、これはこの間に緊急対策として申し上げている困窮層に対する支援や持続化給付金などもそうでありますが、できるだけ適切なタイミングで事務的な処理等もスムースに迅速に行わなければならないということを考えると、多くの皆さんについて税の実質免除という形が最も行政事務が少なく迅速に行える。それでは対応し切れない方に対して給付金を行うという形で、迅速な対応を進めてまいりたいと思っています。
 二つ目には、従来から申し上げておりますとおり、いわゆる当たり前の日常が一定取り戻されつつある状況のタイミングを見ながら、時限的な5%の消費税減税を実施したいと思っております。これは一定程度当たり前の日常が戻ってくるタイミングで行いたいと思っています。現状ですぐに行うと何が起きるかといえば、いわゆる巣ごもり需要を初めとして、コロナ禍においても消費が可能な部分のところにその恩恵が行ってしまいます。飲食、観光、文化、イベントを初めとして、この間コロナの影響で消費したくてもできなかった部分。これもおそらく当たり前の日常が取り戻される当初は、この間の反動として「安全・安心であるならば」ということで一気に需要が急増することが、どこかのタイミングで実現をしなければならない、実現したいと思っていますが、それが一定程度続きませんと、もう間もなく2年になる関連業種の経営上の傷みというものを補うことはできません。「Go To」キャンペーンに見られるような、需要が回復期にもないのに膨大な金を使うというような、また、富裕層などにその恩恵が行く、大きな企業等に恩恵が行くというやり方ではなくて、幅広く、しかし薄く、一定の期間、この間我慢せざるを得なかった消費に対して一定の政府としての支援があるという状況をつくっていきたいと思っています。
 2番目以降が、このコロナ禍における特殊な事情以外の、我々として目指していく経済社会、まさに「分配なくして成長なし」ということであります。既にもう街頭演説等で私のここのところの説明はたくさん聞いていらっしゃる方はいると思いますが、とにかく我が国の不況は国内における消費の低迷が根本的な問題であるということは何度も繰り返しているとおりであります。輸出も、大変厳しい競争の中で苦しんでおりますが、バブル崩壊以降の約30年近くを見ても、もちろん東日本大震災、コロナ、あるいはリーマンショックという変動はありますが、他の先進国と比べて輸出が日本だけ著しく低いということは全くありません。そういった意味で日本の輸出産業は頑張っています。決定的に先進国の中で日本がだめなのは、国内の消費であります。したがって、経済を立て直すには国内消費を伸ばす、これが本質であります。にもかかわらず、いわゆるアベノミクスは強い者をより強くし、安くていい物やサービスをいかに供給するかという、サプライサイドに偏った政策を打ってきました。安くてという部分でむしろ消費者の購買力を引き下げる政策をやってきたアベノミクスは全く実態とは逆のことをやってきたし、結果的に株(価)が上がっただけで実体経済をよくすることは全くできなかったと思っております。したがって、格差の是正と、そして老後や子育て、雇用などの安心を高めること。そのことによって、消費できる購買力、そして消費できる安心を(高めること)。これが何よりもの経済政策であり、そのためには、経済成長のためにはまず分配を適切に行わなければならないと確信しています。
 そのために、まず「2.生きていく上で不可欠なベーシック・サービスの充実」を図ってまいります。医療、介護、子育て、教育分野など、老後や子育ての不安を小さくするためにサービスの量・質、そして、それをいわゆる窓口負担をいかに所得に応じて適正な範囲に抑えるか、あるいは負担能力のある方には負担していただくかということまで含めて、生きていく上での不可欠なベーシック・サービスをどなたでもしっかりと受けられる、そのための予算の重点配分を行います。
 次に、「3.雇用の安定と賃金の底上げ」であります。賃金の底上げという意味では、医療、介護、子育て、教育などの、特に非正規(雇用)の皆さん。ここは直ちに政治の意思で賃金の底上げが図れます。いずれも、こうした皆さんの賃金は政治が決めています。予算配分をしない限りは、例えば保育所は原則無償化している、全額公費でありますから、この方々の人件費総額は政治が決めていますので、人件費総額をふやさない限りはこうした皆さんの、希望する方を非正規から正規へ、そして賃金を底上げすることは不可能です。そうしたことを2番との関連で進めていくと同時に、同一価値労働同一賃金を法制化いたします。
 また、最低賃金時給1500円を将来的な目標に、実現します。これについては地域の偏在状況、どういう段取りでどう正していくのかということはかなり緻密な丁寧な段取りが必要だと思っています。また一方で、このコロナ禍において、特に飲食や観光など、今すぐに最低賃金を上げられるとコロナの影響がダブルパンチを受けるというような声もありますので、状況をしっかりと見据えながら、特に中小・零細企業、あるいはコロナ禍で影響を受けている企業に対する支援をしっかりとセットにしながら進めてまいります。
 また、これも段階的に進めていかなければなりませんが、派遣法などを見直して、希望すれば正社員で働けるという社会。30年前には当たり前だったと思っています。そうした社会に、30年かけて壊されていったものを、30年はかけ過ぎですが、3年、5年、10年と、段階的に着実に戻していきたいと思っています。
 4番目として、「4.中長期的な研究・開発力の強化」であります。ポイントは「中長期的な」であります。この間のいわゆるアベノミクスのもと、自民党は、目先の金になるところ、金になりそうなところに、いわゆる競争的資金などを重点配分すると称してやってきました。結果は何か。日本の研究・開発力の裾野と、ベース、土台自体が壊されてきました。そして、政治がコミットして金になりそうなところを選択して配分しても、その選択自体が必ずしも適正ではない。そもそも、もうかるところを選ぶ能力があったら初めから政治家や役人ではなくて経済人になっていると思います。政治の役割は、目先金にならないかもしれないけれども、我が国の研究・開発、技術力を中長期的に強化していく上で必要不可欠な研究・開発力、その基盤にしっかりとお金を注いでいくことであります。いわゆるポスドクの問題、あるいは国公立大学に対する運営費交付金の問題などを初めとして、目先の金もうけ一辺倒でゆがんでしまった研究・開発力の強化を、その中身も、そして量も、転換をしてまいりたいと思っています。
 最後に、財源。特に2番から4番までについての財源であります。富裕層や超大企業への優遇税制の是正によって所得再分配の強化を図ります。
 法人税は、必要な政策減税、これは今後も政策手段として大事だと思っておりますが、そうしたものは残した上で、累進税率を導入いたします。現状、アベノミクス検証委員会の報告でも皆さんにお示ししたとおり、超大企業の法人税負担率は小規模企業とほぼ一緒、中堅企業よりも圧倒的に低いという、非常にゆがんだ構造になっています。これを正します。
 それから、所得税の最高税率を引き上げます。分厚い中間層に対しては、現状細ってきたとはいえ中間層に対しては一定の税制的な支援を続けるべきだと思いますが、富裕層に対する所得税は、現下の格差の拡大とそれによる消費の低迷、結果的に長期的には富裕層の皆さんの暮らしも脅かすということをご理解いただいて、応分の負担をお願い申し上げます。
 特に、株の売買、配当利益などに対する金融所得課税を強化いたします。これも既に何度かお伝えしているとおり、日本の個人所得税は年収1億円を超えると実際の負担率が低下していくという傾向にあります。急激に低下します。その原因は、富裕層ほど、いわゆる勤労所得や事業所得ではなく配当所得、金融所得課税の対象になる所得の比率が圧倒的に多くなる。ここが原則20%という、富裕層にとっては圧倒的に低い税率であるというゆがみは、これは変えざるを得ないと思っております。  以上、経済政策はあらゆるところに我々の考え方では及んでおります。これまで申し上げてきた、地域を元気にする政策であるとか、医療や介護などの安心を高める政策、さまざまなものが経済につながっていきますが、経済という切り口から改めて我々の政策全体を整理して発表させていただきました。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。


■質疑

○「#政権取ってこれをやる」第6弾について(1)

【共同通信・小野塚記者】
 「時限的な減税」のところでの消費税減税と年収1000万円程度以下の所得税実質免除の規模感だが、大体何兆円ぐらいの規模感になるかという点が一点と、この所得税減税は世帯単位ではなくて個人単位という理解でよろしいか。

【代表】
 所得税減税は、給付で行うよりも圧倒的に行政事務を少なく迅速に行えるという観点が一つのポイントだと思っています。世帯単位で実は税務署等は把握できていませんので、個人単位でやらざるを得ないと思っています。
 規模については、実際の年収1000万円程度以下の方の納めている所得税の総額は5兆円弱程度と把握しています。ただ、ある線を超えたら一気に従来どおりの税ということになると、可処分所得、税引き後所得の逆転現象が起きてしまいます。当然1000万円程度の線引きをどこかでしながら、そこからグラデーションをつけてやっていくということになりますので、5兆円を一定程度上回る規模ということで考えています。
 時限的な5%の消費税減税については、1年間当たり13兆円ぐらいではないだろうかと、10兆から15兆の間、経済状況にもよって左右されるというふうに見ております。

【「フランス10」・及川記者】
 きのうの朝日新聞で、金融所得に対する課税を強化すれば二つ懸念があり、一つは株価が下がる、もう一つは大金持ちが海外に逃避してしまうと。この意見についてはどう反論されるか。

【代表】
 まず、この間、株価はそれは安いより高いほうがいいですが、株価は上がっても実体経済はよくならないし、ほとんどの国民の暮らしはよくならずに、したがって暮らし向きが悪くなってきている人がたくさんいるという状況の中で、株価を高くすればいいという政策はそもそもとりません。実体経済を反映して結果的に株価が上がってくるという、本来の株式の機能、株式市場の機能を取り戻していく。もちろん株価の変動が金融全体に影響を与えるというようなことについては配慮しなければなりませんが、株価を維持するためにゆがんだ税制を放置するという考え方は、そもそもとりません。
 二つ目ですが、よく言われるのですが、では本当に租税回避ができる方が日本の富裕層の中にどの程度いらっしゃるのかということについて、どなたも、実証的なことをおっしゃった方はいらっしゃいません。私は、日本の富裕層も、一定の基準に基づいて、公平・公正な課税で、社会全体、日本全体のことを考えてご理解をいただけると思っておりますし、さらに申し上げれば、国際的な課税についての連携であるとか、また、あまりそのことによって形式的に所得税逃れをするという方が多く出るという状況であるならば、それに対しての対応は今から想定・準備をしています。

【「フランス10」・及川記者】
 ちょっと専門的な話になるが、フランスで買春が禁止されたのが2016年で、ヨーロッパでは2番目の国だった。日本でもコロナによって結局セックスワークがセーフティーネットになっているということは、これは廃止派の人も権利を守ろう派の人も共通認識である。フランスでも、社会党は推進、緑の党は反対と、リベラルでも分かれた。枝野さんの、セックスワークに対する考え方、セックスワーカーの権利に対する考え方を伺いたい。

【代表】
 中長期的には一定の議論が必要だと思っていますが、まず足元では、このコロナに対するさまざまな支援がセックスワーカーの皆さんには対象になっていないという、そういう支援がほとんどであるというか、ほぼ全部と言っていいと思います。これは明らかに間違っているし、ゆがんでいると思っています。違法な収益の出方でない方については、社会的にいろいろな評価のある働き方であったとしても、このコロナによる支援はしっかりと行うべきであると思っています。

【フリーランス・宮崎記者】
 年収1000万円程度の線引きに関して、これは個人なのか世帯なのか。また、収入と所得、収入から基礎控除後の世帯所得のことを言って1000万円というふうにおっしゃっているのか。それから、確定申告や年末調整はあくまでも必要な前提か。それと、地方自治体にとって主要な税源である住民税は税務署からデータが行って半年近くたって課税しているが、住民税は納税するという前提か。

【代表】
 まず、先ほど申しましたとおり、世帯単位で把握は新たな作業が必要になりますから不可能です。今、所得税は個人単位で申告し、あるいは年末調整をしていただいていますので、個人単位です。
 この場合は所得ではなくて収入で、所得1000万円だとちょっと高過ぎるというふうに思いますので、収入で1000万円程度ですが、ちょっと1000万円以下の具体的な水準は、実は年収800万円程度と1000万円程度、もちろん家族構成などによって変わるのですが、これで実際の免税額が倍ぐらい違ってくるので、ここはこの間の線のところをどの辺のところにするか。ただ、1000万円程度の方が相当程度及ぶのは間違いないということでやりたいと思っております。
 それから手続ですが、これは今、次の総選挙で政権をとらせていただいたとしても、早くても11月の半ばに政権発足して、それから例えば予算編成を組み直す、税制大綱を組み直すということで間に合うのかどうかという行政の実務のタイミングの問題なども含めて、これは政権をお預かりしたら財務省当局とよく調整をしないといけないと思っています。それによって、どのタイミングでどういうやり方で実質免税するのかというのは、技術的に。なので実質と申し上げています。本来であれば年末調整あるいは確定申告の際にこの効果が直接及ぶというようなことをことし12月の年末調整とか来年3月の確定申告でしたいのですが、ちょっとそれが間に合うというタイミングではないかなというときに、その場合どうするかは税制当局と、政権をお預かりできれば、具体的に作業の手順は幾つかの案を出させようと思っております。
 三つ目ですが、あくまでも私どもが今回提起しているのは所得税であります。住民税について、それは一旦免税にしてその分を国が穴埋めするという選択はありますが、やはり住民税は自治体の自主財源だと思いますので、まず国としてできることをやるというふうに思っています。

【産経新聞・原川記者】
 1番と5番について1個ずつ伺いたい。「年収1000万円程度以下の所得税実質免除」だが、週末の街頭でも述べられていたが、これは1年間ということでいいのかという確認と、所得税実質免除とあるが「実質」というのは具体的にはどういうやり方で実質免除するのか、まず伺いたい。

【代表】
 基本的には単年度の想定です。ただし、コロナの状況が、例えば第6波・第7波がもっと社会に深刻な影響を、しかも長期にわたって与えるという、現状あまり想定はしたくないけれども悪い想定になった場合にはまた新たに考えなければならないというふうには思いますが、現状、第6波を相当程度低く抑えて、できれば起こさずにという想定の中では、単年度という想定で提案しています。
 「実質」というのは、先ほどの話にもつながるのですが、これは11月、早くても10月31日の選挙ですと、今年度分の年末調整・確定申告はちょっと間に合わない可能性が高いという状況の中で、技術的にどういうやり方をするのか。また、立法措置をどういうやり方をすればいいのか。実は課税・納税と給付を税務当局で相殺できないかとも最初思ったのですが、それはちょっと法整備がないとできないだろうというような見解は大体そうなのかなと思っていますが、そういったことを含めて、やり方。法技術的あるいは行政技術的に行政事務をできるだけ少なく迅速にできるやり方で、いろいろなやり方があるということについては幅を持たせていただいたということです。

【産経新聞・原川記者】
 もう一つは5番のほうだが、法人税への累進税率の導入と所得税の最高税率引き上げとあるが、法人税の場合は累進税率の最高税率は何パーで、経常利益になるのか資本金になるのか、これこれこういう企業に対して累進税率は最高でこれだけになるというのを教えていただきたいのと、同じく所得税の最高税率に関しても、課税所得が幾ら以上に対しては最高税率が幾らというふうに、その数字を教えていただきたい。

【代表】
 これは中期的な期間をかけて段階的にやっていきたいと思っています。それは超大企業といえどもいきなりどーんと法人税額が何倍にも膨らむということでは企業の経営計画が成り立たないだろうと思っていますし、所得税についても一気にやればさまざまな人生設計が狂ってくる方もいらっしゃると思いますので、したがって、中長期的な目標を申し上げるとまた誤解をされるし、では単年度まず最初これやりますというのも誤解されますので、目指している水準は、法人税について言えばやはり事業規模に応じて段階的に、規模が大きいほど負担率が高くなるという当たり前の構造をまず取り戻していく。つまり、今、中堅企業が納めている実質の負担率の水準までできるだけ早く戻すということが、まず当面の目標であります。
 所得税については、実は、まずは金融所得課税のできること、これも先ほど言ったとおり株高だけあっても仕方がない、株高を必ずしも目的としないということを申し上げましたが、これも段階的に進めませんとマーケットに与える影響が大き過ぎます。これを段階的に進めていく中で、実際に例えばいずれ総合課税にすれば実は相当富裕層の皆さんの実質負担率が高くなるのかどうかを見据えながらやっていきたいと思っています。

【NHK・米津記者】
 2点伺いたい。全体的なことと1番についてだが、まず全体について、「分配なくして成長なし!みんなを幸せにする経済政策」と銘打っておられ、冒頭の説明の中でも言及が一部あったが、これは自民党との対立軸として衆院選の公約にされると思うが、理念や目指す社会像としてどういったところが違うのか、どういったことを訴えていきたいか伺いたい。

【代表】
 まず、まさに「分配なくして成長なし」ということについての認識があるかどうかだと思っています。自民党の中で我々に近いと思われる人でも成長の果実をもっと分配に回すみたいなところまでが限界でして、分配が適正に行われていないから成長しないんだという、これはもうOECDなどの見解を見ても世界の先進国ではこちらが常識だと私は思っていますが、日本の、あるいは自民党だけガラパゴス化していると思っています。まず一つは、分配こそが成長に必要なんだと。鶏と卵ではないですが、適正な分配をして購買力を高めないと成長しないんだと。ここが明確に違っていると思っています。
 それと裏表かもしれませんが、やはりサプライサイド、つまり企業、あるいは物やサービスの提供側からだけ経済を見ているという、これも高度成長期の物の見方であって、購買側、デマンド側からしっかりと経済を見なければ経済は回っていかない。これもOECDなどで先進国ではもはや共通、最もいわゆる新自由主義的な米国ですらバイデン政権のもとでは私が申し上げているような方向だ。これをいまだに理解できていない自民党や、それを支える皆さんでは、日本の経済はよくできない。明確な違いだと思っています。

【NHK・米津記者】
 もう一点が、「時限的な5%の消費税減税」のところで、ご説明の中で、一定程度当たり前の日常が戻ってくるときとおっしゃっていたが、これは具体的にどんなことを想定されているのか。例えばワクチンだけではなく治療薬が行き渡ってくるようなときだとか、あるいは第6波が想定される中でも、より皆さん旅行に出ていったりということができるようになってきたら、そのタイミングにもなり得るのかとうことを伺いたい。
 あわせて、この「時限的な5%の消費税減税」というのは、特に自民党の総裁選の議論の様子を見ていても自民党側からはやはり出てこない話かなと思うが、これについて野党をまとめていくというお考えがあるかどうか改めてお聞きしたい。

【代表】
 具体的に、この間傷んでいた、もちろんその波及でいろいろなところ、例えば外食が落ちていると米づくり農家が困っているとか、その波及のことまで含めて、特に消費の窓口として傷んでいる外食産業、観光、それから文化、イベント。こうしたことを日常に近い形で、つまり今、無理やり「酒を出すな」「時短しろ」、国民の皆さんには「できるだけ外食するな」とお願いをしているお願いをしなくてよくなる状況。その状況です。「県境を越えた旅行にはできるだけ行かないでください」というお願いをしなくていい状況。そのときになって初めて、そういった産業はお客さんが戻ってくる。
 お客さんが戻ってくる最初は実は大丈夫だと思っているのです。なぜならば、そこはむしろ別の支援で、例えば飲食店であれば仕入れのための資金がもう底をついているので、再開するときに大変だみたいな、ここの支援は要りますが、消費そのものは、「コロナの心配なく安心してどうぞ旅行に行ってください」「どうぞ飲みに行ってください」という状況になれば、それは一時的に消費が戻ります。この間できなかった分、一時的に爆発的に消費は戻ると思うのですが、それを継続させないと、1カ月、2カ月で「一通りやったから減っちゃった」ではとてもではないけれども中長期的にこれらの産業はみんなもたなくなりますので、そういうタイミングに打っていけるように。
 あわせて、実はここには、消費税は全商品・全消費についての対象ですが、特に傷んでいるところについては、この消費税も下がるし、あわせてこういうところで料金について一定の政府の支援がありますというのを組み合わせることも含めて、具体的にそのタイミングで実現をしていきたいと思っています。

【NHK・米津記者】
 野党のことを。

【代表】
 この間、「市民連合」さんとの政策の中にも、こういうご要望があって、これにサインをしていますし、国民民主党さんはもともと消費税5%に下げるということをおっしゃっていたと思っています。したがって野党各党足並みが揃っていることは喜ばしいと思っています。

【朝日新聞・吉川記者】
 先ほど2番から4番に対しては財源の話があったが、1番の所得税実質免除とか消費税減税についての財源のお考えを伺いたい。

【代表】
 こんなもの国債に決まっているではないですか。コロナ対策、自民党も本当に結果的に無駄と言っていいようなところに膨大な支出をしています。特に年間当たり少なく見ても20兆とか30兆とか、需給ギャップというか消費の落ち込みが現に生じているし、これが今年度はもう通じてそうだろうと思いますし、場合によっては来年度も続くかもしれない。これはもう国債で埋めない限りは、そこを維持することはできない。したがって、これはまさに100年に一度の緊急時ですから、ここは国債でやるしかないし、国債でやるに当たっては、少なくとも「Go To」キャンペーンみたいな話よりもよほど多くの国民の皆さんに行き渡り、実体経済や社会を支える上では効果的な提案だと確信しています。

○外交・安保政策について

【IWJ・浜本記者】
 先日発表されたVol.5、安全保障の問題について二つ質問したい。目下安全保障にとって喫緊の課題は米中の対立による台湾有事の可能性で、集団的自衛権の行使容認と安保法制によって自衛隊はその戦争に自動的に参戦してしまうのか、それとも参戦を回避できるのか、関連して中距離ミサイルの大規模な国内配備を認めるのか否かという点についても、立憲民主党の政策集には何も述べられていない。自民党の総裁選で連日議論が交わされ報じられている問題であり、このままでは国民が与党との違いがわからず、どちらに一票を投じるべきか決められない。トランプ大統領の補佐官だったピーター・ナヴァロ氏の著作の中で、日本列島に中国のミサイルを吸収させるという話がされており、これは中国の中距離ミサイル配備にかかわる話なので8月31日の代表記者会見で枝野代表にお尋ねしたが、日米同盟基軸の方針に変わりはありませんとしかお答えいただけなかった。再度この問題についてご意見をお聞きしたい。

【代表】
 台湾有事を生じないように、なおかつ中国の覇権主義的な行動を国際社会の力で抑え込むために、日本はバイデン政権と足並みを揃えていく必要性はさらに高まっていると。私どもそれについては全く同意です。
 そして、万が一、台湾有事になった場合には、それに対応する米軍の基地が事実上日本の領土にある以上は、集団的自衛権の行使容認をしなくても、我が国の個別的自衛権の行使の要件をほぼニアリーイコールで満たすことになると思っています。それだけに、そうしたことを起こさないための外交努力は最善を尽くしたいと思っています。

【IWJ・浜本記者】
 元防衛省キャリアで元内閣官房副長官補の柳澤協二氏によれば、米軍は南西諸島に限らず日本列島上のあちこちに中距離弾道ミサイルを配備し日本列島をミサイル要塞化する戦略であるとおっしゃっている。つまり日本に中距離ミサイルを配備することで日中で刺し違えさせ米本土を守るという都合のいい戦略だ。また、自民党総裁選に立候補している高市早苗氏は、中距離ミサイルの配備、これは絶対だと強く主張しており、さらに電磁パルスで中国のミサイル基地を無力化させるとも発言している。電磁パルスを発生させるには中国領空で大規模な核爆発を起こす必要がある。こうした問題についてご意見をお聞きしたい。

【代表】
 電磁波等の技術で他国の攻撃能力を無力化するというのは、軍事技術のリアリズムの観点から現状地に足のついた議論ではないと思っております。
 我が国の安全保障の装備として中距離弾道ミサイルを装備するということは、それは憲法の観点からも、それから日本の国際的な立ち位置や状況からも、考えられることではないと思っています。米軍が一方的にこれを日本各地に新たに基地をつくって配備するなどということは、現状、米国からそうした申し入れがあるというふうには承知していませんし、それは必ずしもリアリティはないと思っています。

○旭川市長選の結果について

【北海道新聞・袖山記者】
 政策から少し離れてしまって恐縮だが、昨日、北海道旭川市の市長選が行われた。札幌市に次ぐ人口第2の都市で、地方選ではあるが与野党一騎打ちの構図で、野党候補・立憲候補は敗北した。間もなく衆院選が近づいているが、そちらへの影響なども含めて受けとめをお願いしたい。

【代表】
 道連に聞いてください。

○「#政権取ってこれをやる」第6弾について(2)

【日本経済新聞・中村記者】
 消費税の時限減税について、何年でやるのかというところ、いろいろとどのように実現するかも含めてあると思うが、どのぐらいの期間実施するのか考え方をお伺いしたいのと、「自民党では実現しなかった」という文言が今回の経済政策は外れているが、これについて何かもしお考えがあればお伺いしたい。

【代表】
 経済政策、我々も資本主義がベースですし、例えば中長期的な研究・開発をやっていなかったわけではなく完全にウエートのかけ方が間違っていたということなので、できなかったと言うと言い過ぎかなと。ただ、本質的には全然方向がピントずれていますよねという話なので、あえてタイトルはつけませんでした。
 期間については、これも先ほどの所得税の話とも似ているのですが、本当にこれ第5波でおさまっていくのか。それとも、まさに変異株などを含めて、専門家によっては、これから2、3年つき合うんだとおっしゃっています。とてもではないけれどもそれではもたないという事業者・生活者はたくさんいらっしゃるのですが、やはりどういうタイミングで先ほど申し上げた当たり前の日常が取り戻せるタイミングになり、それまでにそうした関連業界を中心にどれぐらいの傷みがあるのかということを見据えないと、特に(国民の)ご関心が高いことだけに、ちょっとそれを見据えた上で具体的な期限は示さざるを得ないと思っています。

○新型コロナ 水際対策緩和の政府方針について

【日本経済新聞・中村記者】
 代表は政府の水際対策の徐々の緩和に対して批判する発言をされているが、一部報道によると、10月から、変異株流行国からの3日間の検疫所施設の待機措置の免除と、全世界からに求めている自宅などでの14日間の待機措置の10日間への短縮を検討しているという報道がある。代表はこれに関してのご見解はいかがか。

【代表】
 全くナンセンスだと思います。ワクチンを打っていても感染する人は感染するし、症状がなくても人にうつすことはあるし、そして潜伏期間があるということもよくわかっているはずであります。ましてや、PCR検査ではなくて抗原検査でオーケーではないかと。これはPCR検査に比べて精度が相当落ちるのも間違いありません。全く変異株が入ってくるのをなすがままにするという姿勢で、国民の命を守らない大変な愚策だと思っています。
 一方で、例えば緩和をするのであれば、今、留学生は原則一切入れない、それから法律上のパートナーでないと基本的には入れない、こういう状況になっています。そういった皆さんも、我々の言っている、10日間、検疫所が管理する宿泊施設で、宿泊代も食事も国が出して、そして3回PCR検査をしてという状況であれば、別にどんどん入ってきていただいたらいいと思います。日本のこの状況で、日本に留学したいという方は、それはなぜそういう人はだめなのか。あるいは法律上のパートナーしかパートナーを入れないだなんていうのは国際標準から全くずれている。こういうところこそ緩和すべきであって、入り口でのまさに感染していないということの確認、チェック、その保障、ここを緩めるというのは全くナンセンスだと思っています。