「岸田新内閣のことを、ある新聞では『マリオネット内閣』などと揶揄していた。『新自由主義からの脱却』などは1つ見識だとは思うが、果たしてそれが本当に実現できるのかが最大の問題だ」(水岡俊一参院議員会長)。
「 8日の所信表明演説で、実際、岸田総理は具体的に何を改革しようとしているのか、国民に対し明確に示すべきだ 」(難波奨二参院国対委員長)
10月4日、岸田文雄新総理の下で新内閣が正式に発足。初めての閣議で「国民の声を丁寧に聴いて政策に反映させる」ことを1つの柱として決めました。今こそ「声を聴く国会を」ということで、6日放送のりっけんチャンネルでは、水岡俊一参議院議員会長、難波奨二参議院国会対策委員長が出演し、岸田新内閣や今後の国会運営について議論しました。岸田新内閣が(1)所信表明ではっきりと改革の道筋を示すことができるのか(2)それをきちんと実行に移すという信頼感を醸し出せるか――が大きな問題との見方で両者は一致しました。番組の司会は、吉川沙織参院議院運営委員会筆頭理事が務めました。
■新内閣の発足について
岸田文雄新内閣の発足についての所感を吉川参院議員に求められると、水岡参院議員会長、難波参院国対委員長は以下のように答えました。
水岡参院議員会長「世論調査などを見ると一応、お祝いムードにあるような印象を受ける。ただ昨年の菅内閣の発足時に各紙7割を超える支持率であったことを考えると、かなり控え目な数字でもある。昨年に比べると、保守系の有権者も冷ややかな目で見ているというのが事実としてあるのではないか」。
難波参院国対委員長「党員票・党友票では、圧倒的に河野さんがリードしていた。これとは乖離した結果となったことはひとつのポイント。また株式市場の反応も、あまり芳しいとは言えない状況だ。新内閣は『新しい資本主義』のような新たな考えを打ち出しているが、実際に改革をやろうとすると、そこにはかなり大きな壁があるのではないか」。
また総裁選の際、岸田新総裁が掲げた政策スローガンに「新自由主義からの脱却」「分配なくして成長なし」といった、立憲民主党を想起させるものがあったことについて「私たち立憲民主党が訴えてきた考えに近い部分も多々あった。総裁選で訴えていたことを、新総裁は果たして本当に実現できると思いますか」と、吉川参院議員に問われると、「岸田新総裁は『民主主義の危機』という発言もされていたと思う。8日の所信表明演説では、実際、何を具体的に改革しようとしているのか、国民に対し明確に示すべきだ。森友・加計問題に象徴されるような行政の歪みや、国会を全く開かず、無視し続けるような政治手法について、どのような受け止めをしているのか注視していきたい」と、難波参院国対委員長が答えました。
続いて、水岡参院議員会長は「よく○○内閣という言い方をされるが、ある新聞では『マリオネット内閣』と揶揄されていた。操り人形なのではないかという危惧が根強いことを示していると思う。『新自由主義からの脱却』という考えは、われわれから見ても評価できる1つ見識だとは思うが、それが本当に実現できるのかというところが最大の問題だ」との見方を示しました。
そして両者ともに(1)所信表明ではっきりと改革の道筋を示すことができるのか(2)それをきちんと実行に移すであろうという信頼感を醸し出せるかどうか――――が大きなポイントであるとの見方を示しました。
■野党が求めてきた国会召集の要求について
これまで与党が国会の開催を頑なに拒んできたことについて、吉川参院議員が「今夏も過去最高の新型コロナウイルスの新規感染者数・重症者数を記録した。そんな時は必ず国会を開き、手当てできる措置などについて議論しなければいけないのに、それができなかった。憲法第53条に基づき7月16日の日に臨時会招集を要求していたので、総裁選も前倒ししていれば、もっと早く議論ができていた」と指摘。すると水岡参院議員会長は「国会軽視が続いている点で、これ程ひどい時代はなかった。なぜ、これ程までに国会を軽視するのか。理由は2つあると思っていて、1つはやはり、与党に緊張感がないから。議席数の面で、与党が圧倒的に優位に立っているので、野党に対し丁寧な対応をする必要がないと考えがち。2つ目は、与党にとことん議論する自信がないからではないか。与党が打ち出す政策について確たる根拠がないので、議論に自信が持てない」との見方を示しました。
また難波参院国対委員長も「6月16日に通常国会が閉じた。今度の総選挙の投票予定日が10月31日なので、約4カ月間も国会が開かれない『政治空白』が生じているという現実がある。国会での議論を通じ、国民の皆さんに対して行政の透明性の確保をしたり、時の内閣の考え方を明確に示したりすべき。『国会軽視』というのは『国民軽視』とイコールだ。国民の皆さんは、そこに強い憤りを持って頂きたい」と訴えました。
■今回の総選挙について
過去3回の総選挙における投票率がいずれも50%台と低水準で推移していることから、難波参院国対委員長は「これで本当に民意というものが示されたと言えるのかどうか。このコロナ禍の1年半、国民の皆さんは、政治に対するさまざまな想いというものをお持ちになったと思う。その想いをぜひ1票に託して頂きたい。そうしないと政治は変わらない」と訴えました。水岡参院議員会長も「やはり国民の皆さんの関心がもっとも高いのが、新型コロナウイルス感染症対策だ。今後、これをどのように展開していくのか。例えば医療現場のひっ迫をどのように解消していくのか等の具体的な議論が、今回の選挙戦における議論を通じて、国民に対し示されていかなければいけない」と発言しました。
その後、総選挙について「コロナ対策にばかり焦点を当てると、感染者数が減った時に肩透かしにあってしまうのではないか」と危惧する質問が視聴者から寄せられると、難波参院国対委員長が「コロナ禍で国民の皆さまが置かれた状況はまさに千差万別。国民の皆さまが置かれた現状を政治がきちんと捉えなくてはならない。そしてコロナ禍で明らかになったさまざまな課題に対し、それぞれの分野で的確な政策を練っていかないと、国民お一人おひとりの幸せの実現は掛け声倒れに終わってしまう。野党の立場ではあるが、わわわれは政策提言もきちんとおこなって参りたい」と回答しました。