立憲民主党は8日夜、りっけんチャンネルで「新首相の所信表明を発表 岸田首相を問う」を配信しました。番組では、森ゆうこ参議院幹事長、、大串博志役員室長、奥野総一郎衆院予算委員会理事が臨時国会での今後の動き、同日おこなわれた岸田文雄総理の所信表明について語りました。
進行役をつとめた大串議員は「岸田総理は自民党を生まれ変わらせると言っていたが、そういうことができるのか。私たちの目から見るとこれまでの安倍・菅内閣と変わらないように見える」と切り出し、私たちが国会のなかからどう見ているのかをお伝えしたいと語りました。
4日に始まった臨時国会の会期はわずか11日間。立憲民主党をはじめ野党が求めている予算委員会、政治倫理審査会での実質審議に政府・与党は応じようとしていません。奥野議員は、甘利自民党幹事長のあっせん利得疑惑、年金通知誤送による情報漏洩、日本大学背任疑惑を野党合同ヒアリングで取り上げていることを紹介し、引き続き予算委員会の開催を求めていくと話しました。
岸田総理の所信表明に対して会派を代表して13日に質問する予定の森議員は、衆院解散直前で、質問の順番が野党最後なので「野党のトリを飾るということで、ものすごく責任が重い。私自身の問題意識の点も整理をし、党としてまとめた質問項目も加味してギリギリまで質問を作ることになる」と意気込みを語りました。
次に、岸田総理の所信表明のうち(1)コロナ対策(2)新しい資本主義・経済政策(3)外交安全保障・日米同盟・核軍縮(4)多様性――の部分のダイジェスト映像を見て演説を振り返りました。
奥野議員は、「中身は全くないし、イメージが沸かない。もっともらしい言葉を並べているが、具体的にどうしたいのか、どうするのか、どのような世の中になるのか、全く浮かんでこない」と述べました。「新しい資本主義とはどういう資本主義なのかさっぱり分からない。中身は新しい会議を作って、そこで検討するようなことを言っている」。「再分配の政治というのはわれわれも通じるところがあるが、何をどう分配していくのか全く明らかでない。皆さんの関心の高い年金をどうしていくのか触れていない」「再分配にしても、所得税の累進を上げるとか、法人税の引上げをしないと再分配にならないが、肝心の特定の人に痛みが伴う部分については一切語っていない。財政の健全化に向け税制をどうするかを考えないといけないが、それにも触れていない。デジタル田園都市構想も言葉遊びのようで、何のことなのか」「コロナについても他人ごとのように言ってたが、今頃何を言っているのだ、政調会長もやられていたのに。本当に驚き、呆れた」と酷評しました。
森議員は、総裁選で大々的に打ち出した「令和版所得倍増」が入っていなかったと指摘しました。再分配機能を強化するためには、社会保障の給付と負担、税制のあり方に踏み込まなければいけないと現実味がないのに、「富裕層への課税強化を仰ったのに、相当叩かれて所信に入れられなかったのかなと思う。大変残念だ。税制に触れたのは、賃上げに協力した企業への支援の1カ所だけ」だったと述べました。そして、「アベノミクスの評価を避け、新自由主義により広がった格差の問題、コロナ対策は他人事、拉致問題は安倍・菅総理のコピペだった」と批判しました。
大串議員は岸田総理の経済政策に具体性がないのに対し、立憲民主党は分配機能を高める具体的な経済政策を提示していることを解説しました。
官僚出身の大串議員は、岸田総理が持論をトーンダウンしたことについて「役所の文学で丸め込まれてしまっているのではないか。今日の演説では具体的に何をするのか分からなくなってしまった」と語りました。また、「ジェンダーについて触れられたのはたったの2行だった。総裁選で言っていた、衆院選比例選出議員73歳定年は本当に実現できるのか。来週、自民党の公約が発表されるが、今日の所信表明とは違ったものになると思う。いったい誰がこの国の舵取りをしているのか、そこにも注目していただきたい」と語りました。
最後に奥野議員は、所信を振り返って明らかになったのは「安倍支配、古い自民党だ」と語り、「『古い政治の自民党』対『国民のための政治をする立憲民主党』ということで森議員にしっかりと国会で論戦を挑んでいただきたいし、その先には解散・総選挙がある。総選挙で古い政治を打ち破って、われわれの政治を実現していきたい」と決意を語りました。
森議員は、「初当選から20年くらいたつが、この夏ほど無力感、情けなさを感じ、国民の皆さんに申し訳ないと思ったことはなかった。自宅で放置をされても手を差し伸べられないコロナ感染者の方たちを救うことができなかった。これは立法府、行政府の完全な不作為だ」と語りました。そして「これを変えるのは安倍・菅政権の継承者である岸田内閣ではなく、私たち立憲民主党を中心とした野党勢力であるとしっかり訴えていきたい」と強調しました。