農林水産部会長の田名部匡代参院議員らは13日、農林水産省を訪れ、「赤潮による漁業被害対策等に関する要請」を金子原二郎農林水産大臣に申し入れました。申し入れには北海道選出の佐々木隆博衆院議員、徳永エリ政調会長代理が参加しました。
要請は、9月中旬以降、北海道太平沿岸で大規模な赤潮が発生し、サケやマス、ウニ、昆布など水産資源に大きな被害が発生していることを受けてまとめられ、(1)赤潮対策に関する情報の適時・的確かつ積極的な提供(2)水産資源が回復するまでの長期的な支援(3)漁協による独自調査の費用に対する支援(4)水産庁による被害調査・原因究明、被害の最小化に向けた研究・技術開発(5)漁業者所得補償制度や積立ぷらすの強化・充実、および制度の対象外となる漁業者への補償の検討――の5項目が盛り込まれています。
田名部部会長は、大臣に要請書を手交するにあたり、「北海道の問題としてだけではなく、これだけの被害があると、全国で農産物の調達等にも被害が出てくることも考えられるので、先日農水部会でヒアリングをし、地域の要望をまとめて大臣のもとにお届けした」「情報を早く出していただくこと、補償の問題、漁協の独自調査に係る経費の負担を含めた支援、資源が回復するまでどの程度かかるのかを見た上で支援を継続すること等、是非受け止めていただきたい」と発言しました。
申し入れ終了後、田名部部会長らは記者団の取材に応じました。田名部議員は、「北海道の赤潮の被害が大変広い範囲で、大規模な被害が出ており、漁業者の皆さん方から、大きな不安の声が届いていた。現場のご要望も受けて、今日は5点を大臣に要望させていただいた」と報告しました。要請に対して金子大臣は、まずは原因究明をしっかりしなくてはいけないと応じ、すでに水産庁が現場に入って調査をしているとの説明を受けたと話しました。党側から漁業者に安心していただくため、補償がどうなるのかということ早く知らせるべきたと要望したところ、大臣がウニが補償の対象外になっていることを取り上げ、「これは何とか考えていかなければいけない」と発言したと紹介しました。
徳永議員は、えりも町の定置網の組合長から赤潮が発生したと連絡を受け、すぐさま水産庁から状況と対応策を聞き取った経緯を話した上で、「現場の皆さんはなかなかサケも獲れない。所得もどんどん減少している中で、ものすごく先行きに不安を感じておられる。まずは目先の補償をしっかりしていただくこと。これからサケにしても、ウニにしてもどうなるんだろうかと漁業を続けていけるんだろうかという不安があるので、その解消に努めていただきたい」と語りました。また、1次産業が受ける温暖化の影響が非常に大きいと指摘し「農水省、水産庁の予算だけではなくて、環境省の予算もしっかりつけていただいて、省庁横断的にやっていかなければいけない時代に入ってきているのではないか」と提起しました。
佐々木議員は今回の赤潮の発生について課題は大きく2つあるとし、「1つは前例のないところで、こういう被害が発生している。その原因を究明しないといけないが、北海道の研究機関だけではとてもそういう前例のない被害なので(対応できない)、水産庁と力を合わせて原因究明すべき。もう1つは、ウニが積立ぷらすの対象外となっていることに大臣も触れていたので、補償の仕組みを作っていくこと。緊急的な補償に加え、これから先どうするのかも含めて検討する。その2つの論点をこれから詰めていくということになると」と語りました。