枝野幸男代表は23日、地元東京10区の鈴木ようすけ候補の応援に入り、豊島区のJR池袋駅西口で開かれた「 #立憲大作戦2021 in 池袋」に参加。演説会では鈴木候補のほか、元豊島区議会議員の石川大我参院議員、立憲パートナーズらがマイクを握り、「今の政治を変えよう」と呼びかけました。

■鈴木ようすけ候補

 鈴木候補は冒頭、今回野党統一候補として選挙戦に臨むにあたって、時代を変えるため候補擁立を断念した他党の候補やその支援者らに心からの敬意を表明。その思いに応えるべく、小選挙区での勝利に向けて全力を尽くす決意を述べました。

 その上で、「この池袋で今何が起きているのかご存知でしょうか」と切り出した鈴木候補は、長年にわたって池袋の街のシンボル的存在であった西口の丸井百貨店は取り壊しが決まり、東口の東急ハンズは10月の終わりに閉店、駅周辺の飲食店も2、3割減となってポツリポツリとテナント募集の表示があると、池袋の街の現状を説明。「緊急事態宣言が終わって、皆さん自分の力で営業してください。生き残れなかったとしたら、『あなたの飲食店は生産性が低い』『あなたの会社は生産性が低い』。こんなところでしょう。借り入れをしている社長さんたちは、利子がないなか、小さいお店であっても4千万円、5千万円と、生き残るためにほぼ例外なくものすごい金額を借りている。借りた金は返さなくてはいけない。返済期日が来たら、さあどうするんでしょう」と問いかけました。こうした問題意識を持っているのは、自身も売り上げに困る、従業員とその家族を心配している「零細企業のおやじ」だからだと話し、零細企業を救うためには立憲民主党が掲げる時限的な減税や低所得者への現給付などによる消費喚起が必要だと説きました。

 最後に、「薬局の皆さん、スーパーマーケットの皆さん、ファーストフードの皆さん。私は今、こうした大勢の方に囲んでいただいていますが、この(演説)会が終わって3分も経てば皆さんと同じです。売り上げに悩む零細企業のおやじです。あなたは私であり、私はあなたなんです。だから私に託してください。鈴木ようすけにやらせてください。必ず変えてみせます」と力を込め、支援を求めました。

■枝野幸男代表

 枝野代表は、「アベノミクスで株の持っている人などごく一部に偏ってしまったこの豊かさを、社会全体で公平に分かち合おう。そして支え合う日本をつくろう。そうすれば、安心して多様な選択ができて充実した社会、暮らしを、この国は今ならば取り戻すことができる」と主張。雇用の安定に向けて「同一労働同一賃金の法制化」や「派遣法の見直しなどで、原則として希望すれば正規雇用で働ける社会を取り戻す」、暮らしの安心への投資として「国公立大学の授業料を半額まで引き下げ」「給付型奨学金の大幅拡充」、「介護・障がい福祉サービスや、医療、放課後児童クラブ、保育などのベーシックサービスの質・量の充実と、そのための職員の待遇改善」など具体的な政策を訴えました。

 また、「自民党との一騎打ちの構造を作らせていただいた。私たちにも足りない点はたくさんあるが、この2年間の命、暮らし、経済を守り切れなかった、その延長線上の、この間の反省もない、この政治を続けるのかどうか。一握りの人だけを潤わせ、経済を元気にすることもできず、高齢者には不安をたくさんつくり、若い皆さんの希望を奪ってきた、その政治をこれからも続けるのか、それとも命と暮らしを最優先にするコロナ対策、分かち合い、支え合うことで経済を草の根から回していき、先輩世代が残してくれた豊かさをみんなで分かち合って豊かさを実感できる、1億総中流社会を取り戻す。そういう新しい政治へと変えていくのか」と提起。鈴木候補については、「当事者として、いかに中小零細事業者を苦しめてきたかを分かっている、地域の草の根の声を聞きながらがんばってきた。特に4年前くらいまでは自民党一強で、いわゆる権力がほしいなら自民党に行くしかないだろうという時代のなかで、『これではだめなんだ』『暮らしはよくならない』『日本の未来は切り開けない』と、確信と志を持って一強多弱と言われていた、多弱のわれわれの仲間に加わってくれたのが鈴木ようすけくん」と紹介し、「われわれは選択肢を示させていただいた。政治を変える力を持っているのは有権者のあなた。日本の政治を変えるにはあなたの力が必要です」と締めくくりました。

 石川参院議員は、鈴木候補を応援する理由について、「地元だから、だけではない。一人ひとりの弱みに寄り添う活動をずっと続けてきたから。そして、ご本人のありよう、弱さ、そういったところもさらけ出して活動を続けてきたから」だと表明。その上で、「今、目指すべき政治ははっきりしている。約10年間の安倍・菅政権によって何が起こったか。それは、お金持ちがよりお金持ちになる、大企業がより内部留保をためる、あるいは安倍さんとお友達の人たちだけが豊かになっていく。そんな政治はもうやめようではありませんか。人の痛みに寄り添う。多様性を尊重する。夫婦別姓すら実現ができない、そんな社会は皆さんと一緒に変えたい」などと訴えました。

 立憲パートナーズからはまず、「パートナーズ選対東京」で活動する一ノ瀬繁子さんがマイクを握り、「私たちと政党が平等、対等な立場を尊重し合って顔をつき合わせて現場で政治を作っていく。その現場に市民と政治家が共に存在する時代が来ている」と力説。枝野代表と話をするときは、「枝野さん」もしくは「えだのん」と呼んでいると明かし、「私はもっともっと政治と主権者である国民の垣根を取っていきたい」と述べました。

 「立憲民主党は首を傾けたくなることもやらかす。がっかりさせられることもなくはない。でも立憲民主党の理念みたいなものを信じている。『ボトムアップで政治をつくろう』『町場で政治を語ろう』と私たち国民に広く呼びかけて、『どういう社会が望ましいのか一緒に考えていこう』と語りかけている。それがパートナーズ制度で、私は発足後すぐに登録して、どんなことができるのか模索してきた。市民の側からどんどんボトムアップで政策提案していく。他の政党でこんな風に国民に対して幅広く声をかけている政党があるでしょうか」と問いかけ、「私は、自分のために政治活動をおこなっている。人権が蔑ろにされることのない、受けたい教育を誰もが受けられる、持続可能なエネルギーへの転換をする。私たちと一緒に立憲民主党がそういう社会を作っていけると思っている。自分がどういう社会を望むのか、どういう社会で生きていきたいと思うのかを、今一度思い出して投票に臨みたい」と表明。「立憲民主党の政治家の皆さんには、これまでも、これからも私たちを見て政治をしてください」と訴えかけました。

 次に登壇したのは、党のウエブサイトに開設している新型コロナウイルス感染症に関する相談を手伝ってもらっている弁護士の加藤慶二さん。50歳代のシングルファザーからの「お金がない。中学生になる子どもの制服代が出せない。子どもたちを救ってください」、40歳代の女性からの「生理用品を購入でいない。食事は2日に1回。餓死するしかない」等々、党には多くの切実な声が寄せられていると紹介。新型コロナウイルス感染症によって政府の在りようや、政治の在りようが自分たちの生活と密接に結びついているとあらためて気づいたとして、そうであるなら自分には何ができるか、そう問いかけたどり着いた答えは「投票に行くこと」だったと話しました。「政治に近づかないと自分たちの身を守れない。投票に行ってもがらっとは変わらないが、私たちの未来が、日常が理想の形になるように(投票することで)1センチでも1ミリでも近づくと確信している。政治の主役は私たちだから、社会の主役は私たちだから。それを示すために今度の衆院選挙投票に行く。共感してもらえるなら一緒に選挙に行こう」と呼びかけました。

 街頭演説の司会は、川瀬さなえ豊島区議が務めました。