立憲民主党は30日午後、新代表を選出するための臨時党大会を都内のホテルで開催し、代表選挙の結果、泉健太新代表が選出されました。司会進行は代表選挙管理委員の宮沢由佳参院議員が務めました。

司会を務める宮沢由佳参院議員

 代表選挙管理委員長の難波奬二参院議員は代表選挙の趣旨と実施内容について報告。各有権者数について、国会議員有権者は140名、国政選挙の公認候補予定者有権者は6名、地方自治体議員有権者は1,265名、党員・協力党員有権者は10万267名。地方自治体議員、党員・協力党員の投票方法について、郵便投票に加え、インターネット投票をおこなえるようにしたと説明しました。

代表選挙管理委員長の難波奨二参院議員

 衆参両院の国会議員による直接投票に先立ち、逢坂誠二、小川淳也、泉健太、西村ちなみ(届け出順)の4候補がそれぞれ決意表明をおこない、支持を訴えました。

■逢坂誠二候補(北海道8区選出の当選5回。元総理大臣補佐官)

 「午前4時に起床して、日記を書き、ネットに配信する」日課を、町長になった1997年から開始し、今日で6,909回目を迎えたと述べ、「ぶれずに継続することが基本だ」とアピール。両親が経営する食料品店では、小学3年生から午前4時のヤクルト配達や集金を日課とし、「高校まで続いた生活が原点であり、軸となっている。厳しい環境の中で私を育てた両親に感謝している」「研究者になる夢があったが、大学4年の時に父が病に倒れ、生まれ故郷の町役場に就職した」と語りました。

 35歳で全国最年少の町長に就任した直後、「町役場の職員の研修予算を10倍にした。人への投資がふるさとの発展の基礎となっていると確信している」と強調しました。

 日本の国際競争力の低下について危機感を示し、「産業政策や福祉政策などあらゆる政策を総動員して、一人ひとりの国民が潤うよう、人を大切にする方向へと政策を転換し、私たちの社会や暮らしを立て直さなければいけない。後世の皆さんに遺産を残すことのできる、持続可能な取り組みを開始しなければならない。そのための出発点は人への投資、教育、さらに文化芸術の振興だ」と主張し、「人への投資を党の旗印として掲げ、力強く進んでいく」と意気込みを語りました。

 大きな目標として、「立憲民主党の土台を強くして、安定感があり、国民の皆さまに信頼される党になること」と述べ、惜敗者への確実な配慮、来年の参院選の候補者への支援、自治体議員、党員、サポーターとのより深い連携に取り組む考えを示しました。

 「立憲民主党は人材の宝庫だ。私は一人ひとりを大切にしながら、それぞれの個性をまとめる力を発揮して、党の改革の先頭に立っていく。教育、文化、芸術など人の投資に力に入れる。国民のみなさまに信頼される安定感のある、立憲民主党となること。これを一丸となって、進めていこうではないか」と訴えました。

逢坂誠二候補

■小川淳也候補(香川1区選出の当選6回。国会対策副委員長)

 「昭和46年、高松のパーマ屋で庶民の家庭で生まれ育ち、将来は中央官庁で世のため人のために働こう、しかしそこで見た現実を踏まえ、正すべきは政治ではないかと思った」とこれまでを振り返りました。

 「この野党第一党、立憲民主党を政権の受け皿として、諸先輩がたが大切にされてきた結党の理念、そして目指すべき方向性、これを極めて大切にしながら、しかし国民にとって政権の受け皿たるものに何としても成長し、脱皮をさせていかなければならない」と決意を表明しました。

 この10年間の自公政権について、「国家主義や権威主義が尊ばれ、国民の自由や人権、そして公平公正な社会はないがしろにされてきた」と断じ、政府のコロナ対策について、「国民に寄り添う言葉と政策を持ち得なかった」と痛烈に批判しました。

 そのうえで、「私たちは、公平公正な社会を志向しなければならない」「国民と、悩みや不安を、そして願いや希望を共有できる政治を何としても作り直していかなければならない」と強調しました。

 18年前に政界に転向した当時、反対していた両親から、初心を忘れないよう助言されたと紹介。先の総選挙で、保守王国香川で強固な基盤を持つ対立候補に小選挙区で勝利した後に、長女が「社会に出たら、正直者は馬鹿を見る。幼い頃からずっとそう思って育ちました。しかし今日その思いはいつか届くんだと。信じさせてもらうことができました」と支援者にあいさつしたと明かしました。

 そのうえで、「正直者が馬鹿を見る。とあきらめかけている国民がこの世の中にはたくさんいるんじゃないでしょうか。私は違うと訴えたい。人には善意があり、人間には思いやる気持ちがあり、社会はぬくもりと支え合いに満ちたものだ。私達は全身でそれを体現していかなければならない。その先頭に、私を立たせていただきたい」と訴えました。

小川淳也候補

■泉健太候補(京都3区選出の当選8回。政務調査会長)

 立憲民主党が、オミクロン株の対策について政府に規制強化を申し入れ、政府の18歳以下の10万円給付について「現金給付とクーポン給付に分けたことで、なんと900億円も行政経費が余分にかかる」と指摘したと言及。「立憲民主党はまさにこういった行政監視を国会が閉会中の今も続けているということを、全国民の皆さまにもしっかりお伝えさせていただきたい」と強調しました。さらに、生活困窮者への10万円給付の問題について、「政府は、住民税非課税世帯のみを政府は想定をしている。われわれ立憲民主党は、これではいけない、そういう姿勢ではないでしょうか。ぜひ、ワーキングプア層にもしっかりと届く給付、これを政府に訴えてまいりたい」と訴えました。

 その上で、「私たちは、国民に常に寄り添い、困っている方の話を聞き、それを政策に変え、政府をただしていく。この立憲民主党の姿勢こそ、私は、みんなで一丸となって、全国民の皆さまに訴えていくことだと思っている」と決意を表明しました。

 「立憲民主党の立憲主義、平和、多様性の尊重、こういったものをしっかりと広げていきたい」「経済や外交、安全保障、また、気候危機、教育社会保障など重要課題においては、シンクタンクを含めて、内外の皆さまの知見を集め、この中長期ビジョンをしっかり作っていきたい」「個別の政策でいえば、環境投資の拡大、そして、防災インフラの整備、さらには教育の無償化。こういった個別の政策で、国民の未来を明るくし、そして将来に安心を作っていくわれわれ立憲民主党として、ぜひ取り組んでまいりたい」と主張しました。

 党改革について、「執行部の半数を女性に」「ジェンダー平等を実現していきたい」「全国の地域組織、青年組織をしっかり財政支援をおこない、自主的、自発的な活動をやっていただきたい」「年内には衆院総選挙の惜敗者の1次公認、そして参院(選挙)の総合選対本部の設置」「参院の公約はボトムアップで立案をしていく。そして他の政党や支援団体とも、良好な関係をしっかりと作り、その連携に努めてまいりたい」「私をその先頭に立たせていただきたい」と意気込みを語りました。

泉健太候補

■西村ちなみ候補(新潟1区選出の当選6回。元厚生労働副大臣)

 米農家で生まれ育ち、県会議員、学生時代から国際協力のNGOの活動を通して、「 地方の思い、草の根の声。女性の思い、そして国際的な視点、これを基本に活動を行ってきた」「今日5歳の誕生日を迎えた息子から『母ちゃん、絶対1位になってね』言われた」と自己紹介。

 「今ここにある理不尽を許さない。そして、多様性を力にする。この思いで立候補した」「コロナで十分な医療を受けることができずに亡くなった方、長時間労働による自殺、過労死。相次ぐ児童虐待。地元新潟から拉致されたままの横田めぐみさん。日本を愛し、訪れたウイシュマさんのありえない死、森友問題で改ざんを強いられた官僚の自死。こうした理不尽の解決に全力をつくす」 と決意表明。

 他の候補との考えの違いについて、「私はどう見られるか、どう支持されるかよりも、批判や誤解を受けても、今やるべきことをやり、国民の命と暮らしを守ることが必要だと考えている。そのことが支持の拡大に繋がる」と強調しました。

 また、民主党政権で、岡田外務大臣が、日米核密約の公開に取り組んだ際、政務官として務めていたと述べ、(1)エネルギーの安定供給と雇用を守りながら、原発ゼロ社会を実現する(2)日米安全保障体制を揺るがせず、米国との交渉により、辺野古沖新基地移設建設中止を実現していく――と主張しました。

 党運営について、「参院選挙の勝利に全力をつくす」「十分ではなかったボトムアップの党運営を再起動する」「幹部への女性、若手また、地味でも、地道に頑張る方を積極的に登用する」「自治体議員、党員などの党運営への参画をさらに進める」と意気込みを語りました。

 衆院選挙で連携した野党各党との国会内、選挙での協力は維持し、岸田政権と明確に対峙、維新との連携には慎重な姿勢を示しました。

 「私は決断力と優しさを兼ね備え、着実に成果を出していく」と述べ、ドイツのメルケル前首相、ニュージーランドのアーダーン首相、台湾の蔡英文総統のようなリーダーになります。そして、日本の初の女性総理を目指します」と意気込みを語りました。

西村ちなみ候補