【談話】与党2022(令和4)年度税制改正大綱の決定にあたって

立憲民主党 政務調査会長
小川淳也

 与党は10日、2022(令和4)年度税制改正大綱を決定・公表しました。

 大綱の中の、新型コロナウイルス感染症対応に万全を期しつつ、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」を目指すという基本的な考え方は共有できるものです。とりわけ賃上げに資する税制の強化は、私たちも求めてきたものであり、今回大綱に具体的な施策が盛り込まれたことは歓迎します。

 一方で、不十分な内容も目立ちます。まず賃上げ税制の強化について、大綱では賞与や残業手当を含む「給与等支給額」の増加を要件としていますが、安定的な可処分所得の増大とそれによる消費の活性化を図るためには、基本給の引き上げに資するものに限るべきです。
 また、当初岸田総理が主張されていた金融所得課税の強化については、前向きな議論が進むことを期待していましたが、大綱では「課税のあり方について検討する必要がある」とされただけで、具体策には全く言及がありませんでした。
 私たちは、金融所得課税について、将来的な総合課税化を見据え、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入すること、同時に資産形成を支援するためNISA(少額投資非課税制度)を拡充すること等、具体的な提案をしており、与党内で議論が進展しなかったことは極めて残念です。

 また、私たちは、コロナ禍で困難な状況にある個人・事業者への支援として、消費税の時限的減税、揮発油税のトリガー条項の凍結一時停止、納税猶予の期間延長、インボイス制度の導入延期を訴えてきました。加えて、暮らしの安心を支えるための税制として、貸与型奨学金の返還額を所得控除の対象とすること、専業主婦(主夫)世帯や共働き世帯など多様な家族のあり方に配慮した形で配偶者控除を見直すことなどを求めています。しかし、これらはいずれも大綱に盛り込まれていないか、検討するとされているだけで具体策が示されていません。

 立憲民主党は、こうしたコロナ禍の国民生活を支える公平・公正な税制の実現に向けて、国会での来年度税制改正の議論に臨むとともに、これまでの党内議論を深化させ、税制の所得再分配機能・財源調達機能を強化する抜本的な税制改革に向けた構想の取りまとめを進めてまいります。
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