衆院予算委員会で14日、2021(令和3)年度補正予算の基本的質疑が行われ、立憲民主党の4番手として落合貴之議員が質疑に立ちました。落合議員は、(1)新しい資本主義と株主資本主義(2)フリーランスの保護(3)ワクチンの3度目の接種――等を取り上げ、岸田総理ら閣僚の見解をただしました。

 落合議員は、岸田総理が看板政策として掲げる「新しい資本主義」について、賛同することが多いと述べ、立憲民主党が6月に発表した経済政策の中間とりまとめでは、「株主資本主義から脱却して公益資本主義的な考え方を導入し、従業員、消費者、取引先、地域社会など多様なステークホルダーへの利益の公正な配分を実現しようと掲げている」と紹介。その上で、岸田総理が10月の所信表明演説で株主主資本主義からの脱却の象徴的な施策として言及した、「上場企業の四半期決算の開示の義務化」の見直しについて、11月の演説ではなかったとして、これを取り下げてしまったのか、特に、企業の四半期決算の開示の義務化」をやめるのかどうかと迫りました。

 これに対し岸田総理は「企業が長期的な視点に基づきものごとを考えてもらうために意味ある課題だと認識している」と述べる一方、関係者から賛否さまざまな意見があるとして金融審議会で検討をしてもらっている状況だと答弁。落合議員は「安倍政権でも『経済の好循環が道半ばだ』と言い続け、史上最大の企業収益が上がっても賃金が上がらず、最も景気のエンジンになる個人消費は下がってしまっている」と述べました。

落合貴之議員配布資料(2021年12月14日).pdf

 落合議員は「会計上の企業の収益を上げるために産業競争力が犠牲にされてきた。(総理の所信表明演説にある)5Gをリードできる段階ではない。世界から遅れている」などと指摘し、国際的にも短期主義が見直されているなか、競争力を上げるためにも、賃金を上げるためにも早急に企業の四半期決算の義務化を見直すよう訴えました。

 加えて、小泉政権下で解禁された株主の自社株買いについても、世界の潮流から時代遅れのことをやっているとして、少なくとも見直しの議論を始めるよう主張しました。

 2004年に製造業務における労働派遣が解禁となったことから非正規雇用が増え、最低賃金を上げにくい構造ができ上がったとして、抜本的な対策が必要だと指摘。立憲民主党は、正規雇用化を進める観点から、新たな雇用を社会保険料の負担を補助する議員立法を提出したと述べました。

 さらに、契約上、個人事業主と位置付けられ、最低賃金や労災補償など一般的な労働者向けの社会保険が適用されない、フリーランスで働く人が急増していることも問題視。EUでは(インターネット経由で単発の仕事を請け負う)ギグワーカー保護法が創られたことにも触れ、日本でもこうしたフリーランスで働く人たちに対するセーフティネットを早急に整備するよう求めました。

 新型コロナウイルスワクチンの3回目接種をめぐっては、「ワクチンの供給に地域差をつけるのか」「自治体に今ある在庫を活用することはできるのか」「希望者は全員接種できる量を確保できているのか」と質問。
 堀内ワクチン担当大臣は、供給については「2回目接種完了から概ね8カ月の人数に応じて各自治体にお配りしていく」。自治体の在庫の活用については「3回目、あるいは1、2回目を打っていない方に使ってもいい」。ワクチンの総量については、「3回目の追加接種で用いるファイザー社、モデルナ社の2社合わせて2020年に1億7千万回の供給を受ける契約を締結済みであり、総量として必要なワクチンは確保できる見込み」などと答えました。

 落合議員は、政府からの情報が国民にしっかり伝わっておらず、各基礎自治体ではクーポンの配布等も含めて不安や混乱が生じていると指摘し、ワクチン担当大臣には引き続きの丁寧な説明を求めました。