衆院予算委員会で15日、今年度の補正予算案の締めくくり質疑が行われ、衆院会派「立憲民主党・無所属」の2番手として城井崇・政務調査会長代行が質問に立ち、(1)新型コロナの自宅療養で亡くなった方の遺族会の皆さんとの面会・聞き取り(2)困窮学生への対応(3)オミクロン株への水際対策(4)経済活動再開基準の明確化(5)賃上げ税制――等について質問しました。
■新型コロナの自宅療養で亡くなった方の遺族会の皆さんとの面会・聞き取り
13日に長妻昭議員が「新型コロナウイルス自宅放置死遺族会の皆さんのお話を直接総理に聞いてほしい」との訴えに関連して、「直接話を聞くとお答えいただけるか」「自宅療養で亡くなった方々の検証委員会を政府で設けていただけるか」と岸田総理にただしました。総理は「指摘を受けて、厚労省に対してサンプルでの検証を含めて、どのような対応が可能か整理するように指示をした」と答えました。
■困窮学生への対応
厳しい状況にある学生等への支援について、立憲民主党は「学費の半額免除」「アルバイト減収学生への一時金支給」を実現する議員立法をすでに提案しています。
学生等の学びを継続するための緊急給付金(675億円)について、「政府の緊急給付金では67万人が対象だが、困窮する世帯の自宅生も必要に応じて支援対象とすべきではないか」と質問し、末松文部科学大臣は「自宅・自宅外生を問わず支援する」旨、答弁しました。
続いて、2021年4月から8月に大学等を中途退学した者のうち経済的困窮が理由の人は20.7%(文科省)に上ると説明。「こうした苦しむ学生に寄りそう給付型奨学金、授業料免除の拡充をすべきではないか」「支えが届いていない学生に届く仕組みをつくっていただきたい」と総理に強く迫りました。総理は、施策からこぼれる学生がいるという現実を受け止め取り組んでいく考えを示しました。
■オミクロン株への水際対策
外国人の新規入国を原則停止とした政府の水際対策について、一定の理解を示した上で、「海外に在留する邦人保護の観点が不十分だったのではないか」と斉藤国土交通大臣に指摘しましたが、明確な回答は得られませんでした。
意思決定の混乱について、城井議員は「今後、今回の事案の反省を踏まえ、政策判断を行う際の政府内における意思疎通や判断ルートの見直し、航空会社との連携も含めたシミュレーションを行うべきだ」と岸田総理に強く要請しました。
■経済活動再開基準の明確化
苦境の続く観光関連産業から10回目の緊急要請を受け、「科学的根拠に基づくガイドラインの策定を行い、条件や基準を明確にした上で、国民が安心して移動できる環境整備を求める声が届いている」と説明し、総理に「現場の声に答えていただきたい」と迫りました。総理は「国民の皆さんに安心・安全を感じていただく取り組みをしていく」と答弁しました。
■賃上げ税制
立憲民主党は「中小企業への支援を前提にした最低賃金の引き上げ」を提案し、社会保険料負担軽減という具体策を示しています。
政府の賃上げ税制について、「継続雇用者の一人当たり給与の増加が要件となっており、非正規も含めて全雇用者の給与総額の増加を対象としているが、脱法的に使われる可能性がある」と懸念を示し、想定される4つのケース、(当該年度に)(1)一部社員だけ給料を挙げて給与総額を引き上げる(2)退職金を前払い退職金に置き換える、(次年度以降に)(3)外部発注を非正規雇用などで内製化する(4)毎年小さな会社を経営統合して給与総額を増やす――に賃上げ税制が適用されるか、鈴木財務大臣にただしたところ、ほぼ4ケースとも適用されることが判明しました。
城井政調会長代行は「本来一人ひとりの給与を上げたい仕組みのはずが、その趣旨が届かない。一人ひとりの処遇改善とは違う観点で使われてしまう。4つの抜け道を使わせないことが必要だ。どのように対応されるか」と総理に迫りました。総理は重要な指摘として受け止めると言及しつつも、「社会全体で一人ひとりの賃上げが実現するために、さまざまな仕掛けをつくり、賃金を引き上げるという機運をつくることが大切だ」と具体策は示しませんでした。