参院予算委員会で16日、2021年度補正予算案の総括質疑が行われ、「立憲民主党・社民」会派の一番手として白眞勲議員が登壇。(1)財務省公文書改ざん自殺訴訟(2)国交省基幹統計書の書き換え(3)北京オリンピックへの閣僚参加の是非(4)日韓関係の現状認識(5)持続可能な鉄道経営(6 )子育て世帯への5万円相当のクーポン給付(7)日本協力者のアフガンからの退避――等について岸田文雄総理大臣らに質問しました。

■財務省公文書改ざん自殺訴訟

 自死した赤木俊夫近畿財務局職員の夫人から損害賠償を求められていた裁判が終結したことについて、赤木夫人が「これで真相が分からなくなってしまった」とコメントしたことを踏まえて、白議員は総理に「全面的に非を認めたならば、真相究明に徹底的に答えるのが筋だ」と強く求めました。

■国交省基幹統計の書き換え

 国の基幹統計「建設工事受注動態統計調査」を巡って、国土交通省が建設業者から提出された原票を無断で書き換えた問題で、白議員は「法律違反ではないか」と追及。答弁に立った岸田総理は「あってはならない」と表明した上で「国交大臣の下に元検事らを入れた第三者委員会を設置し、1カ月以内に検証結果を報告するよう指示した」と答弁。これに対して白議員は、国交大臣の下では検証が甘くなるとし、「独立した第三者委員会にすべき」と提案しました。なお、第三者による検証は昨日の衆議院予算委員会で立憲民主党の階議員が求めていました。

■北京オリンピックへの閣僚参加の是非

 北京オリンピックの閣僚参加の是非について、岸田総理に「行きたい気持ちがあるか」と尋ねると「今のところ、私自身が参加することは予定していない」と答弁。総理が拉致被害者の一日も早い帰国に向けて、「あらゆるチャンスを逃すことなく」「条件を付けずに直接向き合う」と表明していることから、相手側の北朝鮮の金正恩委員長が北京オリンピックに参加することが明らかになった場合、「(直接向き合う)良いチャンスではないか」と迫りました。総理は「仮定の話に答えることは控えたい」と述べるにとどめました。

■日韓関係の現状認識

 歴史認識などさまざまな問題が浮上している日韓関係の現状について岸田総理の認識をただしました。総理は、「韓国は重要な隣国であり、特に東アジアにおける緊迫した安全保障環境を考えた時、日米韓の協力は大変重要である。重要な隣国として経済等さまざまな市民レベルでの関係も深い。こうした国であると認識している」との考えを表明しました。

■持続可能な鉄道経営

 国鉄が分割民営化されて35年以上経過した現段階において、政府がJR北海道をはじめ鉄道をどう認識しているかただしました。防衛大臣は青函トンネルを利用している自衛隊にとって「鉄道の機能は有用」、防災担当大臣は災害時の支援物資輸送などを担い「極めて重要」、環境大臣は二酸化炭素排出量の観点から「自家用自動車に比べて非常に小さい」と強調、国交大臣は「(欧州で)脱炭素化を進める上で、鉄道の利用拡大が重要と位置付けている」と紹介しました。

 鉄道に関する閣僚の答弁を踏まえて白議員は、国が線路(インフラ)を維持し鉄道会社が列車の運行を担う「上下分離方式」など、持続可能な鉄道経営のあり方について根本的に議論すべきではないかと提案しました。岸田総理は、「鉄道は、経済、市民生活、防災、環境、さらには健康、さまざまな分野で大きな役割を果たす存在。一方で地方での人口減少、少子化、さまざまな制約の中で厳しい状況にある」と言及し、「さまざまな知恵を絞って両立を図るべく、政府としてもしっかり考えていく。これは大変重要な取り組みだと認識している」と述べ、どういった議論ができるか、工夫をしてみたいと答弁しました。