参院予算委員会で16日、令和3(2021)年度の補正予算の基本的質疑が行われ、「立憲民主・社民」会派の4人目として有田議員が質問に立ち、日本の外交・安全保障政策と課題──特に辺野古新基地建設問題と拉致問題──を中心に取り上げ、岸田総理らの見解をただしました。

 有田議員は冒頭、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策について、米軍海兵隊員の20代男性が10月30日、入国時に成田空港のPCR検査で新型コロナウイルスの陽性と確認されながら翌31日に民間機で沖縄入りしていた問題に言及。民間機での移動の際には周りに多く乗客がいて、濃厚接触者は27人で、自身の調べではそのうち7人の行方が分からないままであることから説明を求めました。これに対し外務省の担当者は、「米軍側で本事案の詳細を調査の上、(米統一軍法典の処罰対象となるため)しかるべき処分を行っている」「米軍との関係があり、詳細については答弁を控える」と繰り返し発言。有田議員は、米軍の軍紀違反の問題であると同時に日本人の健康と命に係わる問題だと述べ、事実関係をいずれは明らかにしてほしいと要請。岸田総理は「ご指摘の通り国民の命や健康にも関わる問題。何ができるのか、外務大臣とも検討したい」と応じました。

 有田議員はまた、水際対策の強化措置により、外国人の入国を禁止する一方で、日米地位協定9条第2項で米軍の構成員は国内法の適用が除外され、検疫も免除となっていることを問題視。沖縄の基地でクラスターが発生した際も、海外で感染したのか、あるいは沖縄の街を歩いていて感染したのかが分からなかったと述べ、水際対策の重要性をあらためて指摘しました。日米地位協定をめぐっては、2018年7月には全国知事会が地位協定の抜本的見直しを日本政府に提案したことにも触れ、「日米地位協定の問題は、事件、事故が起きるたびに度々問題になること。与党野党超えて抜本的に考えていかなければならない歴史的課題だ」と提起しました。

 日米首脳会談については、今後バイデン米大統領と会談をするときには、今年4月16日、菅前総理との首脳会談後に発表された日米首脳共同声明が基本となることを岸田総理に確認。また、米国防総省が11月29日に発表した、地球規模の米軍態勢を見直す「グローバル・ポスチャー・レビュー」(GPR)で米領グアムとオーストラリアで軍基地の増強に注力する方針を明らかにしたことなどを受け、在日米軍基地、あるいは沖縄の基地に変化はあると考えるか、岸防衛大臣に見解を尋ねました。
 岸防衛大臣は「在日米軍再編を含めて、在日米軍の体制に関する記述はない。また、影響がない旨の米側からの説明を受けている」「普天間飛行場の代替施設建設については、日米同盟の抑止力の維持、普天間飛行場の危険性の除去を考えあわせたときに辺野古への移設が唯一の解決策であり、米国ともこのことを確認している」などと答えました。

 有田議員は、新基地建設に使う埋め立て土砂を沖縄本島南部から採取する計画に対し、南部の土砂には沖縄戦犠牲者の遺骨を含んでいることから、全国からも反対する声が上がっていると指摘。「少なくとも南部の土砂は使わないと約束してほしい」と岸田総理に迫りましたが、岸田総理は「さまざまな関係者の声は聞くが、沖縄防衛局で審査請求の手続き中のため私の立場からコメントは控える。重要性は認識している」などと述べるにとどまりました。

 有田議員は、辺野古移設を唯一の解決策とあくまで主張する政府に対し、「その時々の合理的な判断であっても、結果的に間違うことがあるというのが戦争に負けた日本の歴史的な教訓ではないか。立ち止まるときは立ち止まり、ちょっと合理的でなくなったということがあれば、そこから考えるべきだ」と訴えました。

 有田議員は、大浦湾側の埋め立て予定海域で見つかった軟弱地盤に関しては、辺野古沿岸部の埋め立てが始まる3年前の2015年の段階で、地質調査した業者から軟弱地盤があると防衛省沖縄防衛局が報告を受けていたことが明らかになったことに触れ、「辺野古技術検討会」で認められたことを理由に安全性に問題はないと強弁する政府に対し、都合の悪い鑑定書を「辺野古技術検討会」にすら提出しなかったのではないかと指摘。業者の調査によると、軟弱層は海面下70メートルに及ぶことから、日本にはそうした技術もないなか、どうやって工事をするのかと疑問を呈しました。海面下90メートルまで軟弱地盤が続くことが判明したB27地点に関しても、これまで地盤調査などが実施されていないことから、「自信があるのであれば、堂々とボーリング調査をやって、基地を作れる、安全だという証拠を出せばいい」と求めました。

 加えて、埋め立て設計変更の不承認は知事の裁量だと指摘。「辺野古の基地の建設はほとんど不可能に近いところまで来ている」と述べました。

 拉致問題に関しては、2002年の日朝首脳会談から19年が経つ今年9月12日に掲載された、新潟日報での横田早紀恵さんのインタビュー記事を紹介。「事態が動かないのは、そもそも動かそうとしていないのではないか」「最重要課題と掲げてくださったのであれば、なりふり構わず動くことはできないのでしょうか。何が何でもという姿勢を見たいのです」といった言葉を受け止め、政治家として本気の行動をやっていこうと呼びかけました。

 また、生存しているという情報を得ている2人の認定拉致被害者について、情報をしっかり確認して帰国に向けて動いてほしいと要請。松野官房長官は「拉致被害者としての認定の有無に関わらず、全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現すべく、全力を尽くしているが、それに至る道筋プロセスについて言及することについては差し控える」と答えました。