立憲民主党ジェンダー平等推進本部(本部長:徳永エリ参院議員)は21日、デジタル庁に「『新型コロナワクチン接種証明書アプリ』問題に関するジェンダー平等の視点からの申し入れ」を行いました。要請には、徳永本部長のほか、本部長代行の岡本あき子衆院議員、事務局長の桜井周衆院議員が参加しました。

 今回の要請は、20日から開始された新型コロナワクチン接種証明書アプリがマイナンバーカードやパスポートに旧姓等の併記がある場合はアプリでは発行できないことが明らかになり、速やかなる改善措置とデジタル庁職員の研修等も含めた再発防止策を求めるものです。要請内容は以下の通りです。

20211221 ワクチン接種証明書アプリに関する申し入れ.pdf

 申し入れ終了後に、岡本議員と桜井議員が国会内で記者団からの取材に応じました。内容は以下の通りです。

岡本議員 新型コロナワクチンの接種証明書アプリについて昨日から配信がスタートしたのですが、私の元にも旧姓使用の方がアプリを証明書を発行できなかったと(話があった)。私自身も自分でやってみましたが残念ながらできませんでした。あと、在日外国人の方で苗字がパスポートと異なる方も発行ができないということが明らかになりました。先ほどデジタル庁に申し入れをさせていただき、小林副大臣に最初から人権やジェンダーに配慮した形での発信をスタートしてほしかったとお伝えさせていただきました。デジタル庁からは、「一応想定はしていた」という話で、1月中には改修をするという話はされました。今後もマイノリティーには配慮していきたいし、障がい者も含めてさまざまなマイノリティーに配慮するデジタル庁でありたいというお話はございました。そうであれば、なおさらスタートの時点でそういう人権やジェンダーやマイノリティに配慮するスタートを前提とするべきだったのではないかということを重ねて申し上げさせていただきました。

Q.想定していたという問題があることは、デジタル庁はいつ頃気づいていたのか
岡本議員 昨日もデジタル庁とやり取りはさせていただいたのですが、開発の段階からそこは分かっていたかのような言い方はされていました。個人的には当時の仕様がどうなったのかとか、本来はさかのぼって必要があれば調べなければと思っていますが、お答えにはなっていないです。

Q.スタート地点で不十分なものと知りながら始めた事についての説明は、どのようなものだったか
桜井議員 わが方からすると何か言い訳がましく聞こえましたが、年末年始、人が移動すると、いろいろな規制ですとか海外旅行であるとか、そういったものに間に合わせるために急いだということをおっしゃっておりました。ただそうすると、今回使えないという方についてはどうでもいいのかという話になってしまいますけれども、「その点については反省」ということはおっしゃっておりました。それとそういった方については、「紙の証明書ではできます」という対応をお願いしたいという言い方をされております。ただデジタル庁ですから、推進していくんだ、特に今、岡本本部長代行からも申し上げた通り、マイノリティーの方々も、もれなく津々浦々できる、そういう可能性があるというのがデジタルの優位性だと思ってますから。それが十分発揮できないものになってしまったら、大変残念だと思っています。

岡本議員 個人の感想ですが、影響が少ない、対象者が少ない、だからスピードを急いだがために、次の段階で良しとしたとおっしゃったので、逆にマイノリティーだから後でいいという発想はいかがかと思い、そのところを指摘させていただきました。

Q. 後回しにする対応に対して副大臣の答えは
岡本議員 要は「スピードを取った」という言い方でしたが、これだけの批判を浴びるとは想定をされていなかったのではないかと。正直昨日からの一連の動きを見てると本当に知っていたのかどうかというところもあります。昨日の午前中の段階のQ&Aは知っていましたが、「旧姓使用の方は発行できません」というものでした。私たちもコロナ本部でも指摘をさせていただいたし、ネットでも反応があったので、「近日中に改修予定」という内容に突然変わったのです。最初から「次の段階で改修予定」であれば、本来Q&A自体が次の段階で改修する予定とあってもおかしくないと思うのですが、急遽、昨日Q&Aが変わりましたので。
 また更に「市町村のウェブで手続きを取ってください」となっていたので、市町村のウェブに行くと、「電子でほしければこのアプリに行ってください」とたらい回しになるんですね。それも昨日指摘をしたら、またQ&Aが変わり、「自治体で紙では受け取れるので実際に手続きを取ってください」と。そのため、本当に想定をして、次の段階でしっかり改修しようと計画されていたか、ちょっと疑問を感じました。昨日の今日で対応のアクションがあるということは評価をしますが、やはりそもそものところで、ジェンダー、マイノリティー、人権、これからデジタル対応を考える時にはスタートの時点で、より一層配慮していただきたいと思っています。

Q. 実際にマイナンバーカードを発行していて旧姓併記の人は、どれくらい存在するのか
岡本議員 マイナンバーカードを持っている人しか逆にアプリで取れないんですね。住民票上、旧姓を書いてる方とその中でさらにマイナンバーカードを持ってる人と調べなければいけない。私もそれを把握していないです。調べればわかりはすると思います。ただ、やりとりですごい矛盾だと思ったのが、仕事をしてる人は忙しいから、要は「役所まで行かなくてもいいんです、このアプリは」という説明だったので、特に仕事とか社会的活動をしてる方こそ、旧姓使用していたり、男性も女性もありうると思うので、なおさら矛盾を感じるようなやりとりでした。
桜井議員 私も説明でよく分からなかったのは、石倉(洋子)デジタル監は使えたと。
岡本議員 旧姓併記はパターンがいくつかあるんです、括弧書きだから。「その他」の欄に書いていたっていうことが、石倉さんは使えるという話だったそうです。ただ仕事上旧姓使用してらっしゃるのは事実なので、もしかしたらカード自体は、通称をその名前のところに載せるのではなくて、別のところに記載するやり方もあるので、併記ではなくて括弧書きと言ってますよねというやり取りでした。まだちょっとここは少し確認が必要かなと思っております。