泉健太代表は21日、定例の記者会見を国会内で開催。参院選挙政策づくりも見据え、党内に「持続可能な社会ビジョン創造委員会」を発足させ、議論を深めていく考えを表明しました。
泉代表は冒頭、岸田総理の施政方針演説に対する代表質問を振り返り、「総理に数々の質問をしたが、せっかく事前に質問原稿があって答弁を書けるわけであり、かみ合う議論、かみ合う答弁になるようにしていただきたい。予算委員会では、1回答えればOKという話でないので、きちんとお答えをいただけるように、かみ合う論戦をお願いしたい」と求めました。
代表質問でもふれた、昨年9月以降に離婚した場合など、18歳以下への10万円給付を養育している保護者が受け取れていない問題をめぐっては、対象者は推計約4万人、総額最大で約40億円であることから、「政府として、クーポン券のときに900億円以上の事務費がかかると言われていたものが、われわれの追及、指摘によって必要なくなった。そういうお金を代わりに使っていくことも十分可能。40億円という金額は政府が考えていく上では決して多い額ではない」と指摘。20日の水岡俊一参院議員会長の代表質問に対する答弁では、「自治体に対し現在の養育者への給付金の給付を検討するようお願いする」とわずかに踏み込んだ印象があったとして、「期待をしているところだが、昨夜の段階では各部局に確認をしたが、まだ新たな通知を出したという話にはなっていないということ。こうしたことを引き続き詰めていきたい」と述べました。
来週から始まる予算委員会では、自身がトップバッターとして質問に立つと述べ、「オミクロン株を中心に新型コロナウイルス感染症への対応」「岸田総理が掲げる『新しい資本主義』の具体策」「安全保障政策」――の3項目を中心に取り上げていくと表明。「新しい資本主義」については、「われわれはさまざまな政策を用意している。その対比をしていきたい」と力を込めました。
同日夜に予定されている日米テレビ首脳会談については、「オミクロン株の拡大、北朝鮮のミサイル実験、一触即発のウクライナ問題などがあり、非常に重要だと思っている。代表質問で総理は拉致問題についても触れると明言された。横田めぐみさんのお宅に、めぐみさんが北朝鮮にいるという情報がもたらされたのが(今から25年前の)平成9(1997年)年1月21日だと聞いている。ぜひこの拉致問題についても政府からアメリカに言っていただきたい。日米地位協定の問題については、われわれは『改定』というところまで言うべきだと思っている。オミクロン株に関しても水際対策が非常に甘かった。昨年6月くらいにアメリカの基地内で働く日本人に対して、アメリカ軍の方でワクチン接種をする旨の対外発表があり、その中では、これまでも日米で連携して防疫、検疫体制の強化に努めてきたし、これからも連携してやっていくと書かれていた。しかしながら実際には年末、まったく穴を防ぐことができていなかった。こうした問題についても明確に大統領に伝えるべきだと思っている」と述べました。
中国政府による人権侵害を非難する国会決議については、自民党の茂木幹事長が「他党で党内手続きが進んでいなかった」と発言していることにも触れ、「立憲民主党は6月に手続きを終えている。どの党が手続きを終えていないから自民党ができなかったのかは甚だ疑問だが、ようやく与党側が真剣に動くことになったのかなと思っている。われわれは賛成をすることは決定しているので、最終的に案文が示されれば、われわれとしても進めていくことになる。引き続き与党には努力をしてもらいたい」と述べました。
このたび、自身が掲げてきた「ふつうの安心が得られる社会」「人にやさしい資本主義」を党のビジョンとしてさらに深堀りをしていくため、「持続可能な社会ビジョン創造委員会」を党内に発足していくと表明。自身や幹事長ら11人の党所属国会議員と、有識者とで議論をおこない、月1回程度開催し、5月の連休前後には一定のとりまとめをおこなっていきたいと述べました(第1回目は28日に開催予定)。
23日投開票の沖縄県名護市長選挙および南城市長選挙について、県連や総支部を中心に党が推薦している岸本ようへい、瑞慶覧チョービン両候補の必勝を期して引き続き頑張っていきたいと述べました。
記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下の通りです。
記者)岸田総理が与野党対決法案と見られる、感染症法改正案や入管法改正案、マイナンバー改正法案などを見送る姿勢への受け止めと、そうしたなか予算委員会にどう臨むか。
泉代表)国会の会期は少なくとも150日はある。そのなかで通常であれば100本近いと言われる提出法案が50本台というのはかなり少ない。政府与党は国会をどれほど議論の場として考えているのかが問われる。国会閉会中に政府与党がさまざまなことを決めていくのは国民の監視を経ずに行われてしまう可能性がある。だからこそ国会が開かれたときには政府与党の考えを国会の中で広く与野党での論戦を通じて議論の過程を知ってもらい、結論を出していくのがあるべき姿。しかも、今回の感染症法改正案は、可及的速やかに体制の構築が必要であるにもかかわらず、非常に疑問。われわれとしては法案を提出してもらい、議論すべきだと思う。入管法にしても、その他の法律にしても政府としての考え方を国民に示す責任だと思っている。そういう責任を回避する姿はおかしいと思う。
記者)自治体議員が国会の論戦と各議員の質疑の内容を評価する「国会モニターシステム」の試行について、どのような問題意識をもったものでるのか、また期待する点は。
泉代表)立憲民主党は国会議員だけの政党ではない。国会論戦も国会議員だけで行っているものではない。党に所属する自治体議員は大切な仲間。大切な仲間の皆さんが国会論戦を見てどのような印象を得たか、成果があったと感じるか、もっと改善が必要だと感じるか。そのあたりを、まずは試行的に自治体議員の皆さんに評価をしてもらうことによって国会議員の質問の向上につながっていくのではないかと思い、今回この仕組みをスタートさせようと思っている。
記者)国交省が建設受注統計書き換え問題で事務次官ら10人を処分したことについて
泉代表)これを見つけてやめるべき、是正すべきだと気づいた役人もいれば、ここまで事態を遅らせてしまった役人もいる。同じ処分をするにしても、そうしたところは分けて考えなければいけない。報告書や、第三者調査委員会などの話が出てきているが、今後の予算委員会のなかで隠ぺいがあったかなかったか、その後の扱いとして正しく改まっていく過程が取られていたのか。これまでの経緯を予算員会のなかで明らかにしていきたい。もちろん再発防止もしっかり訴えていきたい。
記者)「持続可能な社会ビジョン創造委員会」の方向性、参院選の公約づくりのなかでボトムアップ、地方の声をどのように取り入れようとしているのか。
泉)基本的には政調で考えていただくことであり、私がこと細かに言うことではないと思っている。当然、各都道府県連にも政策責任者がいるので、それぞれの地域での議論を踏まえた政策責任者と党本部、政調との意見交換もあると認識している。ビジョン委員会については、研究者やNPOなどの活動をしている方、さまざまな層の方から、女性の方もかなりの高い割合でご参加いただくことになっている。多様なキャリアを持った方にご参加いただき幅広い議論を行っていきたい。