衆院予算委員会で26日、2022年度総予算の基本的質疑が行われ、立憲民主党・無所属の1番手として江田憲司議員が質疑に立ちました。江田議員は、(1)日米首脳会談(2)北方領土問題(3)オミクロン株対策――について岸田総理に答弁を求めました。


 江田議員は、21日に日米テレビ首脳会談が開かれ核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明を出したことを取り上げ、声明の内容に各国の政治指導者へ広島・長崎への訪問を要請している記載があることについて何かプランがあるのか岸田総理にただしました。岸田総理は、「日本政府も毎年、国連に対して核軍縮に関する決議を提出し、百数十カ国の国々から賛同していただいているが、決議の中においても広島、長崎へ訪問を呼びかけ核兵器使用の惨禍、国境を超えたこの惨禍をしっかりと伝えていくよう努力してきた。こうした思いをもってこれまでもこうした被爆地への訪問を呼びかけてきましたが、この度あらためて日米の共同声明においても確認した次第だ」と説明しました。
 江田議員は「非常に重要なことだ」と賛同し、続けて岸田総理が被爆地・広島県の出身であり、来年のG7サミットが日本で行われることから、広島でサミットを行う考えはないか質問しました。岸田総理は、「核軍縮、不拡散、核兵器のない世界を目指す。こうしたテーマはライフワークとして大変重要な課題であると認識している。G7の開催地については、日本の国益そしてさまざまな点を総合的に勘案してしっかり決定したい」と説明しました。江田議員は「絶対にやるしかない」と念を押しました。

 また、江田議員は日本の核兵器禁止条約へのオブザーバー参加について「条約の承認はいらない。だったら日本が(核保有国と非保有国の)橋渡し役として世界的なプレゼンスを愚直に示していく。国際社会でこういうポジショニングを取るのが将来的な日本への評価につながる」と述べ、岸田総理にオブザーバー参加を迫りました。岸田総理は、「核兵器禁止条約とNPTをどう結び付けるかが大事だ」と述べ、「いま一度NPTに基づいて、努力をしてきた今までの成果をしっかり振り返って、一歩でも核兵器禁止条約に近づけるように努力していくことが現実的な取り組みだ」と答弁しました。

 ロシアがウクライナの国境付近に10万人ほどの軍を派遣し情勢が緊迫していることについて、岸田総理の認識を問いました。岸田総理は、「G7の枠組み等をしっかり重視しながら、国際社会と連携しながらウクライナの今後の動きにおいて、日本としても適切に対応していかなければならない」と回答しました。

 続いて江田議員は、北方領土4島の主権は日本にあるのか岸田総理の認識をただしました。岸田総理は、「当然のことながらわが国が主権を有する島だ」と答弁。一方で、安倍元総理が、4島返還ではなく歯舞、色丹の2島の返還を軸とした交渉に転換したと報じられていることから、岸田総理がこの考えを引き継いでいるのか質問しました。岸田総理は、「安倍総理の発言については直接伺っていないのでコメントは控えますが、外交のやり取りの中で、わが国としてロシアとしっかりやり取りしたことについては確認をし引き継いでいきたい」等と述べました。江田議員は、「権限を持つ総理大臣がいったん口の端にロシアの大統領に向かって2島のみだと言ったら、もう4島の帰ってくる目は未来永劫なくなるんです。(安倍元総理は)100点を狙って0点ではしょうがないというが、私に言わせれば50点を狙って未来永劫0点にしたのが安倍元総理ですよ。本当に外交上の大失敗だ」と強く抗議しました。

 江田議員は、政府のオミクロン株対策についても質問しました。昨日時点での3回目の新型コロナウイルスワクチン接種率が、日本は2.1%とOECD加盟国最下位であることを取り上げ、ワクチンの在庫があるにも関わらず、前回の接種から8カ月空けるようにこだわったことが原因ではないかと指摘。先手先手で対応を行ってほしいと強く求めました。また、江田議員は新型コロナウイルス抗体協議会が発表した提言によると、東京近郊でゲノム解析をしたところ95%がオミクロン株で5%がデルタ株の変異株であったことに触れ、オミクロン株の後も他の変異株が広まる前提で政府もゲノム解析をおこなってほしいと求めました。岸田総理は「しっかりと科学的知見を集約して対応を急ぐ」と応じました。