立憲民主党は28日、第1回「持続可能な社会ビジョン創造委員会」を国会内で開催しました。
同委員会は、有識者らを交え社会の基本構想を議論し、中長期のビジョンを策定することを目的としたものです。第1回目の同日は、「持続可能な社会のためには、何と何を調和させたら良いのか」をテーマに3つのグループを作って話し合いました。
会議には、委員会委員の慶応義塾大学経済学部教授の井手英策さん、高校3年生の井上紗彩さん、自然エネルギー財団事業局長の大林ミカさん、早稲田大学教授(元総務大臣、元鳥取県知事)の片山善博さん、一般社団法人クロスオーバーキャリア理事長の慶野英里名さん、慶應義塾大学経済学部教授の駒村康平さん、NPO法人ガイア・イニシアティブ代表の野中ともよさん、法政大学教授の水野和夫さん、京都大学大学院経済学研究科教授の諸富徹さんがリアルあるいはオンラインで参加。立憲民主党からは、会長の泉健太代表をはじめ、会長代行の逢坂誠二代表代行、事務局長の小川淳也政務調査会長、幹事の中川正春憲法調査会長、牧義夫社会保障調査会長、田嶋要環境エネルギー調査会長、末松義規外交・安保・主権調査会長、菊田真紀子教育調査会長、福田昭夫地域活性化調査会長が参加、コーディネータを京都芸術大学教授の本間正人さんが務めました。
冒頭、あいさつに立った泉健太代表は、「今こそ、立憲民主党は真の意味で社会を進歩させる、持続可能で公正な社会をつくるために働きたいと考えている。私たちは、そのための大切な『価値』の1つとして『調和』を提示したい」と表明。人間は、他者や自然、物質との調和の中に存在するものだと、その重要性を説き、「立憲民主党が掲げる『人にやさしい持続可能な資本主義』も、『調和』を旨とした社会経済活動を表す言葉。それは例えば、働く者の喜びが確保される雇用環境であり、地球環境との共存、多様性の尊重を経済活動の前提とする企業が発展する社会だ。この委員会で、転換期にある日本が何を目指すのか、を長期的・歴史的な視点に立って議論し、一人ひとりと、日本社会に調和のとれた発展をもたらす持続可能なビジョンを考えたい」と力を込めました。
「持続可能な社会のためには、何と何を調和させたら良いのか」のテーマについては、3つのグループでの話し合いの後、代表者が「私の利益と公共の利益の調和」「今の利益と将来の利益の調和」「学校と実社会の調和」「中央と地方の調和」「仕事と家庭の調和」など、それぞれ上がった論点を報告。今回の議論の内容、問題認識を党内で広く共有し、今後深めていくことを確認しました。
「立憲民主党が持続可能な党なのかどうか、大丈夫なのか」と切り出した野中さんからは、「与党も野党もない。この国の30%から40%の国民は無党派。いろいろ知恵を絞ってほしい。教育現場との調和、イデオロギーではない政治、生活との調和などいろいろあると思う」と叱咤激励をいただきました。
高校生の井上さんは、「すべての若者の代弁者になれるわけではない。高校に入った瞬間に分断されている。学校が閉鎖されて、分断されていることに気づかないことも問題。もっと実社会につなげることが大事ではないか」と提起。慶野さんは「社会の中での調和も大事だが、自分のなかの調和も大事。会社員であり個人事業主でもある。在住地域でも在勤地域でも関わりないがない。人生の構成要素をクロスオーバーさせることで彩り豊かになるのではないか」とも述べました。
委員会は毎月1回開催しますが、その間にも個別の委員からヒアリングを行うなど取りまとめに向けた作業を進めていきます。
会議終了後、泉代表は記者団に対し、「多才な方に集まっていただき感謝している。ジェンダー平等で男女同数ということもさることながら、高校生からいわゆるベテランの有識者の方まで、また分野も幅広い方々が一体となって1時間半対話を続け、凝縮された、新しい価値の可能性を感じる委員会になったと思う。今日出たことをさらに深掘りをして共有をしながらゴールデンウィークを目指して、われわれの個別の政策をつなぎ合わせる大枠となる考え方を形作っていきたい」とコメント。参院選挙の公約にどう反映していくかについての問いには、「いま調査会、部会で個別具体的には政策を策定しているところだが、それを有機的に結びつける。そして共通するもの、通底するものは何かを皆さんに分かりやすく訴えていくことが必要であり、そのためにこの委員会がある。(野中ともよ委員から発言のあった)『皆さんを飢えさせない』『戦争を起こさせない』というのも、ある意味1つのインパクトのある基本的な考え方だと思う。今日話しをした『調和』『持続可能性』は、これまでも政権公約の中に入ることはあったが、どれだけ共有していくかが大事。党内でも落とし込みをしていく意味ではこのプロセスはとても大事だと思っている」と述べました。
今回の委員構成にも反映させた、男女半数とすることの意義についての質問には、「単純に言えば、社会の構成そのものがほぼ同数、同じ割合であり、世の中に近い形で会議体を運営していくことが、できる限りスタンダードになると世の中の考え方合致していくことになるのではないか。まだまだ限定されている場ではあるが、できる限り立憲民主党はジェンダー平等を会議体の中で取り入れていきたいと」と述べました。