衆院本会議で22日、「地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案」の採決が行われ、与党などの賛成多数で可決、参院に送付されました。

 採決に先立ち衆院会派「立憲民主党・無所属」を代表しておおつき紅葉議員が反対の立場から討論に立ちました(討論原稿全文は以下PDF参照)。

 おおつき議員は、「地方税法等の一部を改正する法律案」に反対する理由として、(1)本来目指すべき分権社会に向けた税源移譲がなされていない、(2)固定資産税について、商業地のみ税額の上昇幅を半分に抑える措置が残された、(3)効果が不明確な「賃上げ促進税制」が地方税にも盛り込まれている、(4)燃料の高騰が国民生活や事業活動に大きな影響を及ぼしているなか燃油高騰対策が講じられていない、(5)地域医療構想に基づき再編を行った医療機関に係る不動産取得税の課税標準の特例措置の創設が、公立病院の統廃合を誘導する懸念がある、(6)森林環境譲与税について、今回の法案では手つかずとなっている――の6点を列挙。税制における所得再分配機能を強化する観点からの見直しや、分権・自治を進める立場から税源移譲をはじめ税の分権化、税収減になる自治体への十分な補填などが必要だと述べました。

 燃油高騰対策については、「トリガー条項」を発動する際には、地方の減収分を国費で補填するなど、地方財政の安定に十分配慮するとともに、トリガー条項の効果の及ばない、灯油や業界で燃料として使う重油の高騰対策も強化するよう要請。感染症医療で重要な役割を担っている公的病院については、公立病院の再編統合を前提とせず、地域医療の確保のための自治体の主体的な取り組みを十分に尊重するべきだと訴えました。

 「地方交付税法等の一部を改正する法律案」については、2022年度の地方交付税総額や地方が自由に使える一般財源の確保や臨時財政対策債の大幅抑制、交付税特別会計借入金の償還額増加などを一定評価した上で、問題点として(1)交付税率の引き上げが見送られている(2)赤字地方債である臨時財政対策債の一層の縮減・廃止が求められる(3)職員数の増加にかかわらず、給与関係経費自体は減少している(4)税収及び交付税総額の見通しへ懸念がある――の4点を挙げました。

 岸田新政権が掲げる「新しい資本主義」に盛り込まれた、デジタル田園都市国家構想、カーボンニュートラル、科学技術・イノベーションなどにも触れ、「いずれも多くの地域の政策に依存しており、これに従来の新型コロナ対策、保健医療、社会保障の取り組み、さらには人口減少社会における社会インフラの維持管理、公共交通対策など、多くの財政負担が生じる可能性がある。一般行政経費において、地域社会のデジタル化の推進、まち・ひと・しごと創生事業、地域社会再生事業費も別枠で確保されているが、将来にわたる安定財源として経常経費化する必要がある。持続可能な地方税財政の姿をいかに描いていくのかが大きな課題」だと指摘しました。

 おおつき議員は最後に、地元北海道をはじめ多くの地域で大雪や厳しい寒さに見舞われていることから、雪害対策や灯油価格への支援のための特別交付税の対応に万全を期していただきたいと要請。「地方の声、そしてこれからの世代の声をしっかりと聞く」ことをお願いし、私の反対討論といたします」と締めくくりました。