立憲民主党農林水産部会(部会長:田名部匡代参院議員)は22日、政府が昨年12月に決定した水田活用の直接支払交付金(水田活用交付金)の見直し方針に対する要請を農林水産省に申し入れました。

 令和3年産の主食用米は過去最大規模の作付転換が行われ、令和4年産米も生産削減が求められる見通しです。その中で地域の特色や気候に合った大規模な作付転換が進められるためには、水田活用交付金が的確に措置されることが必要ですが、昨年12月、農林水産省は制度の見直し方針を決定し、生産現場では突如の変更が伝えられ、今後の営農や地域農業への影響を懸念する声があがっています。このため、生産現場の声を踏まえ、見直しによる大きな混乱や営農断念がこれ以上生じないよう適切かつ慎重な対応を求め、武部新農林水産副大臣に申し入れました。

 具体的には、(1)生産現場に混乱を起こすことがないよう、今回の見直しについて、現場の生産者の意見を聴取したうえで一旦白紙とすること、(2)今後、主食用米の作付転換を進める際には、農業者の経営に留意し、予算の充実確保や畑作化への継続支援、販路等の新規確保を行うこと、(3)食料安全保障の確立に向けて、米をはじめとする農作物の支援のあり方について、公平公正な議論の下で、政策体系全体にわたる安定的な新たな支援措置を構築し、予算の恒久化を図ることを要請しました。

 武部副大臣からは、今回の見直しは既に平成29年に実施要綱を発出しており、水田機能のある水田に対しては交付をすぐにやめるものではなく、今後5年間の間で農家の現場の皆さんと検証させてもらい、しっかり計画を作って進めていきたいと思っている。営農意欲が失われないよう支援していきたい、と応えました。

 このほか要請した出席者からは、既に決めた実施要綱が現場に周知されていないのは何が課題かを現場に寄り添い検証を求める意見や、制度見直しの一つである多年生作物(牧草)に関する経営への懸念などを武部副大臣に伝えました。

 今回の要請には田名部部会長のほか、金子恵美、神谷裕、緑川貴士の各衆院議員、横沢高徳参院議員が出席しました。

要請書の内容は以下の通りです。

水田活用の直接支払交付金見直しに対する要請

立憲民主党 農林水産部会長 田名部匡代


 近年の米をめぐる政策について、国は需要に応じた作付転換を生産者に求め、令和3年産の主食用米は、約6.3万ヘクタールという過去最大規模の作付転換が行われました。令和4年産米についても、人口減少に加え現在のコロナ禍による外食向け業務用米の需要減少もあり、国は更なる主食用米生産の削減を求めています。全国の現場生産者の努力によって、その地域の特色や気候に合った作物を選択し、大規模な作付転換が進められるためには、水田活用の直接支払交付金(以下、水田活用交付金)が的確に措置される必要があります。
 しかし農林水産省は昨年12月、突如に水田活用交付金の見直し方針を決定しました。この唐突な見直しは、現場の農家にとっては寝耳に水であり、今後の営農や地域農業の振興に大きな影響を及ぼすほか、離農の増加や耕作放棄地の増加など、地域の農業基盤維持に支障を来しかねません。見直し方針が決定されて以降、数多くの農家から重大な懸念を持つ声が寄せられています。
 ついては、生産現場への大きな混乱や営農断念が生じないよう、適切かつ慎重な対応を行うため、下記事項について要請いたします。


1.生産現場に混乱を起こすことがないよう、今回の水田活用交付金の見直しに関して、現場の生産者の意見を聴取したうえで、一旦白紙とすること。
2.生産者の営農意欲を失わず、前向きな取り組みを喚起するため、今後、主食用米の作付転換を進めるにあたっては、農業者の経営に留意し、予算の充実確保や畑作化への継続支援に加え、販路等の新規確保を行うこと。
3.我が国の食料安全保障の確立に向けて、米をはじめとする農作物の支援のあり方に関しては、公平公正な議論の下で、政策体系全体にわたる安定的な新たな支援措置を構築し、予算の恒久化を図ること。

以上

水田活用の直接支払交付金見直しに対する要請20220222.pdf